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初!異世界転移!?  作者: ゆとさん
3/3

Ⅲ 聖女闘争編



獣人の里を後にした異世界人の俺と王国騎士団長セインと新たに共に冒険する事になった獣人のミュアの三人は次の目的地ホリルニアを目指して旅立つことになった。

『で、何処なんだ?ホリルニアって』

『知らん!』

お前な。。 

自分の行きたい場所位知っておけよ!

『なら、何で行きたいとか言うんだよ』

『行きたいものは仕方がないだろう!』

何で逆ギレしてんだよ。

この残念騎士は。

『貴様今失礼なこと考えたな?』

『何故バレた』

いやいやそんなわけないだろ

『シュウさん。恐らく本音と建前が逆になっています』

はは、俺としたことがやらかしてしまったようだ

だから謝るのでどうか首を絞めるのをやめて頂けませんかね。セインさん

『く、くるし』

『まったく、失礼なやつだ。』

俺も悪いけどお前も悪いだろ

理不尽だああああ

でも、首閉められるの嫌だから口には出さないでおこう

『私知ってますよ?ホリルニアの場所。確か、天使アリフォルンを信仰している聖者の街ですよね?』

『そうだ!やけに詳しいな!』

『一度だけ買い出しに行ったことがあるんです!街の人たちは皆いい人達でしたよ』

『なら早速案内してくれ』

はい!と元気よく返事をしたミュアの後ろを俺とセインは着いていった


『まだ着かないのか?』

声をあげたのはセインだ。

あれから俺たちはかれこれ二時間近く歩いていた。

『はい!ホリルニアまでは後、二日ほどかかりますよ』

『なに?二日だと?』

お前が行きたいって言ったんだから黙って歩けないのか

『し、シュウおんぶしてくれ』

『嫌だ』

馬鹿野郎。現代日本に生きていた俺がそんな体力あるわけがないだろう?

ほら、見ろ!もう俺の足がガクガクだ

『な、何故断る!私は重くはないぞ!』

『重いとかそんなんじゃなくて、俺も足が限界っぽい』

『少し休みますか?』

そう言うミュアはまだピンピンしている。さすがは獣人って所か。身体能力が凄まじい

『って言っても休んだら動きたくなくなるしな』

そう。一度休憩すれば俺のやる気は皆無になってしまう

『ん~、そうだ!』

俺は閃いてしまった

『ドラ吉!』

俺がそう言うと目の前にアームドドラゴニアのドラ吉が現れた。

『お願いがあるんだけど、街まで乗せていっては貰えないだろうか』

俺より先にセインが口を開いた。

『グルル』

ドラ吉は乗れと言わんばかりの首の動かし方をした。

俺とセインとミュアはドラ吉の背にのった

『ドラ吉疲れたら休んでいいからな?』

俺がそう言うとドラ吉は嬉しそうに喉をならした

『ヾ~$▽△⊇∽√∬∬♯¶ΤΦ』

ミュアが訳のわからない言葉を話始めた。

壊れたのか?

『グル』

するとドラ吉は頷くように首を縦に降った

『行き先を教えました』

すげええええええええ

ミュアすげえ!

『ドラ吉と話せるのか?』

『はい!獣人族は魔物や動物と会話が出来るんです!』

『すげえ!セインすげえぞ』

そう言ってセインの方を振り向くと

『zzz 』

セインの馬鹿はぐっすりと眠りについていた。


『なあ、ミュア達獣人族は生まれた時点でもう耳とか尻尾があるのか?』

『はい!獣人族から生まれた者は確実に尾や耳が生えています。』

『へえ~。やっぱり耳とか尻尾は敏感なのか?』

『そ、それは、はい』

ミュアは顔を真っ赤にして俯いた。

『わ、悪い!そんな変な意味で言った訳じゃ』

『わ、わかってます!わかってます!大丈夫です』

ふう、変な汗をかいた。

でも、敏感なのか。

少し触ってみたいな。

『あ、あの、触ってみますか?』

なん、だと?

