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初!異世界転移!?  作者: ゆとさん
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Ⅱ 獣人の里編

Ⅱ 獣人の里


俺、こと織原集は2018年の地球の日本から駄女神ラルによって異世界への転移をしてしまった。

そして、俺、織原集は獣人の少女を守って幽閉されてしまう。そして今はそれを助けるために動き俺と同じく終われる身となった王国騎士団長セイン・ロードレッドと共に獣人の里を目指している筈だったのだが。。。


『なあ、セイン』

俺は前をつかつかと歩く女性に声をかけた。

『何だ?シュウ』

セインは不機嫌そうに返事をした

『俺はお前が道を知っているというから案内を頼んだんだ』

『ええ、確かにそうだ』

『だったら、だったら何で俺達はこの森の中でさ迷ってるんだあああああ』

そう。俺とセインは獣人の里にたどり着くことはなくただひたすらさ迷っていた


時間は少し前に遡る


『獣人の里ってどこにあるんだろ』

おもむろに俺はそう疑問を呟いた

『なんだ!知らないで言っていたのか?』

セインは呆れたように俺の方をジト目で睨んだ

『し、しょうがないだろ。』

そう。この世界に転移して間もない俺は獣人の里が何処にあるかまったく検討も付かない

『こんなことなら、ミュア達に聞いておくんだったな』

『私は知ってる!』

ボソッと呟いた一言にセインは食い付いてきた

『獣人の里の場所を知ってるのか?』

『わ、私は騎士団長だぞ!知らないわけがないだろう!ミュアと言う獣人よりも詳しいぞ!』

いやいや、それはないだろ

何故里で暮らしているミュアよりお前の方が詳しいんだ

と心の中で突っ込みつつ

『なら、案内してくれ』

分かるに越したことはないと判断し、余計なことは言わずにただ黙ってついていくことにした。

『任せろ!』

セインは高らかにそう告げた


そして現在に至る


『セイン言ったよな?私に任せろって!』

『い、言ったかなあ』

こいつ、すっとぼけてやがる

『何で任せろとか言うんだよおおおおお』

『し、仕方ないだろ!貴様がミュアミュアと女の名前ばかり口にするから』

顔を少し赤らめつつ反抗してくる。しかし自分の発言の恥ずかしさに気付いたようで

『や、やっぱり、今の無しだ!無し無し』

両手を必死に横に降り主張するセイン

『もしかして嫉妬?』

『違う!馬鹿、馬鹿馬鹿馬鹿ばーーーか!』

ひでえ、言われよう

心が折れそうだ

『そ、そんなことより、迷ってしまったようだ』

だからさっきから気付いてるってのおおおおお

『どうするんだ』

『いよいよ諦めるか』

はっや!諦めるのはっや!

『こんなところで死ぬのはごめんだぞ!』

『わ、私も嫌だ!しかし、こうなってしまっては後にも先にも引けないぞ』

誰のせいだと思ってるんだ?

『ちくしょう。木が全部同じに見えてきた』

『これが迷いの森の恐怖だ』

何でお前が偉そうなんだよ

って言うかこの森そんな物騒な名前ついてたのかよ

『あーもうどうすんだああ』

俺がそう叫ぶと木々を掻き分けて一人の少女が顔を覗かせていた

『し、シュウさん?』

『あれ?もしかしてフラインか?』

おもむろに顔を除かせた少女の名前を呼ぶ

『は、はい!フラインです』

『おお!元気だったか?』

『はい!ミュアも私も元気です!』

『なら良かった。』

『あ、あのそちらのかたは?』

ビクビクしながらフラインはセインの方を見つめた

『あ、ああ。俺の仲間のセインだ。』

『は、はじめましてセインさん。フラインと言います』

『ああ。初めまして。私はセイン・ロードレッドと言います。色々訳あってシュウと行動を共にしています』

こいつ、俺以外には礼儀正しいのな

『シュウさんの、彼女?』

『なっ!』

『ばばばばばばば馬鹿者、ちちちち違う。断じて違う』

そこまで否定されると俺もショックなんですが。。。

『な、仲間だ!』

セインが声を荒げるとフラインの肩がびくついた

『ご、ごめんなさい』

『あ、いや怒っているわけでは無くてでな。そ、それよりも』

『わ、私とシュウは恋人に見えるのか?』

セインはシュウに聞こえないような声でボソッとフラインに質問をした

『は、はい!見えました』

『そ、そうか!そうかそうか。なるほどな』

『おーい。何の話をしてるんだ?』

フラインとセインの内緒話すごく気になる。

『な、なんでもない』

『そうか?』

『あ、ああ!そうだ!口出しするな!』

『はい』

なんでこんなに怒られてるんだ?俺は

『そ、それよりもフライン出来れば獣人の里に案内してほしいんだが』

『あ、は、はい!わかりましたです』

怯えてた先程までとはうって代わってフラインは笑顔で答えた。てか俺の台詞少なくね?

