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怒りの矛先



夜も遅い時間帯。

貴族特質の男子学生寮、その一室にて。


「クッソーッ!!」


貴族カリオカは歯ぎしりを鳴らして苛立ちを露わにしていた。


側には、床に投げ捨てられた事によって、粉々に割れたガラスの容器がある。


「どうしてこの俺があんな奴らの下手に出なければならないッ!」


彼は魔法学園において、優秀かつ、皆からも敬われる存在であった。

何かを頼めば、持ってきてくれる。

何をを命令すれば、従ってくれる。

それが、彼の常識だった。

ーーーーだが、


「それもこれもッ! あのシグサカって奴が現れてからだッ!!」


彼が学園に入学してきた際、カリオカは直ぐ様、自分の手下になるよう命令した。

だが、そんな彼にシグサカは、


「君は何を言っているんだい?」


と言って笑ったのだ。

そして、その事がきっかけで決闘を叩きつけたカリオカ。


しかしーーーーーその勝敗は、惨敗だった。



圧倒的な力の差で、カリオカは地に伏せる結末に至ってしまった。


彼の手下たちは直ぐ様、カリオカの仇を取るべく多勢で攻める。だが、そこにもう一人の少女が姿を現したのだ。


それは、キャロット。


知るものは少ないが、貴族の中でも高い地位に立つ大貴族の令嬢だ。

そして、貴族の血もあって、その魔力量は学園の中で随一だった。


「二度とシグサカ様に近づかないでください」


キャロットはそう言って、冷たい瞳でカリオカたちを見下し、そのままシグサカとともに去っていった。



「ッ!!」


大貴族の令嬢。

そして、そんな彼女を付き添わせているシグサカという少年。


カリオカの頭の中に、特別、という言葉が浮かんだ。










「何が、令嬢だ!何が、特別だ!ただ顔だけの良い、クソ野郎のくせにっ!」



割れたガラスを更に踏み潰しながら、怒声をあげるカリオカ。



「それにあのトオルとかいう奴も気にくわねぇ」



その怒りは、いつしかまた違った道を辿ってシグサカではなく無関係の神宿にへと向けられていた。



何故なら、あの時。

手下になれと命令した時、神宿の瞳が、シグサカが見せた瞳と同じように見えてならなかったからだ。




「はぁ! はぁ! はぁ! ッ!!」


荒い息を吐き、未だ怒りが収まらないカリオカ。

すると、その時。


「か、カリオカ様…」

「あ? どうした?」


手下の一人がカリオカの元を訪れる。



その男は、カリオカの指示である者の跡をつけていた手下の一人だった。

そして、帰ってきたからには何かしらの情報を掴んできたのだ。



手下はカリオカに、知り得た情報を伝える。


カリオカは当初はつまらなそうにその話を聞いていた。

だが、次第のその表情は移り変わり、


「ほぉ、そりゃあ、面白いな」


その顔は狂気に満ちた笑みへと、入れ替わっていた。







手下を下がらせた後、カリオカは椅子に腰掛け、その手に持つ一枚の紙を見つめていた。

そして、押し殺したような笑い声を出しながら、



「良い楽しみが増えたぁ」



その写真に写り出されていた、二人の男女を見据えるのだった。




そこに写る、互いに仲良さげに話し合う神宿とカルデラの姿をーーー








それはーーーー転入生であるトオルと貴族令嬢カルデラが笑い合いながら、



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