撃沈
次の日の朝、横で寝ている源次を起こさないようにベッドから起き上がろうとしたとき、下着に違和感があった。ひんやりと濡れているような。嫌な予感を抱えつつそのままトイレに行くと、赤い血で下着が少し汚れていた。なぜか、生理は来ないと思っていたからか悲しいというよりも動揺が大きかった。血で汚れた下着をつけ置きし生理用のショーツを履き昨日念のため買っておいたナプキンをあてた。
ぼーっとリビングでテレビを観ていると源次が眠そうな顔をしながら起きてきた。
「おはよう、早いんだね。」
「起きたら生理が来てたの。妊娠してなかったみたい。」
「そっか…残念だけどまだ1ヵ月目だしこれからまた頑張ろう。今日買い物終わったら美味しいものでも食べようか」
源次の優しい言い方で少し立ち直ることが出来た。
2人でダラダラしながらテレビを昼過ぎまで観て軽く昼食を済ませ、メイクをして約束通りショッピングモールへと出発した。
土曜日ということもあり、混んでいる。家族連れも多い。なんとなく今日は赤ちゃんを見たくなく、子供連れを見るたびに源次の手をぎゅっと握った。源次も何かを察しているのか私が強く握ると、源次も握り返してくれた。
日用品の買い物を終えると、モール内にあるレストラン街で大好きなパスタを食べた。「今日は特別ね」と源次が私にワインも頼ませてくれた。
まだ子供を作ろうとしてから1ヵ月目なのにこんなに生理が来ただけで落ち込むなんて考えすぎだな、と反省した。