現代日本ではモテた訳でも無くただただ平凡に過ごしてきた俺に獣耳娘の敏感な所を触ると言うチャンスが来ただと?あの駄女神に少しだけ感謝をしよう。

『い、いいのか?』

『は、はい!シュウさんになら』

そう言ってミュアは自分の頭を触りやすいようにシュウの手の前に持ってきた

い、いいのか?本当に

心臓がバクバクしてきた。

『じ、じゃあ』

そう言って俺はミュアの耳を触った

フワフワだった

『ふぁ』

ミュアは思わず顔を真っ赤にして声をあげた

『ヤバイ。何だこれ、フワフワだ』

俺は思わずモフモフと触ってしまう

『や、あ、あの、ふぁ、シュウさん』

ヤバイ、触りすぎたか

俺は急いで手を離した

『ご、ごめん』

『だ、大丈夫です』

俺は何か恥ずかしくなって顔を背けた、ミュアも同じのようだ。

『あ、あの、どうでした?』

ミュアは恐る恐る訪ねてきた

『あ、ああフワフワだったな。』

俺は思わず顔がにやけてしまう。

『そ、そうですか』

思わず沈黙が続いた。

セインは相変わらず、ずっと寝ていた


ドラ吉に乗ってから半日が経過した。流石はB+級の魔物と言うべきか。休憩なしでまだピンピンしていた。

寝ていたセインはようやく目を覚まして欠伸をしていた

『ふぁー、着いたか?』

セインが目を擦りながら話しかけてくる

『まだだよ!』

『何?まだなのか?』

こいつ、自分はずっと寝ていた癖に何がまだなのか?だよ

『もうすぐですよ!』

先程から前を見詰めていたミュアが口を開いた

『ドラ吉大丈夫か?』

『グルル』

どうやら、まだまだ平気のようだ。

『なあ、シュウ。私はお腹が空いたのだが。』

爆睡してたてめえは黙ってろ!と心の中で突っ込みつつ俺はあえて無視をした

『見えてきました!』

どうやら、そんなこんな話している内にホリルニアが見えてきたようだ。

俺とセインは前のめりに乗り出してミュアが指差す方向を見た。

『あれがホリルニアか』

その街は街全体が真っ白で統一されていた。遠目からでも一番高く見えるのは大きな教会のようだった

『久しいな!ホリルニア』

セインも目を輝かせながら口を開いていた

『さあ、ラストスパートですよ!ドラ吉さん頑張ってください!』

『グルル』

ミュアがそう言うとドラ吉は嬉しそうに喉をならしていた


『到着です!』

ミュアが声を上げた

『へえ!ここがホリルニアか。凄い教会だな』

俺は街の中心にある巨大な教会を見てそう呟いた

『ドラ吉ありがとうな!もういいぞ!』

街の人々が驚いてはいかないので俺はドラ吉を戻した

これ、戻したドラ吉やランランは何処にいるんだろ、と

ふと気になるがそれはまたセインに聞く事にした

『うむ!懐かしいな!』

セインも辺りを見渡して感激していた。

『セインの友人は何処にいるんだ?』

『ああ、あそこの大聖堂にいるはずだ』

へえ、あの巨大な教会大聖堂って言うんだな

『なら、とりあえず行くか』

そう言って俺とセインとミュアは街の中心にある大聖堂へと向かった。

向かっている最中、ふと通っていく人々を見ると全員修道服のような者を来ていた。現代日本に生きてきた俺にとってはすごく物珍しい光景だった

『なあ、セイン。この街の人達は皆あの修道服みたいなのを着ているのか?』

『ああ、どうやらその様だな。私も詳しくわ知らないが』

『天使アリフォルンに使える者として極力自身を包み込むような服を着るのが基本らしいですよ!』

詳しいな。流石はミュア

とりあえずナルホドと言う

返事だけをしておいた

『着いたぞ!ここが大聖堂だ』

遠目からでもあんなに巨大だった分近くで見ると死ぬほどでかいな

『とりあえず扉を開けるぞ』

セインがそう言って扉を開くとそこには何十人もの修道服を来た人々が立っていた

街の人々とは少し服のデザインが違うようだ。

『ようこそ、天使アリフォルンに導かれし者達よ』

修道服の女性達の中から一番立場が高そうな女性が俺たちの前に立ち挨拶をした

『あ、ど、どうも』

俺は思わず戸惑ったまま挨拶を返した

