カフォンの朝
今回は短めです!
後々に挿絵なども載せれたと思っています!
廃貴族という悪評を持つ少女、カフォン。
彼女の朝は少し早い。
「ふわぁ〜」
早朝に近い時間帯、大きな欠伸をつきながら起きてくるカフォンは、身だしなみを整えるため洗面へと向かう。
「うっ〜」
そして、跳ねた髪や口元のよだれ、後たるんだ顔を水でシャキッとさせながら、カフォンはタオルを片手にリビングへと向かう、と。
「おー、おはよう」
そこにはいつものように朝食の準備をする神宿の姿があった。
首にタオルをかけつつ髪も若干濡れている彼だが、それにはある理由がある。
それは、毎回の事だが神宿はカフォンたちに比べて朝早く起き日課の修行を行っているのだ。
「ちょっと待てろ。もうちょっとしたらオカズ出来るから」
「………」
なんでも師匠であるアーチェから言い伝えられている修行内容はキツい上に量が多いらしい。
その為、朝早く起きてやらない全部できないのだと、神宿がぼやいていた。
だから、朝起き修行した上で皆の朝食を作る、何ともハードな日課を過ごしているわけだが、
「ねぇ」
「ん?」
「頭、濡れてるわよ」
カフォンはそう言って、手に持つタオルを神宿の頭に乗せる。
そして、ゴシゴシと吹きながら、
「ちょ、自分でできるって」
「いいから。トオルはご飯作るのに集中して」
若干照れる神宿を余所に、カフォンはそう言ってゴシゴシを続けるのだった。
そして、神宿が作った軽い朝食。
今日はパンとサラダ、それから焼いたハムと目玉焼きを皿に乗せ、テーブルへと運び、
「いただきます」
「おう」
カフォンは礼儀よく手を合わせつつ、朝食に口をつける。
程よく焼けたパンの上に塩胡椒の効いたハムと目玉焼きを乗せて、それを一緒に齧る。
パリッとした感触がまた美味しさを際立たせてくれる。
自分が作るのとは到底比べ物にならない、おいしい朝食だった。
しかし、それを踏まえた上でーーーー何より、
「もぐっ、もぐっ、ん? どうした?」
「うんん、別に」
もう少ししたら、カルデラとアーチェが起きてくるだろう。
…だけど、それまではカフォン一人だけが独り占めできる。
そう、ーーーーーこの二人っきりの時間が、
「何でもないわよ」
笑顔を向けるカフォンにとって。
毎日の朝食を特別な美味へと変えてくれる、何よりものスパイスだった。




