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大賢者からの祝福



「ふむふむ」

「何、いやらしい顔しているですか?」

「んにゃ? 何もないのじゃよ?」


片耳に手を当てながら、ニタニタ笑うファーストにカルデラとカフォンは怪訝な顔を浮かべる。

そして、じー、と再び二人から見られ、ファーストはコホンと咳払いをついた。


「そ、それよりもじゃ! お主らは修行目的でこの寮に泊まるのじゃろ?」

「え、は、はい」

「そうですけど、それがどうかしたんですか?」

「いや、何」


ファーストはそう言うや、ジロジロと二人の体つき、また何かを見据えた後、懐から何や小さな紙を取り出し、



「なるほどなるほど」

「「?」」


意味のわからない頷きをつきながら、紙の表面をトントン、と指で小突いた。

すると、それが合図だったかのように紙の表面から突如、小さな魔法陣が書き記されていく。


そして、その光景に驚く二人に対して、ファーストはニタっと笑いながら、口を開く。






「今回だけ、特別サービスじゃ」













それから数分して、リビングに神宿とアーチェが戻ってきた。


「あれ? ファーストは?」

「え、えーっと、何か用事があるって言って、帰って行きました、けど」



どうやら神宿たちがいない間に、大賢者ファーストは帰って行ったらしい。


何でも突然のことだったらしく、



「何か、怪しいよな?」

「んー、そうだねー?」


毎度散々な目に遭わされているだけもあって、神宿とアーチェは共に、何か裏があるのでは? と深読みしてしまうのであった。

と、その時。



「ん? それって」


アーチェは、カルデラとカフォン。それぞれの手に掴まれていた一枚の紙に気づいた。



「あ、これファーストさんから貰ったもので」

「ちょっと見てもいいかなー?」

「あ、はい」



許可をもらった後、二人から紙を受け取ったアーチェはそれを、ジっと見据える。



「何なんだ、それ?」


そして、神宿がそう尋ねる中でアーチェは、






「う……うん、これはアレだねー? えーと、魔法具かな」






そう言って、少し苦笑いを浮かべた。








魔法具。

その言葉に対して、あの首飾りの一件を思い出し、複雑な表情を浮かべるカフォン。

その一方でカルデラは眉間をしかめながら、


「ただの紙ですよ、これ?」


そう問い返した。

というのも無理はない。

何故なら、その紙は至って何の変哲もない紙であり、また変わった所があるとすれば、それは小さな魔法陣が記されているだけなのだから、



「ま、まぁ…普通じゃわからないよねー?」


アーチェはそう言って、二人に紙を返す。

そして、未だ顰めっ面のカルデラに対して

アーチェは、




「えっと、お名前は確か」

「あ、カルデラです」

「そう。それじゃあ、カルデラちゃんー?」

「っ、ちゃ、ちゃんって!?」


何度も見せる、苦笑いを浮かべながらーー



「ウェイポンオープン、って言ってみてー?」



ーーーと、その言葉を口にした。

そしてーーー




「う、ウェイポン…オープン?」




その言葉をカルデラもまた復唱した、その次の瞬間。




「「「!?」」」




カルデラの手に掴まれていた紙が突如、眩い光を発したと同時に、



「う! きゃっ!?」



ゴン!!! という大きな音と共に、何かが床に落ちた。


「………ぇ」

「……おい、それって」


神宿がそう呟く中、その視界に映ったもの。

それはーーーーー



「な、何…これ……?」



原型を無視した変化を可能とする魔法具、それはーーーー純藍の剣。





少女カルデラでは、持ち上げる事すら出来ない未知の剣が、その場に君臨した瞬間でもあった。




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