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テスト



今日は毎月学園内で行われるであろう定期テストである。


実技、筆記、魔力、とそれら三つに分かれてテストは行われ、また即日で結果が中央広場にて公開される。



それは、一学年である神宿にとっても例外ではないことだった。





「納得いきません!」


そう声をあげたのは貴族、カルデラだ。

そんな彼女に苦笑いを浮かべる神宿だが、今彼らがいるのは昼休みの図書館。

その一角である。


後付け足すなら、ここ数日の間、この場所は二人の集まり場とされているのだが、



「どうしてトオルが最下位なんですか!?」

「いや、まぁ、仕方が」

「仕方がないなんて事はありません! それも実技でですよ!? おかしいじゃないですか!!」


そう抗議の言葉を出すカルデラに神宿は再び苦笑いを浮かべる。


というのも、午前中に行われていたテストは実技であり、魔法の技術においてなら、神宿は群を抜いて一学年の中でも上位に立っていなければおかしいほどだった。


もちろん、カルデラもそう思っていた。





ーーーーそのテストが上位の魔法でなければ…




「先生たちに抗議してきます!」

「いや、それだけはやめてくれ、マジで」

「でも!」


まるで自分のことのように、悔しげな表情を見せるカルデラ。

そんな彼女に神宿は一瞬、きょとんとしながら、その後直ぐに笑い声を上げ、


「何がおかしいんですか!!」

「ははっ……いや、何」


神宿は目をこすりながら、頰を膨らますカルデラを見つつ、


「その、まぁ………ありがとうな。俺なんかのために怒ってくれて」

「…………え?」

「何、ただそれだけ。それじゃ、次のテストもあるから、そろそろ俺行くから」

「ぅええ!? ちょ、今のどういう意味なんですか!?」


ちょっとー!! と顔を赤面させ声を上げる彼女に背を向けながら、神宿は図書館を後にするのだった。










廊下を歩く中、神宿は自身が抱えている問題に深く考え込んでいた。



上位の魔法が使えない原因。

それは女神が与えた二つのスキルに魔力を奪われているから。



(どうにかしないと、いけないよな…)




と、そんな事を考えこんでいた。

ーーーーその時だった。






「そこの貴方、ちょっと待ちなさい!!」







廊下を歩く神宿の背中に突然とそんな声が飛んできた。

皆の視線を感じながら、神宿が怪訝な表情をふりかえる。

すると、そこには、



「貴方、実技最下位のトオルで合っているわね?」



ツインテールが特徴的な一人の女子学生が、こちらに指を指しながら立っていた。



しかも、わざわざ最下位なんて言葉をぶつけてきた。

…他の生徒たちが、廊下にいるにも関わらずに、だ。



「…………」


ムカッ、と小さく怒りマークを額に浮かべつつ、神宿は一瞬考える。

そして、


「いや、違うから」

「え?」

「俺、カミヤドって、名前なんで」

「え?ぅえーーーっ!? そ、そうなの!? もしかして、ひ、人違い!?」

「まぁ、そうみたいだな。ーーーそれじゃ」


そう言って、神宿はアタフタ慌てふためく謎の少女を背に、その場を後にした。


(まぁ、カミヤドも俺の名前の一つでもあるから、なんも間違ってないしな)


心の中で、そんな言い訳を呟きながら………






ーーーこうして、目立つ機会を臨機応変に回避した神宿だった…。


のだが、そんなに上手く行くわけがなかった。









午後のテスト、筆記が終わった神宿の教室にて、




「トオルっていう、バカヤロウはここにいますか!!」



怒りプンプンのツインテール少女。

波乱の一日を巻き起こすであろう貴族、カフォンが乱入してくるのであった。



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