そして、俺とセインは獣人の里に向かう道中色々な話をしていた

『へえ!獣人ってそんなにし種類いるんだな』

俺は驚いたようにそう告げる

どうやら獣人族の中にも

狼人族、猫人族、犬人族、虎人族、豹人族

その他にも様々な種族がいるらしいが獣人の里にいるのは

猫人族、犬人族、豹人族の三種族のみみたいだ。

部族間でも争いがあり、狼人族や虎人族は別々に公道をする事になったようだ

『様々な種族がいるのだな。私は犬人族と猫人族しか目にしたことがないのだが』

『そうですね。基本的に人間の街に現れるのは犬人族と猫人族の二種類ですから』

セインの発言にフラインは静かに告げた

『それより獣人の里って獣人限定の里なんだろ?俺たち人間が行ってもいいのか?』

『はい。シュウさんとシュウさんの仲間なら全然大丈夫だと思います!』

俺なら大丈夫?どう言うことだ?そう思っているとセインがその疑問を口にしてくれた

『シュウなら大丈夫とはどういうことだ?』

『はい。シュウさんはこの間助けていただいた恩がありますしその時に純金貨を三枚いただいたので村の獣人がしばらく王国に行かなくて良くなりました。だからシュウさんは村ではマネー・ゴッド・シュウと呼ばれています』

やめてえええええええええ

そんな二つ名付けないでええええええええ

『ま、マネー・ゴッド・シュウ』クスクス

こいつ笑ってやがる

『おい!セイン』

『なんだ?マネー・ゴッド・シュウ』

『やめろおおおおおお』

『?』

俺とセインのやり取りがわからないといった感じでフラインは首をかしげた


『しばらく歩いたな』

一時間くらいだろうか?

俺とセインとフラインはただひたすらに迷いの森を進んでいた

『もうすぐですよ!』

『そもそも何故迷いの森で獣人族は迷わないんだ?』

セインが歩きながらにフラインに質問をした

『あ、それはコアのお陰です!』

『こあ?なんだそれ』

『はい!里の中にある秘宝です。コアの発信する獣人にしか関知できないエネルギーによって私達は迷わずに里へと帰る事が出来るんです!』

秘宝ね。なにやら便利なGPSみたいなものがあるんだな

『すげえな!秘宝があるなんて』

『お、王国にもあるぞ!』 

何張り合ってんだこいつ

『人間界の王国にも秘宝があるのですか?』

フラインが尻尾をパタパタ降りながらセインを見詰める

『あ、ああ!それはすごい秘宝があるようなのだが私は見たことがないんだ。』

『ねえのかよ!』

『国家機密のようだ』

『人間界も色々とあるんですね!』

そんなやり取りをしているとおもむろにフラインが声をあげた

『伏せてください!』

俺とセインはフラインに言われるままに伏せる。

『なんだ?』

『嘘。タイラントベアー』

そこには三メートル程だろうか?とにかく大きな熊みたいな魔物がいた

『でか!怖!助けて!』

俺はおもむろにそうセインに助けを求めた

『ば、馬鹿者!離せ!私だってあんな化け物の相手を出来るわけがない!』

おい!お前騎士団長だろ!

なんか凄い一撃で倒してくれよ!よくあるだろ!ラノベで

『フライン倒してくれ!』

ってあれ?フラインの姿が見えないけど

『む、無理です無理です』

あ、木の上に避難しやがった

『デカイデカイデカイ。何だよこの熊は』

『B+級の魔物だ。』

あれ?セインの姿も見当たらないけど。。

『気おつけろよ!シュウ』

あいつ20㍍位後ろから叫んでやがる。何てやつだ!

