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師匠






場所と時間は変わって、男子寮のリビング広場にて、




「どういうことかなー? トオルくんー?」





と、至近距離でニコニコ笑顔を見せてくる、師匠ことアーチェ。

そんな彼女に対し、ダラダラと冷や汗を流しながら頰を引きつらせる神宿は、



「せ、説明するから…この、巻きついてるの、外して」

「ん? だーめ?」



現状、神宿は未だアーチェが召喚した人造植物の蔓に拘束されていた。


しかも、背後ではまるで怪物の口のような花びらがパカパカと開き、その奥にある牙をギラリと見せーーーーー




「む、無実だー!!」

「本当にー? 女の子二人も誑かせてー?」

「いやいや、だから何がっ!?」

「まるで御伽噺に出てくる勇者みたいだ

ねー? ハーレム気取りだねー? トオルくんー? あ、どうしようー? 何だか、私も色々張り切っちゃってー」

「ちゃって?」

「ーーーーーきつーい、お仕置きをしちゃうかもだよー?」

「………ぃ」




嫌だー!!! とマジで叫ぶ神宿。

だが、そんな彼を助けてくれる者など、この場においては誰一人としていなかった。

ーーーー何故なら、




「カフォンさん? カフォンさん? どうしてあんな状況になっていたのか、説明してもらえますか?」

「か、カルデラ…さ、ん…、こ、こわ」

「第一、何でお風呂場の鍵とか閉めてなかったんですか? もしかして、あわよくば、男と女のハプニングなんて期待してたんですか? ねぇ、カフォンさん?」

「ひっ!? カルデラさん、何か凄く怖すぎるわよ!?」



女同士のトークにて、こちらも笑顔を振りまくカルデラに対して怯えるカフォンの姿があったからだ。


既に服も着込み、髪も大雑多だが乾かした。


けど、寒気が未だ止まらない!!





神宿とカフォン。両者共に目の前の脅威に怯える。

そんな状況の中でーーー







「もぐもぐっ、うむ。中々美味しいのじゃな、これ」







いつの間にか、男子寮に侵入していた少女。大賢者ファーストは夕食の残りをつまみながら、そんな彼女たちの様子を楽しげに傍観しているのであった。



次の瞬間。




ビュン!! という音と共に、ファーストに向かって光の光弾が放たれる。

だが、難なく魔法陣の防壁でそれをいなす彼女は溜息をつきながら、



「いきなり何するのじゃ?」

「ふふっ、何って決まってるじゃないですかー? このコンチクショウのロリババを消そうかなーって思っただけですよー?」



攻撃の主たるアーチェはそう言って、額に青筋を立てていた。



「どうせ、師匠がトオルくんを巻き込んだんですよねー? 昔からそういう、いい加減な所は一向に治らないですもんねー?」

「ふっ、ふふ…ワシは大賢者じゃぞ? 名にそった行いをせんで、何が大賢者じゃ?」


そう言って、テーブルに腰を下ろしながら足を組むファーストは、愉快そうに笑みを浮かべる。

だが、その態度に、カチン! と更に怒りのゲージを高めるアーチェもまた笑みを浮かべながら、


「そういうところも含めて更生して欲しいんですよねー? 大賢者ならもっとお淑やかになるべきじゃないんですかー?」

「お淑やか? それは何か? お主のような、アホ面をワシに晒せというておるのか?くくくっ、これは傑作じゃな」



と、ーーーーそれが、最後の決定打だった。







「っ、は…はは……ッ!!よくもあんな連日連夜の魔族狩りの仕事をぶん投げてくれましたよね! このロリババア!!」



完全ブチ切れモードで口調が幼くなるアーチェ。

対するファーストは更に爆笑しながら、



「ぷっくく! やっと本性をさらけ出しよったか、この戯けめが。嘘くさい喋り方じゃったから、多少きも」

「今日こそはぶっ飛ばす!!その顔が泣きべそきなるまでコンテンパンにしてやりますよ!!ババアババアババア!!!」



ほう、ならやれるものならやってみるのじゃ! と挑発してファーストは外へと出て行った。

そして、アーチェもその後を追いかけるようにリビングから外へと柱は去ってしまうのであった。










「なぁ、そろそろ外してくれない?」



と、人造植物に話しかける神宿。

対する植物は口を閉じながら首をブンブンと振り、ダメと言われて、




「はぁーー」



目尻に涙を浮かべつつ、神宿は大きな溜息を吐くのであった。




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