『はじめまして、私は元王国騎士団長セイン・ロードレッドと申します。此方にティアナ・レヴァンと言う女性が居ると思うのですが。。。どちらに居るかご存知ですか?』

セインは右手を胸に当てながらそう話した。

本当こう言う時は礼儀正しいな。と思った

『ティアナ様なら恐らく北の教会に居るかと』

『そうですか。情報提供ありがとうございました。』

セインは深々と頭を下げた

『いえ、天使アリフォルンのご加護があらんことを』

この街はこんなにも天使アリフォルンを信仰しているんだな。と俺はふと思った

『と言うわけでシュウ、ミュア北の教会に向かおう』

セインはそう言うと颯爽と歩き始めた。俺とミュアはその後ろを付いていく

『お、おい!セイン!北の教会の場所って』

『知らん!北に行けばあるだろう』

やっぱり、なにも知らなかった。まあ、あるだろうけど

『ミュアは知らないか?』

『すみません。この街には一度しか来たことが無いので』

ミュアは申し訳なさそうに此方を見ていた

『嫌、全然大丈夫だぞ?』

どうやら普段のセインに慣れているせいか俺はしっかりと謝られることに弱いみたいだ

『とりあえずセインに付いていくか』

『はい』


とりあえず北に進もう。と言ったセインの案を飲んだ俺とミュアはセインの後ろを付いて歩いていた

『わっ』

ミュアは突然修道服をきた一人の女性にぶつかられた

『すみません』 

その女は一回頭を下げるとそそくさと再び歩き始めた

ミュアには謝られた時に何やら笑っている様に見えたが

気のせいだと思い特に気にも止めていなかった

『なんだ、あの女感じ悪いな』

シュウは先程の女性をキッと睨んでいた

『だ、大丈夫ですよ!謝っていただきましたし!』

『なら、いいんだけどな』

少しだけ俺は妙な悪寒を感じた。

『着いたぞ!恐らくここが北の教会だ』

セインの浅はかな考えでとりあえず北に向かったが本当にあったようだ

『にしても』

『ボロボロですね。何故セインさんのご友人はこんな所に』

そこには大聖堂とは比べ物にならないほど小さくボロボロな教会が街外れにポツンと立っていた。

『さあな、奴の考える事の八割方は分からんからな』

セインにこんなに言われるとはどんな可哀想な奴なんだろ

少し気になるな

『とりあえず入るか』

そう言って扉を開くとボロボロの教会の奥に一人祈りを捧げている女性がいた

『おお!ティアナ!久しいな!』

そう言ってセインは女性に近づいていく

すると女性は振り向いた。

修道服を着ていて髪は透き通るような銀髪の女性だった

『お久しぶりでございますね!セイン・ロードレッド騎士団長様』

その女性はとても丁寧な言い草と天使のような笑顔をセインに向けていた。

『ははは、よそよそしいな!』

『ふふ、最初の挨拶は肝心でございますからね』

そう言ってティアナはソッと手を向けてくる。

『そちらのお二方は王国の方でございますか?』

『あ、いやいや、俺は織原集って言ってセインの冒険仲間だ。』

『私はリリナ・ミュアです。同じくセインさんの冒険仲間です』

そう言うと女性はニコニコと笑いながら

『あらあら、ということはセイン様。騎士団長はお辞めになられたのですか?』

『ああ。辞めた!』

正確には終われる身になって逃走中なんですけどね

『それよりティアナさんはどうしてこの教会に?』

『ふふ、さん付けは必要ございませんよ。』

『あ、ああ、じゃあティアナ』

『そうですね。私が大聖堂に行かず此方にいる理由でございましたね?ただ単に私と向こうの人々では信仰している主の違いです』

主の違い?なんだそれ

『えっと、確かここの街の人々が信仰しているのは天使アリフォルンだったよな?』

『その筈です』

俺の問いにミュアは答えた

『なら、ティアナはどんな天使を信仰しているんだ?』

『馬鹿者!ティアナが信仰しているのは天使ではない』

へえ、天使以外にも信仰する事があるんだな。

でも、何故それだけで教会を変える必要がある?

ただ除け者にされてるんじゃねえのか?