『セインてめええええ』

『だって怖いんだもん!私C級なら倒せるけどB+なんか無理だもん』

がっつり女の子口調になってる。可愛い。ってそんなこと考えてる暇ないっつーーの

どうすればどうすれば

『グオオオオオオ』

『俺は美味しくないぞ!』

俺は叫んだ。

そしてタイラントベアーは

爪を振り上げた。

死んだ。とりあえず死んだらセインを呪ってやろう

そう考えてるうちに

『グオ』

タイラントベアーが俺の顔を舐めていた

『味見か?味見だろ?ドラ吉もお前も一撃で仕留めろよ!仕留めてから食ってくれ!』

しかしタイラントベアーは

俺の前に頭を下げた

『あれ?これってもしかして』

『どうやら主従契約をしたいようだな』

『凄いです!タイラントベアーから主従契約を申し込まれるなんて』

すぐ横には先程まで20㍍後ろに逃げていた薄情なセインと一瞬で木の上まで逃げたフラインがいた。こいつら

『お前らなあ』

『そんなことを話している場合ではない!早く答えてやれ』

こいつ。本当に

覚えておけよ

『えーっと、頭に手をやって真名を決めてやるんだっけ』

『ああ!そうだ!ネーミングセンス皆無のシュウに名前をつけられるタイラントベアーが少し気の毒だ!』

滅茶苦茶いいやがって。

泣くぞ泣くぞいいのか?

『じ、じゃあ、タイラントベアーだから逆してタイベー』

『グオオオオオオ』

『はぁ』

『ネーミングセンス。。』

うるせええええええ!

何だよ!いじめか?

『な、ならクマクマ』

『グオオオオオオ』

『はぁ』

おい!セイン。さっきから溜め息ばっか付くんじゃねえ

『よし!ならランランだ!』

『ガウ』

『はぁ、気に入ったようだな』

セイン俺の何がそんなに不満なんだ?

『じゃあランラン戻れ』

俺がそう告げるとタイラントベアーこと、ランランは姿を消した

『す、凄いですね!シュウさん!』

『ふっ、そうだろう?』

セインよ。何故お前が誇らしげなんだ?逃げたくせに。俺を捨てて20㍍後方に逃げたくせに

『あ、後、シュウ。逃げてごめんなさい。』

『私もごめんなさいです』

うん!可愛い!

『全然大丈夫だ!もっと逃げてくれても良かったのに』

『なら、次はそうするとしよう』

くそおおおおおおおおおお

でも今のは俺が悪い

『ま、まあ、程々にしてくれよ』

『冗談だ。シュウに死なれても困るからな』

そう言うとクルリと半回転しセインは前を向いた

『フラインもうすぐなのか?獣人の里は』

『はい!もう見えてきますよ!ってセインさん顔が真っ赤ですよ?』

『セインどうした?』

『な、なんでもないなんでもない。とにかく行こう!』

セインは先程の自分の発言が少し恥ずかしくなっていた


『見えてきました!』

五分ほど歩いたところに獣人の里が見えてきた

『ここが』

『獣人の里なのか?』

そこには日本で言う縦穴住居?見たいな家が多数ある集落があった。

しかし人のいる気配がない

『あれ?さっきまで皆さんいたんですけど。。』

フラインが戸惑っていると奥から一人の犬耳少女が走ってくる。ミュアだ。

『フライン!大丈夫なの?』

『どうしたの?ミュアお姉ちゃん』

血相を変えて走ってきたミュアにフラインはよくわからなそうだった

『さっき見張りの人がタイラントベアーを見付けてそれで皆村の奥に避難をして。ってシュウさん??』

フラインをよほど心配してたのかミュアは俺の存在にようやく気づいた

『よ!久しぶり!ミュア』

『おひおひおひお久しぶりです!』

焦りすぎだ!と心のなかで呟いた

『そちらのかたは?』

ミュアはセインのことを聞いているようだ。

『あ、ああ。こいつはセインって言って俺の仲間だ』

『初めまして。セイン・ロードレッドともうします。訳あってシュウと一緒に旅させていただいています。』

『ご、ご丁寧にどうも。私リリナ・ミュアと言います。犬人族です。』

頭を下げるミュアは即座に顔をあげてもう一度

『それよりタイラントベアーが』

『それならシュウが主従契約を結んで契約獣になったぞ』

セインが誇らしげに胸を張る。だからなんでお前が誇らしげなんだ?

