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小さな黒幕






「はぁ…酷い目にあった…」



翌朝、結局登校時間前まで拘束されていた神宿は、朝食もとれないまま学園へ登校するはめになった。


また男子寮には彼女ら三人の姿はなく、昨日受けた言伝の話もできなかった。




「まぁ、大丈夫か」



神宿は頭をかきながら、そう一言を呟くのであった。








一方、その頃。


「おい、あれって…」


カフォンの通う教室にて、周囲の生徒たちからヒソヒソ話が聞こえてくる。

先日の一件の事もあって、更に悪評が上がってしまったせいなのだろう。


だが、しかしーーー



「ーーーーーーーーー」



そんな事する気にできないほどに、少女カフォンは魂の抜けた抜け殻のごとく茫然と席に座っていた。


開いた口からは、あーだの、うーだの、何を言っているか分からない単語が出ている。





だから、そんなわけもあってーーーー教室内にいる生徒たちは、周囲にはびこる悪評よりも、彼女の安否の方が心配でならなかった。






そして、もう一方でもまた同じで、



「か、カルデラさん? カルデラさん!」



教師が何度と声を掛けるも、少女カルデラもまた抜け殻のごとく茫然と席に座り込むのであった。














ーーーー時が変わり、そこは学園の中。

暗い、人気のない校舎裏にて、



「ま、待つのじゃ!? ワシが何をしたのじっ!?」


賢者ファーストは今、そう叫びながら全速力で逃げていた。

ーーーー何に? というと、



「師匠ー? どうしてにげるんですかー? ほら、ちょっとお話をしましょうよー?」

「お、おまっ!? 言葉使いと行動が合っていないのじゃが!? うきゃ!?」



ビュン!! という音と同時にファーストの頭上に一本の剣が突き抜けた。


後少し身長が高ければ、間違いなくお陀仏にーーー




「ワシのせいじゃないじゃろ!? そもそま、風呂場突入とかあの小娘が勝手にやっただけで!?」

「あははー? やっぱり、盗み聞きしてたんですねー?」

「………あ」


思わず暴露してしまったファースト。

対するアーチェはそんな彼女をゆっくりとした足行きで追い詰めていき、





「後、あの後色々と調べたんですけどー? トオルくんに変な魔法が掛かてましたよねー? あれって、誘惑関係の魔法ですよねー? しかも、本人には関係なく、それ以外の周囲、例えば動物とかを誘惑させる匂いを漂わせる的なー?」

「………………」

「私も後で気づいたんですけどー? あれ、どういう事ですかー? また、誰彼構わず遊び道具にしたんですかー?」





ーーー昨夜、カルデラたちが神宿の風呂場に突撃した。


料理による意識だけの動物化はアーチェのせいだが、それ以外の原因を作ったのは、ファーストだったらしい。





ジリジリ、ピタッ、と壁際へと追い詰められたファーストは口元を引きつけ、笑顔を見せるアーチェに対し、









「そっ」

「そー?」

「そんな面白イベントに手を突っ込まん奴がいるか、なのじゃーーー」














その数秒後にて。


巨大な稲妻と、うぎゃーーーー!?!!という少女の悲鳴が、学園校舎裏から放たれるのであった。




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