『私が信仰しているのは女神ラル様でございます』

ちょっと待て落ち着こう

女神ラル。。。。

何処かで聞いたことがある様な気がするぞ。

んーーーーー。

あ、あの駄女神の事か?

ナルホド!

そりゃ、除け者にもされるな

何せあの駄女神を信仰しているんだからな。

『な、なあ、ティアナは何であの駄女が、ゲフンゲフン、め

女神ラル様を信仰しているんだ?』

あぶねえええええええ

駄女神って言い掛けたああ

『何故、でございますか。

理由などございませんよ?』

『へ?』

思わず変な声が漏れてしまった

『私は産まれたときから女神ラル様を信仰する運命にあったのでございます』

『な?言っていたの通り変わった奴だろ?』

想像の斜め上を行ったわ!

『そ、そんなこと無いと思うが。』

だってお前も中々の変な奴だろ?慣れている

『ふふ、お優しいのでございますね!』

ティアナはニコニコと微笑んでいる

『しかし元王国副騎士団長のティアナが今や聖女とは立派になったものだ』

ん?んんんんんんんんん?

聞き間違いかな?

『懐かしいですわね』

『鬼狩りのティアナと呼ばれていた時期が懐かしいな』

『昔の事でございますよ』 

そう言って二人は笑っている。状況に付いていけないんだが。。。

『え、ティアナって元王国騎士団だったのか?』

俺がセインに問い掛ける

『ん?言ってなかったか?』

聞いてねえよおおおおおおお

『あれ、でも先程産まれた時から女神ラル様を信仰する運命にあると言っていませんでした?』

ミュアが不思議そうにティアナに訪ねている

『あ、でしたら訂正いたします。騎士団を退団してからと言うことでお願い致します』

うん。前言撤回

この子はセインに負けず劣らずの変人だ。

そして適当人間だ。

『そ、そうなんだ』

俺は苦笑いしか出来なかった

どうやら王国騎士団は変人が多いみたいだ。


『本日は滞在なされるのでございますか?』

それとなく会話を済ませた後、ティアナが今後の予定を訪ねてきた

『うむ!滞在する!』

勝手に決めやがった。

まあ、いいんだけどな

『ドラ吉も疲れているでしょうし本日は滞在しませんか?』

セインが勝手に返事したのを俺が不快に思ったと思い込んだミュアが丁寧に聞いてくる

『ああ、そうだな!』

確かにドラ吉も疲れているだろうしミュアも俺も寝ていないから限界だな

セインは爆睡してたけどな!

『なら、私のお家へおいでください』

ティアナが提案してくる。

『ああ、ならセインとミュアだけ泊めてやってくれ。』

女だらけの家に俺も泊まるわけにはいかないからな。

理性が持たない。

『シュウ様はどうなさるのでございますか?』

『俺は適当に野営するさ。』

『な、なら私も一緒に夜営します!』

うん。ミュアは優しいなあ

ウキウキでもう俺の発言すら聞いていないセインにも見習ってほしいな。

『大丈夫だ!ミュアは今日ずっと起きてたんだからゆっくり寝ときな』

『ですが。。。』

食い下がるミュアの頭を撫でるとミュアは不本意ながらもわかりました。と呟いた

『さあ、早く行こう!ミュア、ティアナ!』

お前も少しは俺を労れ!!