『そ、そんな。タイラントベアーを契約獣にするなんて聞いたことがありません!』

『でも事実だよ?ミュア姉ちゃん。ね?シュウさん』

振り替えるフラインにおれはああと呟いた

『ランラン』

俺がそう告げると目の前にタイラントベアー改めランランが姿を現した

『グオ』

『うそ。』

信じられないと言った感じでミュアはポカンと口を開けている

『これでわかったか?ランラン戻れ』

そう告げるとランランは姿を消した

『ランランと言うのは名前なのですか?』

『あ、ああ』

何が言いたい。このやろう

『そ、そうなんですね』

『ネーミングセンスには突っ込まないでやってほしい!これでもシュウは自分ではネーミングセンスがあると思い込んでいるんだ。シュウを傷つけないでやってくれ!』

お前の発言のお陰で俺の心は傷だらけさ。

ズタズタに引き裂かれたよ

『は、はあ』

『ま、まあ、ミュア、この通りタイラントベアーは大丈夫だからさ!それより里の仲間はいないのか?いたら挨拶したいんだけど』

『あ、それならすぐに』

そう言ってミュアが里の奥へと走っていく。

さすがは犬人族と言うべきか何て言うか、速い。


少し待つと里の奥からぞろぞろと人が集まってくる

『おお、貴方がマネー・ゴッド・シュウ様ですか』

一番奥から長老のような人が近寄ってくる。

俺の横でセインは腹を抱えて笑ってやがる。

『え、ええ。俺が織原集です。』

『おお、ミュアとフラインがお世話になりました』

長老のような人は深々と俺に頭を下げた

『い、いえいえ。全然』

『シュウさんは石を投げられたフラインの為に怒ってくれた私達の村に純金貨を渡してくれましたから。』

長老のような人の横でミュアはニコニコと笑っている。

ああ、横でまだ笑っているセインとは大違いだ。

『どうぞ、ゆっくりしていっていただきたい』

長老のような。。もう長老でいいや。長老が労いの言葉をかけてくれた。

『ああ、どうも』

俺はペコリと頭を下げた

『今日は宴会にしましょう』

一人の犬耳族の男性がそう告げると皆喜んでいた。


村の人々の歓迎を受けて俺とセインは一つの縦穴住居に案内され二人で腰を下ろした。

『ふう、疲れたな』

『そうだな』

セインは座らずに立っている

『座らないのか?』

『騎士足るもの如何なる時も対応できるよう準備していなくてはならないからな』

『さっき逃げてたくせに』

『それはそれ。これはこれだ』

こいつ本当に都合いいな

『まあ、いいから座れって』

『そこまで言うなら仕方ない』

何でお前が妥協した感じになってるんだよ

『今更だけどセイン本当に良かったのか?』

『何がだ?』

セインは首をかしげる

『俺に着いてきて』

こいつは王国騎士団長だ。

恐らく一度の発言くらいなら頭を下げれば許される。

それを捨ててまで俺に着いてきたんだ。

『構わん。』

『理由は?』

『直感だ!』

堂々と言いやがった

『シュウがアームドドラゴニア。ドラ吉を契約獣にした時点で私は何か可能性を感じた。私もシュウと共に冒険してみたくなった。強いて言えばそれが理由だ』

『セイン』

こいつもこいつなりに色々考えてくれてるんだな。少しどころかかなり見直した

『それに、シュウには興味がある』

そう言うとセインはニコリと笑った。うん。可愛い

『そ、そうか。』

うわ、俺の顔、絶対真っ赤だ。ってセインまで真っ赤になってやがる

『ま、まあ、貴様のような奴は私がいなければ生きてはいけまい。ネーミングセンス皆無のシュウにはな!』

前言撤回こいつやっぱり憎たらしい。

『まあ、サンキューな』

『構わん。』

俺とセインは少し見詰めあった。

『すみません!今いいですか?』

すると住居の外から声がする。ミュアの声だ。

『あ、ああ!だ、大丈夫だぞ!』

『か、か、か、構わない』

先程まで見詰めあっていたのが急に恥ずかしくなってきた

『失礼します!ってどうしたんですか?』

余所余所しくお互い部屋の端に離れた俺とセインを見てミュアは首をかしげる

『な、なんでもないぞ』

『そ、そうだ!なんでもなかった!』

『そうですか』

『それより話があったんじゃないのか?』

俺がミュアに告げるとミュアはハッとした顔で向き直った

『そうでした!少しお時間大丈夫ですか?』

『ああ』

俺とセインは近寄り部屋の真ん中に腰を下ろした。

『それで、どうかしたのか?』

『は、はい。実は、水不足に陥ってしまって』

『水不足?』

セインは首をかしげる

『は、はい!この森の更に奥に進むと湖があってそこで我々里の者は水を補っていたんですけど、そこに魔物が。』

魔物。ランランやドラ吉みたいな存在か

『どの様な魔物なんだ?』

セインがそう告げるとミュアは重々しい口を開いた

『マンティコアです。』

『マンティコアだと?』

セインは驚愕した顔をする

マンティコアって異世界出身の俺でも知ってるぞ。

確か神話の存在だったはず

『セイン。マンティコアってそんなに凄いのか?』

『ば、馬鹿者。マンティコアと言えばA+級だぞ!』

どうやらA+級って言うのはカケルくん見たいな勇者がギリギリ勝てるレベルのようだ

『やべえじゃん!』

うん。やべえ。マジでヤバイ。勝てるわけがない 

『それで、どうしてほしいのだ?ミュアさんは』

セインは首をかしげる

『そ、その大変言いにくいんですけど』

『討伐してほしいって事?』

うん。大方予想はついていた。

『大変おこがましいとは思うんですけど。はい』

『どうするんだ?シュウ』

あれ?こいつなら、馬鹿者。そんなこと出来るか!

