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初!異世界転移!?  作者: ゆとさん
1/3

Ⅰ 王国編

『どこだ?ここ』

少年は目の前に広がる光景にただ呆然と立ち尽くしていた

『あれ?さっきまで』

先ほどまで広がっていた東京のビルや車の影すらない

ただ広がるのは石造りの建物と行き交う人々だった

『えーっと、』

獣人族、ドワーフ、エルフ

見ただけで明らかに人ではない。正確には人の姿をしているが別の何か、例えようのない人々が歩き回っていた

『これは、夢にまで見た異世界って事かあああああ?』

俺はテンションが上がる。とてつもなく。凄い凄いぞ!この世界は

『ってあれ?こう言うのって女神にお願いされたりして来るもんじゃなかったっけ』

現実はそんなに甘くないか。と思いつつ俺はポケットに入っていたスマホを取り出した

『圏外か、まあ、当たり前か。これじゃスマホもただの邪魔な塊になるな』

そう呟きながら俺はスマホを持ちつつ歩き始めた

『おーい』

聞き慣れない声が耳に響く

『え?誰?』

『やっと届いたわね』

耳に響いてきた声は女性の者だった

『えーっと、誰ですか?』

とりあえず返事はしておく

『私は女神ラル。』

『女神?』

女神と名乗る女性の姿はない。ただ耳に声だけが響いてくる。

『そ!女神よ!』

『あの?ここは?』

『詳しい話はとりあえず人のいないところに移動してからの方がいいわよ』

その声を聞いた途端ハッとする。回りの人々がジロジロとこちらを見ている

『独り言だと思われてる』

そして俺は街の外れへと歩き始めた


『ここらで大丈夫だろう』

俺は人通りの少ない草原の様なところに腰を下ろした

『おーい女神様?』

そう声をかけるが返事がない

『あれ?まさか俺の幻聴?』

俺は幻聴を聞くほど心に病気を抱えていたのか。

そう思っていると目の前に光が輝き始めた

『うわ、まぶし』

『ばばばばーん。女神様参上』

女は両手を腰に当てながらエヘンといった表情で胸を張る

『えーっと、貴方が女神様?』 

『はい!そうですよ!』

この女神様と名乗る人は。信じられない気持ち反面先ほど光の中から登場したこともあり半信半疑の状態だった

『えーっと、じゃあ、女神様?これは1体』

『はい!まず、この世界について教えておきましょう。この世界はラルベルと言います!貴方の居た世界とは別次元に存在する世界です。もちろん魔王もいますし天使も悪魔も実在する世界です』

俺はその台詞で一つ確信をした

『つまり!俺が勇者って』

『違いますよ』

oh、開口一番で否定されてしまった。でも、もしかするとこの女神様が聞き間違えたもしくわ聞き損ねたという可能性も。よし!もう一度

『俺が勇』

『違いますよ』

どうやら、違うようだ。俺はゆっくりと天を仰いだ

『それに勇者はもういらっしゃいますよ』

『え?』

女神様。そういうのはいわないだいただけると

『カケルと言う名の貴方と同じ世界から転移された勇者が』

しかも同じ地球からの転移かよ。くそ

『じゃあ俺は何をすれば?』

『さあ?』

イラッとした。物凄くイラッとした。そう思いつつ俺は女神様に問いかける

『なら、何で俺はこの世界に?』

『神話書に記載されたからですよ?』

『神話書?』

『はい』

どうやらこの女神様が言うには神話書にはこの世界で為すべき事、そういった類いの事がある人々が記載される神の書の事らしい。今のところは勇者カケルくんと俺だけのようだ

『えーっと、じゃあ、俺は何をすればいいかわからないままこの世界に滞在するって事ですか?』

『はい!頑張ってください』

よし。こいつは今日から駄女神だ。そう呼ぶと心に決めた

『よし!元の世界に返してくれ!』

『出来ません!』

がああああああああ、この駄女神。登場してから何も俺の役に立ってねええええ

『あ、そうそう!今のうちに要らないものが有ればこの世界のお金に換算してあげますよ?』

『要らないもの?お金に換算?そんなことできるのか?』

『女神ですから』

エヘンと再び胸を張った女神を少しだけ尊敬する

『じゃあ、スマホを』

そう言ってスマホをこの女神に渡した

『はい!ではこれ』

女神がそう言いつつ渡した袋には大量の金貨?らしきものが入っていた

『金貨?』

『はい!正確には純金貸です。一枚で金貨100枚分程の価値があります』

嘘だろ?50枚くらいあるぞ?俺一気に金持ちじゃん!

