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ミセシメ






血を流し倒れた神宿。

そんな予期せぬ事態をーーーーーー確信していた人物がいた。





「は…はハッ…」


乾いた笑い声を出し、体を起こすギアン。

だが、その表情からは怒りの形相が隠すことなく露わされ、



(…遅いんだよぉ、ノロまぁがッ!!)




ギアンは心の中で、苛立ちを煮えたぎらせていた。








神宿が倒れた。

その事態にすぐ様、結界の外にいた教師が動き、決闘を中断させようとした。

だが、



「待て」



その言葉と共に、教師の動きが止まった。

周囲にいた生徒たちが騒つく中、皆の視線が、その声の発せられた方向へと向けられーーーーーそこには、




「コイツはまだ、降伏をしていない」





口元を裂いたかのような笑みを浮かべるギアンの姿があった。

そして、ギアンは神宿の元へと足を歩め、彼の目の前に立つと、



「だよなぁ?」



その次の瞬間だった。

ギアンはゆっくりと上げた足を力一杯に踏み下ろしたのだ。



今も血が流れ続けている神宿の傷口に対して。




「がッ、がぁああああああああああああああああああああああーーーーっ!?!?」

「何だよぉ? さっきまでの威勢はどこ言ったんだよぉ、なぁ、おい!!」



笑うギアンは更に続けて傷口を踏みつける。

そのたびに神宿の悲鳴が結界内に轟き、周囲にいた生徒たちからもまた悲鳴が響き渡った。




ーーー敗者に対し、そこまでする必要はない。


ーーーすでに勝負はついているも同然だった。


ーーーそれなのに、教師が止めるよう叫ぶも耳を貸さず、ギアンは狂気に満ちた笑みで残虐な行為を続ける。





奴に逆らえば、自分もこうなるかもしれない。


目の前で起きる光景を前にして、その場にいた者達の心の中に、ギアンに対する恐怖が芽生え始めた…。









ーーーーーーその時だった。




「やめてッ!!!」




その場にいた誰もが声を出せなかった中、その大きな声をギアンに放った者がいた。



ーーーーー私服姿のカフォンだ。




「あ?」


ギアンは聞き慣れた声に足を止め、顔を上げる。


「よぉ、カフォンか? どうしたんだぁ、一体?」

「ッ…お願いだから…もぅ、トオルを傷つけないで! 私、貴方のモノになるからッ! だからッ!!」


自身から奴隷となる。

涙を流しながら、そう自分の身を差し出す言葉を口にしたカフォン。

ギアンは初めは驚いた表情を浮かべた。だが、口元を緩ませ、



「ああ、そうかそうか。そりゃあ、好都合だ」

「…っ、それじゃあ」


カフォンがその言葉の続きを言おうとした。

ーーーーだが、







「だが、それだとまだ足りねぇなぁ?」

「ーーーーぇ?」







ダン!!! と、その直後だった。

ギアンは再び、神宿の傷口をその足で踏みつけのだ。




神宿の悲鳴が響く。

目の前で行われた惨劇に、カフォンの顔は血の気が引いたかのように青白いものへと変わる。


その中でギアンは、


「コイツは俺に恥をかかせた。なら、それ相応の代償も必要なわけだ」



だから、と言葉を続け、ギアンはカフォンに対してーーーー命令をした。




「脱げ」




それは奴隷という言葉だけでない。





「この場で衣服を脱ぎ捨て、俺の奴隷である事をここに宣言しろ」





カフォンという一人の人間を完全に奴隷として貶めるための公開場をギアンは設けたのだった…。


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