とか言いそうだなあと思ってたのに。

『俺はできれば助けてやりたいけど。お前はいいのか?』

『私はシュウに従う。』

うお、予想外の返答。

『なら、助けてやりたい』

『了解だ』

セインは笑顔で了承した

『あ、あの、頼んでおいて言うのはなんですけどマンティコアですよ?』

『ああ。でも困ってるんだろ?』

なら、答えは一つだ

『俺とセインでマンティコアを追い払いにいく』

そこで殺すではなく追い払いと発言したシュウを横目でセインはシュウらしいなとボソッと呟いた

『そうと決まればセイン!準備を』

『万全だ』

さすがだな。早い

『よし!なら行くか。』

『あの!』

『ん?どうした?』

『私も、行きます』

しっかりと決意を持った目でミュアは二人を見詰めた


『深いなこの森』

里を出た俺はミュアとセインと共にマンティコアを追い払うべく森の奥に進んでいた

『先程から一切魔物がいないな。タイラントベアーしか出会っていないぞ』

セインは緊張した趣でそう告げた

『はい。マンティコアの影響で迷いの森の魔物の行方はは食べられたか逃げたかの二つだけです。恐らくタイラントベアーも逃げてきたのかと』

嘘だろ、こええええええ

何だよ!3㍍位のランランが逃げ出すような化け物なのか?嘘だろおい

『ま、まあなんとかなるだろ』

そんな俺を横目にセインはハァと溜め息をついていた


暫く進むとミュアが声をあげた

『この先が湖です』

ミュアを先頭に俺とセインも後ろから木々を掻き分けて進むとそこには綺麗な水の透き通った湖が見えた

『うおおおおお!すげえええええ綺麗だあああ』

俺は思わず叫んだ

『水浴びをしたいな!』

セインもウキウキしたようにはしゃいでいた

『そら!セイン』

俺はセインに水をかけた

『やったな!シュウ』

セインも同じく水をかけ返してくる。俺は人生でやってみたかったランキング8位女の子と水の掛け合いを達成した。幸せだ

『あのー、お二方共目的見失ってませんか?』

ミュアにそう言われて俺はハッとした。

そうだマンティコアを追い払う為にここに来たんだった

『貴様は何をしている!気を引きめろ!』

そこには凛とした顔つきをしたセインが立っていた

こいつさっきまで俺とキャッキャウフフしてたじゃねえか

裏切りやがった

『す、すまん』

『少しは自重しろ』

おめえに謝ったんじゃねえよ!ばーかばーか

するとミュアの耳がピクリと動いた。

『来ます。』

ただその一言だけを告げてミュアは身構える。

俺とセインも同じように身構えた。

すると突風が起こり始めた

『な、何だよこれ!』

『クッ流石はA+級か』

俺とセインはその突風にギリギリで耐える。

〈ナニモノダ〉

そう声が聞こえたと同時に湖の上の空から巨大な魔物が現れた

『こ、こ、こいつがマンティコアか?』

『ああ。そうだ』

〈キサマラハナニモノダ〉

ライオンのような頭に尾が蛇荷のような生き物になっている魔物。マンティコアだ。

『こいつ話せるのか?』

『マンティコアは元神獣ですから。』

そこにはピリピリとした空気が流れていた

『お、俺は織原集と言います。あのマンティコアさん。獣人の人達が困っているので住みかを移していただけませんでしょうか』

〈ジュウジンガメイワクシテイルダト?〉

『は、はい』

〈ワレハココニキテカラナニモシテイナイガ〉

『え?魔物を食べたりしてるんじゃ』

〈マモノヲクラウ?ワレハクサッテモモトシンジュウデアルゾ?ソノヨウナゲレツナコウイスルワケガナカロウ〉

『じ、じゃあ獣人の人達を襲ったりは』

〈ワレガジュウジンヲオソッテナニカトクヲスルトオモウカ?〉