とシュウは心の中で叫んだ


セイン達と別れてからシュウは一人街を出て直ぐの森の入り口付近にいた

『今日はこの辺で寝るか』

にしても、少し寒いな。

そしてふと閃いた

『ティコ』

そう言うと目の前に神々しささえ感じさせる元神獣の魔物マンティコアが現れた

『アルジヨ、ドウカシタノカ?』

『別にー』

そう言うと俺はマンティコアの体にもたれ掛かる。

暖かい。

『ワレハナスベキコトガアルトモウシタハズダガ、』

『今日位はいいだろ?』

『フム、アルジトシンボクヲフカメルノモシタガウモノノヤクメカ』

そう言ってマンティコアはその場に座り込んだ。

座り込んでしばらくした後マンティコアが口を開く

『アルジヨ、アルジガコノセカイノモノデハナイトアノモノタチニハナシテイナイヨウダガリユウハアルノカ?』

『対して無いよ。ただ、混乱させるのもな』

にしてもティコは俺が異世界から来たことを知っていたのか。その理由はまた今度聞こうか。

『フム、マア、ソレモヨシダロウ』

『ティコはどうして俺と契約をしたんだ?』

俺は疑問を投げ掛ける

『キョウミガワイタ、トイウノトアルジトイレバナニカワレガワクワクスルコトガアルヤモシレヌトイウキタイカラダ』

『なるほどな』

『アルジニハセイゼイワレヲタノシマセテモラオウ』

『任せとけ』

『キタイシテオコウ。ソレトアルジヨ、コノマチナニカヨカラヌケハイガスル』

『良からぬ気配?』

『ウム、コノケハイハ、オチタテンシトイッタトコロカ』

『堕ちた天使?』

『ワレカライエルコトハセイゼイチュウイヲオコタラヌコトダナ』

『どういうこ、とだ?』

そう呟いてる途中にすさまじい眠気が襲ってきた。

そして俺は眠りについた


シュウが眠りについた少し後

大聖堂。

『ああ、天使アリフォルン様。どうか我々にご加護を』

修道服を来た一人の女性がそう呟くと天に浮かんでいる一人の女性が口を開いた

『ふふふ、妾が一晩いない間にネズミが三匹この街に足を踏み入れたようだが』

『はい!冒険者のようでございます』

『ふむ、女神ラルの加護を受けし者も来ているようだな。ふふふ、楽しめそうね』

その女性は漆黒の羽を羽ばたかせて夜の空へと消えていった。


翌朝

シュウは両肩に妙な違和感を覚えて目を覚ました

『ん、ふぁーーって、ええええええええええええ』

そう。両肩にはセインとミュアがもたれ掛かって眠っていた。

『ど、どういう状況だ?』

セインとミュアはスースーと寝息を立てて寝ている。 

待て、落ち着け俺。平常心だ平常心。

昨日俺はティコと一緒に眠っていた筈だ。だが、目を開くとティコの姿は無くセインとミュアが寝ている。

俺はラブコメ系主人公でも異世界ハーレム主人公でも無い筈だ。異世界冴えないツッコミ主人公の筈だ。

そんなことを考えているとセインとミュアが目を覚ました

『ふぁーー。おはようシュウ』

『おはようございますぅ』

目を擦りながら挨拶をする二人は滅茶苦茶可愛い。

ってそうじゃない

『おはよう!じゃなくてどうしたんだよ!二人ともティアナの家に泊まったんじゃないのか?』

『ああ、だが、一人だと可哀想だとミュアが言うんでな。仕方なくだ』

『え?違いますよ!セインさんがアイツ風邪を引くんじゃないだろうか?とか騒いで』

『な、な、何をいっている?ミュアが私の体で暖めて差し上げないと!とだな』

『わ、わ、わ、セインさんも一肌が恋しいだろうと』

『わあああ、落ち着け落ち着け!ティコは?ティコは何処にいった』

そう。ティコの姿が無いのだ

『ティコなら私達が付いたときにはもう居なかったぞ』

どういう事だ?

まあ、契約したときも飛び立っていったし自由なんだろうな。とシュウは思った

『それより、ティアナは?』

『それが、私達が家を出てきた時には姿が見えなかったんですよ』

居なかったって、何処かに行ったのか?

