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軽い戦闘




「第一! 男か女かはっきりしてくださいよ!このケダモノ!!」

「黙るのじゃ! そもそもワシは元から女じゃと昔から言っておるじゃろうが!!」

「女って、どこが女なんですか! ただのロリクソババアじゃないですか!!」

「何をっ!? この小娘ごときが、師匠に向かって!」

「師匠の汚名含めて、今日こそはぶっ飛ばしてやりますよ!!」




と、男子寮の外では、賢者同士の白熱した魔法決戦が起きている。

その一方で、



「トオル、ちょっといいですか?」

「ぅ、あ、ああ。って、カフォンは」


突然と話しかけてきたカルデラに対し、神宿はそう言いながら視線を遠くに向けると、





『ガクガクガクガクガクガクガクガクガクッ!!』




そこにはーーーー部屋の隅っこで完全に恐怖で全身を震わせる少女、カフォンの姿があった。





「な、なぁ…? お前、アイツに何や」

「そんなことよりも、です」

「そんなこと!?」


軽く言葉をあしらわれた事に驚く神宿を無視して、ずい、と顔を近づけるカルデラはその至近距離にてその小さな唇を動かす。






「トオルとアーチェさん、二人はどういう関係なんですか?」







………は? と目を点にする神宿に対し、カルデラは頰を赤らめながら、小さく唇を拗ねさせていた。



「いや、どんな関係って、そんな師弟関係に決まって」

「本当ですか?」

「いやいや、それ以外に何があるんだよ?」

「うーー………」


神宿とアーチェが師弟関係にあることには、何も偽りのない。

だから、決して神宿も嘘などついてはいない。



だが、カルデラに至ってはどうにも納得していない様子らしく、眉間にシワを寄せながら唸り声を漏らしていた。



(それにしては、あの時のアーチェさん……師匠にしては、何か反応が大げさすぎだったような気がするんですよね…)

「…? カルデラ?」


と、その時。






「うーむ。まずまずの準備運動になったのじゃー」






そんな言葉を呟きながら、大賢者ファーストが家の中に戻ってきて。

そして、そんな彼女の背後にはーー



「きゅ〜???」



ぐるぐると目を回しながら、脳天に大きなたんこぶを作る師匠ことアーチェが足を捕まれながら、そのまま引きずられながら運ばれる姿があるのであった。










それから一時間後。



「な、なぁ、師匠? そろそろ機嫌直してくれ? な?」

「ふん!」



立場が逆転したように、ファーストが召喚した白い植物の蔓によって拘束されているアーチェに、神宿は苦笑いを浮かべる。


後、アーチェは拗ねていた。




「はぁー。いい歳して何膨れておるのじゃ、此奴は?」

「っ、それはこちらのセリフですー? さっきの戦いでも、よくもまぁ、あんな姑息な手を使って」

「姑息?」



その言葉に首を傾げる神宿。そんな彼に、アーチェは頰を膨らませながら答える。





「聞いてトオルくん! このババア、上位の上でもある最上位の魔法に馬鹿ほど特性を付与しまくってから放ってきたんだよ!? しかも、下手したらこの学園が一瞬で吹き飛んじゃうくらいの威力の魔法をだよ!? 本当に、馬鹿じゃないですか!!」







……………え? と。


その場にいた神宿、カルデラ、そしてカフォンがその言葉に固まり、そして、視線をファーストにへと向ける。



対する大賢者ファーストは口元に手を当てながら、小さく唸り声を上げつつーーーー






「うむ、ちょっとやりすぎちゃった?」






てへ? と小さく舌を出し、全く心の篭ってない謝罪をするのであった。




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