『た、確かに。』

〈ワレハココデスコシヤスンデイタダケデアルゾ〉

『『ミュア?』』

俺とセインはミュアの方を振り向き見詰めた

『あ、あはは~勘違いでした』

『ミュアああああああ』

『ヒッ、すみませんすみません。だって急にA+級の魔物が来たら怖いじゃないですか』

確かにそれはわかるけども

〈フム、ジュウジンノモノタチヲコワガラセテイタノナラソレハアヤマロウ〉

おいおい、マンティコアさん滅茶苦茶いい魔物じゃないですか

『そういえばマンティコアはA+級だが討伐対象には指定されていなかったな』

てめええええええええ

それを先に言いやがれ

『す、すみません。マンティコアさん。勘違いでしたあああああああああ』

俺は必死に頭を下げた

横でセインは普通に立っている。ミュアもだ

お前らも頭下げやがれ

〈カマワナイ。ワレノホウコソスマナイナ。カンチガイサセテシマッテ〉

うわーー、マンティコアさん何も悪くない。むしろ悪いのはミュア一択だ。

〈フム、ソコノニンゲン。オリハラシュウトイッタカ?〉

マンティコアさんに突然呼ばれてビクついた俺だが一応返事はしておく

『は、はい!』

〈オリハラシュウ。ナンジハメガミノカゴヲウケテイルヨウダナ〉

女神の加護?俺、女神にあったこと合ったっけ。

あーー、あの駄女神か

『は、はあ。加護ですか?』

〈ウム、ソレハマトクノカゴノヨウダ〉

魔徳の加護?何だそれ

『魔徳の加護とは?』

〈マモノニスカレルコトガオオイノデハナイカ?ワレラノコノムハチョウヲカンジル〉

魔物に好かれる波長?

思い返してみればドラ吉やランランもいきなりにも好かれたな

『あ~、それなら確かに』

〈ドレ。ワレトモケイヤクシテミルカ?〉

そう言われて驚いたのはセインとミュアだった

『ま、ま、ま、ま、マンティコアと契約?聞いたことがないぞ!シュウにそんな価値があるのか?』

『そそそそそそんな、あり得ないです』

おお~二人とも驚いてるな

セインは後でお説教だ

『そんなことできるんですか?』

〈モノハタメシダ。カリニデキタトシテモメガミノカゴヲウケテイルナンジニツカエルナラモンクハナイ〉

そう言うとマンティコアは頭を俺の位置まで下げた

えーっと、名前を決めるんだっけか

『じゃあマンティコアだからマン○』

『最低だな。死ね屑が』

『うわー、引きました』

〈カミコロサレタイノカ?〉

うん、これは100%俺が悪いな

『冗談だよ!じゃあ、ティコ!ティコだ』

『貴様A+級にその様な』

するとマンティコアの額に主従の紋が浮かび上がった

『嘘、』

『せ、成功したんですか?』

〈ナルホド。ティコカ、キニイッタゾ!オリハラシュウ〉

これシュウのネーミングセンスも可笑しいけど魔物の価値観もおかしいな

とセインは心の中で思っていた

『成功だああああ』

俺は思わず大声をあげる

〈オモシロイニンゲンダ。コレデワレトシュウハシュジュウノカンケイダ。〉

『よし!』

〈ダガワレハイマハマダカンペキニシュウニツカエルワケニハイカン。ヤルベキコトガアル〉

『そうなのか?』

〈ウム、イズレマタアオウ。ナンジガピンチニオチイレバワレハカナラズタスケニナロウ〉

そう言うとマンティコアは空へ羽ばたいて行った


『それにしても信じられないな。シュウとマンティコアが主従の契約を結ぶとは』

帰りの道中俺とセインとミュアはそんな話をしていた

『凄いですね!シュウさん』

『そうか?』

思わず俺は顔がにやける

『このような者の何処がいいのか』

セイン。最近俺の扱いひどくないか?ひどいよな?