『あ、ちなみにカケルくんはスマホを永久的に使えるようにしてほしいと言って、スマホの技術と知識で今は英雄の立ち位置にまで上り詰めましたよ』

なるほど。そう言う使い方もあるのか、確かに大量の金貨よりそう言った知識の方が生きやすいかも知れないな。よし、なら俺も

『あ、じゃあ、お金返すから俺もスマホを』

『エイ』

女神そう言うとスマホは後形もなく消えてなくなった

『あ』

『どうしました?』

ただ呆然と立ち尽くす俺に向かって駄女神は一言付け加える

『あ、そのお金で剣とかも買っておいた方がいいですよ?魔獣とかも出ますし』

『魔獣?それって』

『では』

話そうとした最中、駄女神は光に包まれて消えてしまった

『あああああ、あの駄女神いいいい。人の話をきけええええええええ』

町外れの草原で一人叫ぶ少年の声が女神に届いたかは定かではない。


『くそ、確かにスマホを渡すって言った俺も俺だけど、』

俺は駄女神への不満をぶつぶつ言いながら歩いていた

『だああああ、くそ、何をすれいいんだよ!』ドン

イライラしながら歩いていたら何かにぶつかってしまった。割れながら恥ずかしい

『あ、あの、ごごごごめんなさい、です』

目の前には猫?の耳を生やした女の子が怯えた感じでたおれこんでいた

『あ~、だいじょう、ってなんじゃこりゃあああ』

俺の足の膝の辺りには何やら白い液体がべっとりとくっついていた

『ヒックあ、あの、ほ、本当に、ご、ご、ごめんなさい』

少女はおどおどしながら泣きそうな顔で俺のズボンに顔を近づけてきた

『っておわあああ、何してんだよ』

『あの、わたし、お金がないから。なめます』

少女は怯えた目をしながら俺のズボンを舐めようとしている

『やめ、やめ、大丈夫だから、な?落ち着けって』

『で、でも』

よく見ると少女はボロボロの服を着ていた。

『ほら、俺も大丈夫だからな?、泣くな。立てるか』

そう言って俺は少女の両脇に手を入れて立たせた。

『あ、あの、でも、お金が』

『あ~、大丈夫だ、ズボンなんて乾けばなおるからな?それより怪我はないか?』

俺はしゃがんで少女に目線を合わせながら頭をポンポンと撫でてやった

『すすすみません』

すると後ろからまた別の少女の声がした

『ん?』

『すみませんすみません。うちの子がすみません。』

お母さんか?にしては若すぎる様な、と思いながら犬耳の少女に話し掛けようとした

『いや、だいじょ』

『はい!わかってます!体でお支払すればいいんですよね?貧相な体ですが』

俺はぽかんとしたままその少女を見詰めていた

『ま、まずは』

『まてまてまてまてまてい』

服をその場で脱ごうとする少女を必死で止めた。危なああああああ

『人前でそんなことしたらダメだろ?』

『あ、はい!では、あちらの路地裏で』

『バカバカバカバカバカ。やめろ』

そんなことされたら俺の理性が吹きとんじまう

『では、どうすれば』

『何もしなくていいよ。前を見てなかった俺が悪いしな』

俺がそう言うと少女はぽかんとした顔で俺を見詰めていた

俺、何か悪いことしたかな

『この子も大丈夫みたいだし、この話はもう終わりでいいだろ?』

『ですが、あなた様のズボンが』

『あ~、気にすんな』

俺は笑顔で答えた

『すみませんありがとうございます』

少女は笑顔半分申し訳なさ半分といった表情で俺に礼を言った

『ミャア姉ちゃん。ご飯が』

『それくらい今日は我慢しなさい!』

ミャア?犬なのに?それに、お姉ちゃんか。やっぱ母親では無かったな

『ご飯って、これか?』

おれば自分のズボンを指差した

『は、はい』

『もしかして今日のご飯って事は、今日はこれだけなのか?』

『はい。』

嘘だろ。獣人族って少食なのか?と自分のズボン付いている少量のスープのような物を見詰める

『あー、えーっと、ごめん』

俺は深々と頭を下げた

『や、やめてください。それに、人族の方が獣人などに頭を下げないで下さい』

俺はこの犬耳の女の子が言っている事がよくわからなかった。

『人が獣人に頭を下げたら何か不味いのか?』

俺は何もわからなかった

『え?それは人族は地位が高いですから。それに引き換え獣人は身分が低いので』

なるほど。この世界の人間はどうやら地位がある程度上にあるらしい。先ほどから俺たちを見る通りすがりの人々の目は軽蔑、目の前の少女二人をさけずむ目だった

『いたっ』

そう考えていた刹那、猫耳の少女の額から血が出ていた。石を投げられたのだ

