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対峙する相手




ーーーー早朝。

熱も次第に落ち着き、静かな寝息を立てるカフォン。


そんな彼女の傍で、



「それじゃあ、カフォンさんの事、よろしくお願いします」

「はい。お気を付けてください、カルデラ様…トオル様」



カフォンの使用人、ラフリサに見送られ神宿たちは男子寮を後にした。





ーーーーーーカフォンを助けるために、決闘の地へ向かうために。








ーーー決闘当日。


ギアンの手筈もあり、その日。

学園の授業は全て取り止めとなり、決闘場となるグラウンドには試合等によく用いられる結界の魔法陣が地面に大きく書き出されていた。



「…よく来たなぁ」



そして、グラウンドの中心でギアンとルティアが待ち受けている。


試合場所へと歩く神宿とカルデラは周囲の視線が集まる中、怖じける様子もなく足を動かし続けーーーーーそうして、彼らの前に立った。



ギアンは神宿を睨みつけ、そして、その隣に立つカルデラに視線を向ける。



「カフォンはどうした? ここにはいないようだが」

「……黙れよ」

「あ?」



にやけ顔で口を開くギアンに対し、神宿は据わった目を細め、口を開く。




「お前が、あいつの名前を口にするんじゃねぇって言ってんだよ」





その直後。

その場の雰囲気が重苦しいものへと変質する。

それは、離れた場所にいた戦いを観に来た生徒たちですら感じ取れるものだった。



「…………」

「ハッ、その減らず口がいつまで続くか、楽しみだぜ」



ギアンはそう言って、振り返りながらその場から離れていく。

神宿たちも同様に離れようとしたーーーーーーーーーだが、その時。



「ねぇ、ちょっと」



ちょんちょん、と神宿の肩をつつく指が現れた。

振り返るとそこにはギアンの妹であるルティアが立っており、



「初めまして、私、ルティアと言いますの」



そう言って、口元を緩ませ神宿を見定める。

そして、一通り見た後に彼女は口を開き、



「この決闘の後、貴方は私のモノになるの。だから、それまで精々死なないよう気をつけてね」



そう言って彼女は去って行った。


「………は?」


わけもわからず固まる神宿。

だが、その隣では険悪な表情を露わにするカルデラの姿があるのだった。







試合形式は二試合。

先にギアンの妹であるルティアが出る様子らしく、


「私からですね」


そう言ってカルデラは腰に藍色の剣を携え前へと歩いていく。


この残り少ない期間、アーチェに修行をつけてもらった彼女だが、急な話に加えて短い時間だった為、大きなレベルアップは叶わなかったと、アーチェは言っていた。



「そういえば、アーチェさんは」

「…いや、何かやることがあるって、師匠は言ってた。後ファーストも後から来るって」

「…そう、ですか」



この場に賢者の一人でもいれば、少なくてもアドバイスぐらい貰えたかもしれない。

だが、それが叶わない以上、己の力のみでやるしかない。


唾を飲み込むカルデラは心を落ち着かせるようにして、呼吸を整える。

そして、



「…カルデラ、お前」

「大丈夫です。……カフォンさんの為にも、絶対に勝ってきますから」




神宿の言葉を上書きするようにカルデラはそう言って笑った。

そうして、決闘の地となるグラウンドの中心へと足を運ぶのであった。








グラウンドの中心。

二人の選手が位置についたと同時に結界が作動し、真四角の透明な箱が彼女たちを閉じ込める。



「あらあら、本当にあの廃貴族でないの?」

「……ええ、私が貴女の相手です」



その手に鞭のような武器と魔法具らしき宙を浮いた盾を従えるルティア。

対するカルデラは藍色の剣を構え、




「……絶対に負けない」






ーーーーーそうして、第一試合の幕が切って落とされたのであった。



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