『んーー心当たりは?』

『さあ、なにも言ってませんでしたけど』

『まあ、あの変人の事だ。夜まで待てばフラッと帰って来る筈だ。』

まあ、お礼も言わないといけないからな。

とりあえず夜まで待つか

『なら、とりあえず夜までブラブラと待つか』

『ですね!』

『そうだな!』

そう言って俺達は夜まで街をブラブラとしていた。

ふと昨日より人数が少ない様な気もするが気のせいだろう

と俺は特に気にしなかった


そして夜

ティアナの家の前で待つが一向にティアナが帰って来る気配がない。

『可笑しいな。』

セインがふと思った事を口にする。

『街の外に出掛けたのでは?』

『それなら私に一言断っていく筈だ。ティアナは変人だが常識はあると思うぞ』

そんな話をしていると一人の修道服を来た女が近寄ってくる。

『少しよろしいでしょうか』

女は不敵に笑っていた

『どうしたんだ?』

『少し付いてきて頂きたいのですが』

女はそう言うと俺とセインとミュアに大聖堂まで来てほしいと続けて話した。

俺達は黙って付いていくことにした


大聖堂


大聖堂に入ると俺達は驚愕した。大聖堂の中心の十字架にボロボロになったティアナが縛られていた

『ティアナ!』

徐にセインは叫んだ

『お前らこれはどういうつもりだ!』

続けて俺も怒鳴った。

すると昨日ティアナの場所を教えてくれた修道服の女が口を開く

『天使アリフォルン様のお告げがあったためティアナ様には制裁を加えさせていただきました。』

『制裁だと?』

セインはギリッと噛み締める

『はい!不届きにも天使アリフォルン様を信仰しないこの者を制裁しろとのお告げです。』

『お告げだと?ふざけるな!』

俺が叫ぶと女は不敵に笑っていた。

『ふふふ、怒っている暇はございませんよ?お告げには貴方達の排除も含まれていますから』

そう言うと修道服を来た女たちは一斉に襲いかかってくる。50人ほどはいるだろうか

『くそ』

俺とセインとミュアは戦闘体勢に入った


『くそっ』

俺は武装している修道服の女の攻撃を避け続けていた

『何をしている!ドラ吉かランランかティコを出せ!』

襲いかかってくる女たちを見事に峰打ちで倒しながらセインが叫ぶ

『馬鹿野郎。ドラ吉達は腐っても魔物だ。下手すりゃ俺が命令しても殺しちまう』

『そういうことか!』

そう言ってセインはまた一人に峰打ちを決める、普段は変人だが流石といったところか

『はっ』

ミュアもミュアで顔を殴らないように注意しつつ腹部に蹴りや殴打を入れている

『なら、セインさんと私でシュウさんをお守りします!』

そう言ってミュアとセインは俺を囲みつつ修道服の女たちを倒していく。

なんだ!セインもミュアも戦いになれば滅茶苦茶頼りになる!すげえ

と考えてしまうほど二人は圧倒的だった


しばらく戦っただろうか。 現在立っているのは俺とセインとミュア、そしてリーダー格の修道服の女だった

『これほどとは』

修道服の女は驚愕の表情でこちらを見ていた

『ふう、さあ、観念しろ』

『そうです!』

一方のミュアとセインはピンピンしていた

『ふふ、』

女は再び不敵に笑っていた

『何がおかしい?』

セインが殺気だちながら睨むと女は口を開いた