『にしてもミュア。貴様勘違いにもほどがあるぞ』

『す、すみません』

『まあ、いいじゃん!ほらもうすぐ里に付く』

そうこうしているうちに里は目前に迫っていた


里に付くと早速また村人たちが集まりそこからまた長老が近寄ってくる。

『おお、シュウ様。我らを食糧難から救うだけではなく水難からまでも救ってくれるとは』

『いやいや、大丈夫ですよ』

『感謝の意を込めてこの里にマネー・ゴッド・シュウの銅像を立てますぞ』

『それだけはやめてくれ』

また横でセインが腹を抱えていいではないか!立ててもらえと言いつつ笑ってやがる。

くそ、こいつ


その夜里では盛大な宴会があった。そして次の日の早朝

俺とセインは里の人達が起きないように里を離れようとしていた。

『準備できたか?』

『あ、ああ、万端だ』

そう言って俺とセインは縦穴住居の様な物から外に出る

するとそこにはミュアとフラインがいた

『やっぱり旅立たれるのですね』

ミュアが悲しそうな顔をしてそう呟く

『ああ。一応な』

『世話になったな。』

『あ、あの、もし、宜しければ、私も、い、いえ何でもありません』

ミュアはなにか言いたげだったが直ぐに口を閉じた

『そうか?なら、行くか。あ、銅像を建てるのだけは何としても阻止してくれよ』

俺は笑いながらそう言った

『銅像を建ててやってくれ』

その横でセインは嫌がらせをいっている。こいつだけは本当に

『じゃあなミュア、フライン』

俺とセインは再び前を向き里を後にした


『行っちゃったね』

ミュアは悲しそうな表情でそう呟く

『ミュアお姉ちゃん。』

『さあ、頑張ろっか』

ミュアは必死に元気な振りをした

『行っておいでよ!ミュアお姉ちゃん』

フラインがボソッと呟いた。

『何を言ってるのよ!フライン。私は村の皆を』

『行ってくるのじゃ。ミュア』

長老が近寄ってくる

『村のことは任せておきなさい。ミュアはミュアの思うことをするんじゃ』

『で、でも』

ミュアがたじろいでいるとフラインが声をあげた

『ミュアお姉ちゃん!里のことは私頑張るから!ミュアお姉ちゃんはミュアお姉ちゃんがしたいことをしてよ』

『そうだそうだ!』

『ミュア思うままにいきろ』

『マネー・ゴッド・シュウ様のことを守ってやれ!』

村人が口々に話始める

『みんな』

ミュアの頬に涙が流れる

『いってらっしゃい!ミュアお姉ちゃん』

フラインは笑顔で送り出した


『で、次は何処に向かおうか?』

『少しホリルニアに向かいたいんだが』

口を開いたのはセインだった

『ホリルニア?何処だそれ』

『ああ、少し北に進んだところにある。そこに私の古い友人がいるんだ』

『男か?』

『な、馬鹿者!女だ!』

なーんだ女か。少し安心したけど

『おーーい』

ん?この声どっかで

『ハアハアシュウさんセインさん!』

走ってきたのはミュアだった

『うお、どうした?ミュア。なんか忘れ物してたか?』

『ハアハア違います。』

『ならどうした?』

『私を』

『私を?』

『私をシュウさんとセインさんの旅に同行させてください』

え、えええええええええ

『構わん!』

何でてめえが決めるんだ!

まあ別にいいけど

『私は犬耳少女と旅がしたい!』

なに高らかに宣言してやがる。こいつ、

『ま、まあ構わないけど。でも、大丈夫なのか?』

『はい!里の皆にはマネー・ゴッド・シュウの助けになる様にと』

『そのあだ名なんとかならないか?』

嫌だよ!ずっとマネー・ゴッド・シュウ何て呼ばれるなんて。セイン!もうお前笑うな

『とにかくこれからよろしくお願いします!』

ミュアは深々と頭を下げた。

『おう!』

『こちらこそ』

そうして俺とセインとミュアはホリルニアへと向かった


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