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二人目の接触




未完に留めた魔法。


二人を除き、誰もいない個室の中でその言葉を口にしたミーティナ。

警戒した表情を向ける神宿は、一瞬思わず戸惑いの声が出そうになったが、


「……買いかぶりすぎだろ」


何とか動揺を飲み込み、皮肉を交えた口調で言葉を発する事ができた。



「……ええ、確かにそうかもしれませんわね」

「………」



しかし、その一方で、答えのない返答に対してミーティナは異論を唱えることなく冷静な表情のまま、優しげに口元を緩ませる。

だが、その唇から向けられるそれは、まるで『言わなくてもわかっている』と、そう言われているようにも見えた。



「…………」

「…………」



そして、会話が止まった事で室内に静かな沈黙が落ちる中、神宿は大きく息を吐きながら立ち上がり、



「それで? 話はそれだけだっていうなら俺はもう帰ってもいいよな?」

「はい、大丈夫ですよ。お手数をおかけしましたね」



……ああ、と了解を得た神宿は短い言葉をつき、扉の方へと歩いていく。

だが、そんな中でもミーティナは只々優しげな笑みを浮かべ、



「それでは、また」



まるでまた出会う事を予期しているかのように部屋を出ようとする神宿に向けて、彼女はそう言葉を送るのであった。










聖女ミーティナといた部屋を後にした神宿は、しばらく学園内の通路を歩いた後、ふと足を止めた。

そして、今まで握り締めていた手を開き、その掌にかいた手汗を見つめ、



「………はぁ」



疲れたように大きく息を吐いた。


この世界が生んだとも言っていい、天然の聖女であるミーティナ。

外見は神宿とそう変わらない年格好をしているが、その奥に密かに潜む威圧感は、賢者であるアーチェやファーストとはまたどこか違ったものを感じた。


……それはまるで力ではない、何か。



その上、腹の底を見透かされているかのような気分にもなった。




「聖女か……」




聖女とは、生前の知識の中にあるように、小説やゲームでも知る勇者パーティーに欠かせない役職を持つ存在でもある。

そして、だからこそ、本当なら勇者候補でもある神宿自身、少なからずも関わりを持っていてもよかったのかもしれない。



だが、その思いとは裏腹に、あのミーティナと名乗る聖女とは近づいてはいけない、という嫌な予感があった。

底が知れないからこそ、気軽に近づいてはいけないと、心の内で思ってのかも知れないが、




「………とりあえずカルデラたちと合流するか」




一旦心の整理をするべく頭に積もる考えを横に置き、神宿はそう呟いた。

そんな時だった。



(ん? あれって、確か…)



それは今歩く通路の先にある分かれ道、その中でもあまり人の寄り付かない伝統ある装飾品が壁に展示されている、そんな通路の奥に、




「……………」




目を奪われたかのように展示された装飾品を食いついてそれを見つめる少女、選定の聖女ミカナの姿があった。

だが、その顔からはさっきまでの威厳ある風格はなく、まるで手に入れたい玩具を欲しがる幼い子供のような表情をしていた。



 

「おい」

「っ!?」




そして、突然と掛けられた神宿の声に慌て驚き、顔を赤くさせながら振り向くミカナ。


(調子がくるうなぁ……)


最初にあった怒りの感情が鈍る中で、神宿は頭をかきながら溜息をつきながら、




「……なんであんな事をしたのか、話してくれるよな?」



神宿はこれで二人目となる選定の聖女、ミカナと接触を果たすのであった。



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