『おいでください天使アリフォルン様。』

そう言うと暗闇の天井辺りから一人の女性が現れた

背中には翼が生えている。

しかし、その翼は漆黒の色をしていた。

俺は知っている。

現代日本では堕天使と呼ばれている容姿をしていた

『ふふ、御苦労様です。』

そう言うと堕天使はシュウ達の前に降り立った

『はじめまして。妾はアリフォルン。天使としてこの地に望みを与える者だ』

『天使だと?』

セインがキッと睨む

『望みを与える者が何故ティアナ様への暴力を指示するのですか!』

続けてミュアも声をあげた

『ふふ、そこの女は妾を信仰せず逢わずとも女神ラルなんぞを信仰すると言う悪行を働いた。当然であろう?』

『誰が誰を信仰するかは自由だろう!』

『ふふ、人間よ。口を慎め』

そう言うとセインに向かって指を突きつけた。

すると指の先から閃光の刃が放たれた

『グアッ』

閃光の刃がセインの右肩に突き刺さる。

『てめえ、』

俺が殴りかかろうとするが華麗に避けられ背中に閃光の刃を3本ほど突き刺される

『ガッ』

いてえ、なんだこれ。

血だ。

『シュウさん!セインさん!』

『ふふ、ソナタにも妾の刃を突き刺してやろう』

そう言うとアリフォルンは指をミュアの方へと向けた

『やめろおおおお』

血へどを吐きながらシュウは再びアリフォルンに殴りかかる

『しつこいな』

そう言うとアリフォルンはシュウの腕へと刃を突き刺さした

『があああああああ』

ちくしょう、いてえ、

日本でこんな痛みを味わう事は無いだろう。

『き、きさま』

セインも立ち上がろうとする

『ふふ、面白いぞ。これほど妾に歯向かおうとするとは』

『がああああああ』

俺はもう一度殴りかかる。

しかしやはり当たらない

『しつこいな』

アリフォルンはパチンと指をならした。

すると先程まで倒れ伏せていた修道服を来ている女たちが再び立ち上がった。

しかし目に光はない

『こ、れは』

セインが血を吐きながら口を開くとアリフォルンは笑いながら答えた

『興醒めだ。ここの女たちに始末して貰おう』

アリフォルンは油断して笑っている

今だ!と俺は不意に思った。

そして俺は見事にアリフォルンの頬に一発の拳をぶちこんだ。

『ガッ』

アリフォルンが床に転がる

『き、きさまああああ』

先程までの余裕はなく本気の怒りの目でシュウを睨んだ

『セ、インを突き刺した分と、ミュアを、こわがら、せた分と、ティアナを、殴る、命令を、した、分だ』

そう言って俺は地に倒れた

『シュウ』

『シュウさん』

二人は熱のこもったとした目で倒れているシュウを見つめた

『貴様らあああああ』

アリフォルンの怒りは収まらない。

セインとミュアも抵抗しようとするが人数が多すぎる。

直ぐに修道服の女たちに捕らえられてしまった

『貴様ら三人は妾が直々に殺してやろう!何か言い残す事はないか?』

アリフォルンはそう言うと閃光の刃を3本作り出した。

その台詞に俺とセインとミュアは口を揃えて答えた

『『『糞食らえ』』』

『ほお、その度胸だけは認めてやろうではないか』

そしてアリフォルンの刃がシュウ達の胸に届く。

事はなかった。

『な、な、何故』

アリフォルンが目を見開く

何が起こったんだ?

