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母親になれない  作者: 紫苑
8/10

念願


 初めて避妊を辞めてから5ヵ月目。生理が来ない。生理予定日予測アプリにとうとう検査薬をしてみましょうと表示された。


 期待と不安が入り混じる中、仕事終わりに近所のドラッグストアで検査薬を買った。夜に源次が帰ってきたらしてみるつもりだ。私が家に着いたには18時を少し過ぎた頃。源次が帰って来るまであと2時間近くある。テレビをつけてみたものの気になって落ち着かない…。私は待ちきれず検査薬の箱を持ってトイレの前をウロウロしていた。時計を見るもまだ19時になったばかり。

 

 私は結局待ちきれず箱を開け、2本入りのうちの1本の検査薬に規定の尿をかけた。すぐに結果を見る勇気がなくトイレの床に置き一旦リビングへ戻りコップに注いであった麦茶を流し込み深呼吸をした。そそて、トイレに戻り先ほどの検査薬を手に取り、薄目でおそるおそる見てみると線が2本ハッキリと出ていた。頭が真っ白になり、震える手で箱に書いてある判定の写真と見比べる。…陽性だ。妊娠していることを検査薬がハッキリと示している。


 暫くして、玄関のドアが開き源次が帰ってきた。

「ただいま。検査薬買って来たの?」

まだ検査をしたことを知らない源次が鞄を置きながら言って来た。

「実は待ちきれなくて先にやっちゃたの…」

まだ私は落ち着けず声のトーンが震えてたのだろう。

「そうなんだ、その感じからすると…また頑張ろう、大丈夫?」

「違うの!見て!!」

先ほどの検査薬を源次に渡すと源次は目を丸くし

「まじ…まじ…?やったーーーー」

予想以上に喜んでくれた。そんな源次を見て、愛する源次の子供をやっと宿せたことに涙が少し出てきた。

「理沙、俺もパパになるんだな。あ、病院はいつ行く?体冷やすなよ、もう1人の体じゃないんだから!」

「病院はまだ行っても早いかもしれないから、来週には行ってくるね」

 源次は一緒に行くと行ったが来週は私と源次の休みが合わず1人で行くことにした。母親にメールで妊娠したことを伝えた。返事はすぐに来て喜んでくれた。


 その日の夜から源次は「1人の体じゃないんだから」と以前から家の事を色々とやってくれていたが、更に色々とサポートしてくれるようになった。



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