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魔力テスト




カフォンの声が教室内に大きく響き渡り、クラスにいた全員がその言葉を聞き取った。

そして、彼らの視線は自然とある先へと向けられて……、



「…………」



顔に手を当て、大きく溜息を吐く神宿の姿がそこにはあった。







「な、に、が! カミヤドですか? 全然名前が違うじゃないの!」

「………」

「って、ちょっと聞いてるの!」

「あー、聞いてる聞いてる。だから耳元で騒ぐな」


筆記テストの次でもある魔力テスト。それが行われる体育館にて、待ち順の列に並ぶ神宿は今現在、ツインテール少女ことカフォンに絡まれていた。


「ってか、何で俺に突っかかってくるんだよ? 俺たち初対面だろ?」

「っ、…え、ええ。確かに私と貴方は初対面よ?でもね、貴方は私と」

「お、次俺の番か」

「っ! 聞きなさいよ!!」


何か長そうになるから嫌だ、と神宿はギャアギャア騒ぐカフォンを無視しつつ、魔力テストへと向かった。





「次、54番。この水晶に手をかざすように」

「はい」


そう声を掛ける、列の先で立つ男性教師の指示に従い動く神宿。



この学園での魔力テストを行う際、特別な魔法が施された水晶が使用されている。


そして、その水晶に魔法使いが手をかざすと魔力量が数値化され、宙に展開された魔法陣に表示される仕組みとなっているのだが、





「54番、魔力量は4000………ん?」





ーーーーどうやら、神宿の数値には問題があったらしい。



眉間にシワを寄せながら唸り声を上げる教師に対し、神宿は首を傾げながら、ふと宙に展開された魔法陣に視線を向ける。

すると、そこにはーーー






『54番、魔力量4000。一学年ーーーランク一位』






ランク一位。

つまりは一学年の中で最上位の魔力量保持者とされて、公の場で公開されてしまったのだった。


ちなみに、二位はキャロットで、三位はシクザカと表示されているのだが、




「すまない。もう一度、水晶に手をかざしてくれない」

「あ、はい」



貴族でない平民が、この数値を出したことに疑問を覚えたのだろう。


水晶を再度点検しつつ、そう指示を出す教師の言葉に相槌をうちながら、神宿はもう一度と手を水晶にかざした。





ーーーーだが、



「………っ、54番。魔力量は4000だ」



結果が変わることはなく、こうして神宿は注目の的となる一つ証を手に入れてしまうのだった。









(はぁー、 全く。まさかあれから何度もテストを受けさせられることになるとは思わなかった)


他の生徒より長く教師に捕まっていた神宿は、やっと解放されたことに息を吐き、未だ並ぶ列の横通り過ぎようとする。


途中、歩くたびに視線が突き刺さってくるが、あまり見ないようにしていた。



だが、そんな中で、





「貴方、実技テストで手を抜いていたわね!!」





突然と、摑みかかるようにしてカフォンが再び突っかかってきた。

もうすぐ自分の順番だというのに、気にする素振りもない様子で迫り来る彼女に、神宿は嫌そうな表情を浮かべる。



だが、その時ーーーーー





「っ、どうして、よっ!」





ーーーー神宿は、不意に見てしまった。



それは、あまりに弱々しい言葉を吐く少女の姿をーーーー


今にも泣き出しそうになる顔色を浮かばせた、カフォンの顔をーーーー





「58番! 早くこちらに来なさい!」





一向にこちらに来ないことに苛立ったのか、大きな声を上げる男性教師。


カフォンは一瞬と神宿を睨みつけるも、小さく唇を紡いながら、急ぎ足で列の先頭へと走り去ってしまった。



「…………」




沈黙の中、カフォンが口にした言葉の意味に疑問を抱く神宿。


しかし、その答えを神宿はーーーーーーのちに知ることなる。









各三つのテストが終わった後、特定の単位、または数値が取れなかった者たちには、決まって追試が行われる決まりとなっている。



その中でも、特に変わっていたのが実技テストにある、その追試内容だった。






それは、単位を取れなかった生徒たち同士が決闘場に集められ、そこで一対一の魔法戦を行うーーーー裏の実技テスト。


そして、上位の魔法を使えず、ほぼゼロの単位を取っていた神宿が初戦に戦う相手。





それがーー貴族、カフォンだった。










それほどに、彼女の顔色には驚きを隠せなかったのだが、


(




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