シュウ達が恐る恐る目を開く

『キオツケロトイッタハズダガ?ワガアルジヨ』

目の前には巨大な魔物がたたずんでいた

『『『ティコ』』』

俺達は口を揃えてその名前を呼んだ

『な、何故元神獣のマンティコアがこんなところに』

アリフォルンが驚愕した表情で口を開いた

『アルジノモトヘトカケツケルノハケイヤクジュウトシテトウゼンデアロウ』

そう言ってマンティコアが一吼えするとそこにドラ吉とランランも現れる

『ガルルルルルル』

『グルルルルルル』

『ドラ吉、ランランお前らまで』

『サテ、キサマラハネムレ』

そう言ってティコが威圧を放つと修道服の女たちは全員その場に倒れ伏せた

『ティコ』

『キゼツサセタダケダ』

マンティコアはそう言うと再びアリフォルンの方を睨んだ

『サテ、ケイセイギャクテンダ』

『ふざけるなあああああ』

そう言うとアリフォルンは閃光の刃をティコに飛ばす。が、それは目前で打ち砕かれる

『シンジュウニ、オチタテンシノコウゲキガキクトデモオモッタノカ?』

『くそ、くそくそくそ』

アリフォルンは何度も閃光の刃を放つがティコによって何度も打ち砕かれる。

『オワリカ?』

『何故、何故貴様のような神獣がそんな奴のしもべなのだ』

『キサマノチイサナシャクドデワガアルジヲハカルナ』

ティコがキッと睨む

『コノママキサマヲクライツクシテモイイガソレハワレノヤクメデハナイヨウダ』

そう言うとアリフォルンはハッとして背後を振り向く

そこにはティアナが立っていた。縛っていた鎖はミュアがほどいたようだ。

『あなた様に女神ラルのご加護があらんことを』

そう言うとティアナは首に下げた十字架をアリフォルンへと向けた

『貴様あああああ』

『グランドクロス』

そう言うと十字架から凄まじい閃光と共に極大のエネルギーが放出された

『グッ』

最初は耐えていたアリフォルンだが徐々に耐えられなくなりそして

『があああああああああ』

アリフォルンはエネルギーと共に大聖堂の天井を貫き彼方へと飛ばされた

『ご加護があらんことを』

そう言ったティアナが手に持っていた十字架がヒビが

入りそして割れた。

そしてティアナはその場に倒れ伏せた


『どう言うことなんだ?ティコ』

血だらけながらもギリギリ話せる俺はティコに質問した

『ワレガココニアラワレタコトカ?』

『ああ』

『サクジツカラコノマチノフオンナケハイニハキヅイテイタガカクショウガナカッタノデナ。スコシセンリガンデカンサツサセテモラッタ』

『そうか、セインとミュアとティアナは無事か?』

『アア、ブジダ』

『なら良かった』

『シュウさん!』

不意にミュアが駆け寄ってくる

『大丈夫か?ミュア』

『私は閃光の刃は受けなかったので、セインさんも無事です。』

『そうか、』

そう言った所で俺の意識は遠退いていった


上空

『ガハッ、ハアハア、小癪な奴等め、いつか、必ず』

ボロボロになりながら堕天使はそう呟く

『その必要はない』

『誰だ?』

『堕天使に堕ちた貴様の元同僚だ』

そう言うとそこには真っ白な翼をした一人の女性が現れた

『貴様、セレス』

『久しいな、そしてさようならだ』

そう言うとセレスと呼ばれた女が光の矢を作り出した

『く、閃光の刃』 

しかし打ち砕かれる

『上位天使にはきかないな。さらばだ』

『し、死んでたまるかああ』

そして光の矢はアリフォルンの心臓を貫いた

セレスはアリフォルンが死亡したのを確認すると空へと消えていった


『ハッ』

目を覚ますとそこは見慣れない天井だった

『ここは』

『目が覚めましたか?』

声のする方へ向くとそこにはティアナが立っていた

『お体に異常はございませんか?私の治癒魔法をかけましたが』

『あ、ああ。それよりミュアとセインは!』

しかし傷がズキッと響きもう一度ベッドに寝転んだ

『落ち着いてください。セイン様ならもう傷は治り外でミュア様と遊んでいます』

遊んでいますって、

まあ、無事なら良かった

『それより、ティアナは大丈夫なのか?』

『はい!女神ラル様のご加護が有って良かったです』

そう言うとティアナはニコリと微笑んだ

『そうか。なら良かった、そういえばアリフォルンを倒したあの技って』

『ああ、あちらは聖女に与えられる禁術、使用すると十字架が壊れてしまいます。十字架が壊れてしまった場合は聖女ではなくなりもう聖女には戻れません』

『そんな、技が、あったのか。』

『はい!ですが、後悔はございません。ティコ様のお陰でこの街の人々も皆無事ですし。』

『そうか、ティアナは偉いな、そして、優しいな』

『優しい、でございますか』

『ああ、あんなことされてまでアイツらの心配をするなんて』

『心配、ですか、』

ティアナは意味深に俯いた後物凄い笑顔で

『やはり、腐っても聖女だった、でございますかね』

『なるほどな』

そう言って俺とティアナは笑った。

『これからどうするんだ?』

『私も貴方たちを見て世界を見て回りたくなりました。これからは旅をしようかと思います』

そう言ってティアナは笑顔で答えた

『あ、それなら』

俺たちと一緒に

と言いかけたところでドタバタと廊下から音がする

そして、荒々しく扉が開く

『シュウ目覚めたのか!』

『シュウ様目覚めたんですね!』

うお、凄い勢いだ

『あ、ああ、心配かけたな。それより何で俺が目を覚ましたって』

『『気配だ(です)』』

すげえええええええええ

俺の仲間すげえええええ

そして少し感動した

『お前らありが』

『それよりも、冒険にティアナを連れていきたいのだがいいだろ?いいよな?』

セインが俺の言葉を遮ってそう話す。

それよりも、って。。。

『私は賛成です!』

ミュアも声をあげて主張する

『え、でも、私は』

ほら!見ろティアナが戸惑っている。

でも、俺も気持ちは同じだ

『こいつらもこう言ってることだしこれから旅するつもりなら俺たちと一緒に来ないか?』

俺の台詞にティアナはハッとした後目尻に涙を浮かべながら口を開いた

『はい!わたくしも同行させてください』


俺とセインとミュアとそして新たに仲間になったティアナは次の目的地を決めるべく話を始めたのだった


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