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今回も、ちょっと短めです…っ!



夕暮れが段々と進む頃合い。

すでに殆どの学生たちが寮に帰宅する中。神宿は一人、再び学園に足を踏み入れていた。


そして、その理由はーー



「カルデラのやつ、どこいったんだ?」



消息を断った、カルデラが探すためだ。




彼女のお付きであるマーチェと共に、いつものように待ち合わせの場所でカルデラが来るのを待っていた神宿。


だが、待てど暮らせど一向にカルデラは姿を現さず、心配になった神宿たちは色々な場所を探すうちに、こうして学園へと戻ってきてしまったのである。




ーーーーーしかし、いくら探せど彼女の姿は一向に見つからない。



(教室にもいないし、先生も知らないって言ってた。ほかにアイツが立ち寄りそうな場所は…)


彼女の行き先も含めて、その検討すらつかない。


(…まさかっ)


神宿は脳裏によぎる嫌な予感を抱きつつ、もう一度彼女の教室に戻ろうとした。


ーーーそんな時だった。




「トオルさん?」




廊下の曲がり角で、神宿は一人の女子生徒と遭遇する。

普段なら授業が終わった早々に、シグサカと共に帰宅についているはずの彼女。




ーーーーーキャロットと。













その場所は、かつて訓練所として配備されていた、大きな演習場だった。


壁や床など、色々とガタがきていることからもう使われることのない、人知れずの場所。

そんな場所に、



「勝負は基本通りだ。どっちかが負けを認めるか、もしくは身動きが出来なくなったほうが負け、それで構わないよなぁ?」

「はい、大丈夫ですよ」



カリオカとカルデラの姿があった。


夕焼けの光が室内を紅色に染める中、彼女たちの他にカリオカの手下が二人いた。

しかし、そんな彼らは離れた出口でジッと待機している。


まるで、彼女が逃げ出さないよう見張りをしているかのように、


「どうしたぁ、今更怖気付いたのかぁ?」

「っ、いいえ。別に」


カリオカが笑いながらそう尋ね、カルデラは険しい表情でそう答える。


だがーーーーそんな彼女の表情の裏には、ある一つの違和感が強く込められていた。



それは、この場所に来てから微かに臭う、甘い匂いに対してだ。




(この臭いを嗅いでからっ、気持ち悪いっ)




カリオカたちは平然としているにも関わらず、カルデラだけが不調を抱いている。


当初は、何かの罠かと勘ぐるカルデラ。

しかし、怪しいのは臭いのみ。

これといった証拠は以前として見つけられない。



「っ、それより…カリオカっ、この、臭いは」

「臭い? 別にそんなの臭わねぇけどが、なぁ! お前らも何か臭うかぁ?」

「いいえ!何も匂いません!」

「…だ、そうだ?」

「っ」



いや、そもそものは話ーーー

この場所に、カルデラの味方はいなかった。


だから、彼女の言葉を証明する事など、最初から出来なかったのである。



「それじゃあ、始めようゼェ?」

「っ!」



そして、ついに決闘が始まる。

万全のカリオカと不調のカルデラ。

頭を抱えながら、その震えた足で立ち続ける彼女にーーー




「ハハッ、楽しみだなぁ…」




カリオカの魔の手が迫ろうとしていた。



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