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女神は荒んでいた



そこは異世界の天界。

女神たちが住む、その場所では今も現在、主神からの罰を受ける女神。


「……ブツブツブツ」


少女ラフィンの姿がそこにはあったーーー








とある日の、朝。


「あの〜、主神様」

「? どうしたのですか?」


天使の羽を生やした美女、主神の元に一人の女神がやって来ていた。


彼女の名前はカオル。

ラフィンと親しい間柄でもある女神のうちの一人だ。

そして、その手には一枚の紙があり、



「いえ、その…以前に罰を与えたラフィンの事で、少し相談したい事があるのですが」

「?」


その要件の意味に眉をひそめる主神。

カオルは気まずげにその手元にあった紙を主神様へと渡した。




それは、神宿 透を勝手に転生させたあげくにスキルを二つも与えた事から、罰として反省文を書き記すようラフィンに渡していたはずの紙であったのだが……





『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…ext』






怖いっ!? とその直後。

紙を地面に投げ捨ててしまった主神。


そんな彼女の反応を見つつ、涙をためた目を手でこすりながら、カオルは訴える。



「ここ数日前から反省文のほとんどが、こんな文になっているんです。それはもう痛々しくて」

「…………」

「何より、怖いんです!! あの子、それ書きながら唱えてるんですよっ!? 一緒にいたら呪われそうなぐらいにっ!!」




その気持ちは…少しわかる、と思った主神。



「どうにかなりませんか、主神様! 私、もう耐えられなくて」

「ん……うーん、そうですねぇ。しかし…」

「もしアレなら私と部屋変わってください! そしたら、絶対に私の気持ちが分かると」

「わ、わかりましたから、落ち着きなさい、カオルっ!?」


女神らしからぬ荒れようを見せるカオルに、主神は気まずげに後ずさった。


そして、一度大きな溜息を吐き漏らしつつ、彼女は一先ずラフィンのいる地区へと向かう事にした。






ーーーーーーのだが。







「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」






多くの女神が住まう地区にて。


「…………」


ラフィンのいる部屋のドア前。

そこから聞こえてくる呪文のような声を聞き、主神は至極本気でこの部屋に入るのをためらった。

そして、その周囲では、




「主神様ー! たすせてください! ラフィンの声が、声が〜!」

「あーーもう耳から離れない〜あの声が〜ッ!」

「あれ、あの子どこ行ったの!? あー! もしかして、逃げたわね!!」



ーーーまさに、地獄絵図が広がりつつあった。


まさか、この天界でこんな光景を目の当たりにすることになるとは主神は思いもしなかった。



「しゅ……主神様…っ」

「…………はぁ、わかりました」



涙目を見せてくるカオル。

後、助けを乞う他女神たち。


そんな彼女たちに対しーーーーーー主神は決断するしかなかった。



ーーーーラフィンの処罰は少し減らすことを…。









流石に罰をゼロにするわけにはいかず、一先ずは枚数を減らして様子を見ることした主神。


その甲斐あってか、ラフィンの呪文騒動は次第に落ち着きを取り戻していき、カオルたちからは感謝の印として沢山のお供え物が届けられる事となった。






そして、これで何もかもが落ち着いた。

と、思っていたのだが…



「……」



数日してラフィンが書いた反省文が、主神の元へと届いた。

が、しかし、そこには…




「な、何ですか…これはっ!!」



あまりにも心のこもってない文章が書き記されていた。



主神の怒りは一瞬にしてMAXへと到達した。



結果として、その後すぐにラフィン元に怒りの鉄槌を落される事になるのであった…。





「ラフィン、貴方には更なる罰として、反省文の枚数をさらに追加しますっ!!」

「そ、そんなぁ〜! ぅ、うう、うぇえええええんーーーっ!!!」






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