『獣人族。いつまでそこに突っ立ってやがる』

何をいってやがるこいつ

『さっさと出ていきやがれ』

男が再び石を投げようとする瞬間に俺は男を思いっきり殴っていた

『グオッ』

男はその場に倒れ混んだ

『いってええええ』

初めて人を殴ってしまった。殴る側も痛いんだなこれ

『てめえ、何しやがる』

『うるせえええええええ』

俺は叫んだ

『てめえ女の子に石なんか投げてんじゃねえよ!』

『何言ってやがる!そいつは獣人で』

『知るかああああああ』

俺は倒れて上半身だけ起こしている男の顔を思いっきり蹴飛ばした

『ガハッ』

男は意識を失う

『ハアア、獣人だろうが普通の人間だろうが』

俺がそう言うと回りはざわざわとし始めた。ここにいると不味いな

『犬耳、猫耳いくぞ』

『犬耳?』

『猫耳?』

ぽかんとしたまま俺を見ていた犬耳と猫耳はハッとして俺を見ていた

『がああ、とりあえずいくぞ』

俺は両脇に二人を抱えた。

何これ、軽っ

『お、下ろしてください。このままじゃ貴方も』

『うるせえ、いくぞ』

そう言って俺は両脇に二人を抱えたまま女神と対面した草原まで走り去った


『ハアハア疲れた』

俺は先ほどの草原に腰を下ろした

『あの、すみません』

『何で謝るんだよ、俺が勝手にしたことだからさ』

そう、俺はただただムカついた。だから暴力を振るった。まあ、あの駄女神への鬱憤も多少はあるがそれは言わないでおこう

『私達なんかのために』

『なんか、なんて言うんじゃねえよ。』

『すみません。何もお返しするものが無くて、ですから体で』

『だああああ、やめろやめろ』

この犬耳はすぐに体で払おうとする。

『なあ、一ついいか?』

『はい!』

『お前毎回そういう風に体で払ってきたのか?』

『いえ、普段はあー言ったところは通らないようにしてるので人族に迷惑をかけたのは今日が初めてです』 

そっか、と呟きつつ心のそこで密かに安堵した

『あの、すみません』

すると今度は猫耳の方が近寄ってきて謝罪をしてきた

『謝るなって、ほら』

俺はそう言うと猫耳の少女を膝の上に座らせた

『あ、あにょ、恥ずかしい』

猫耳の少女はアワアワしながら俺の方を見詰める。

何こいつ可愛い

『なあ、犬耳と猫耳。名前何て言うんだ?』

『はい!私はリリナ・ミュアともうします』

『フェイ・フラインです』

どうやら犬耳はミュア、猫耳はフラインと言うらしい

『あれ?さっきお姉ちゃんって言ってなかったっけ』

『はい、正確には血の繋がりはありません。私達は獣の里の同じ住民って言うだけです』

『そうか、なるほど。ってもしかしてさっきのスープって、里の皆の分か?』

『はい!皆さんで一舐めずつするようにと』

嘘だろ。獣の里ってのはそこまで

『なあ、獣人族ってのはそんなにさけずまれているのか?』

『はい。』

『原因は?』

『わかりません。王国がそうさせたため自然とと言った感じかと』

なるほど、王国自体が腐ってやがるのかよ

『さてと、ミュア、フラインスープ悪かったな』

俺は再び二人の少女に頭を下げた

『い、いえいえそんな』

『これ、足しになるかはわからんがスープのお詫びだ。』

俺はそう言うと駄女神にスマホと引き換えにもらった包みから純金貨を三枚ほど渡した

『こ、これは』

え、まさか少ないのか?

あの駄女神め

『足らないか?』

『いえ、多すぎますよ!こんな、こんなに貰えません』

なるほど多いのか

『そういうなって、俺からの気持ちって事で。な?』

『でも』

この犬耳まだおどおどしてる。

『なら、いつか俺が困ったときに助けてくれ。それが条件だ』

『は、はい』

『なら、俺はいくから』

そう言うと俺は重い腰を上げて立ち上がる

『どこいくの?』

猫耳の少女、フラインが上目遣いで見詰めていた。

可愛い

『王国に少しな』

『ま、まさか』

ミュアが何か言いかけたがミュアの頭をポンポンとたたき大丈夫と囁いた

ミュアの尻尾がブンブンと左右に揺れていた

『じゃあな』

『あの、お名前は?』

『俺か。俺は、織原集だ』

『オリハラさん?』

『ああ』

『貴方は今からどうするおつもりでしょうか』

『王国に一発入れてやろうと思ってな』

ニヤリと俺は笑うが方法もなにもなくただ格好をつけただけだった。

そうして俺、織原集はミュアとフラインと別れて王国へと歩き始めた



『で?何で俺は拘束されているんだろ』


時間は少しさかのぼる

そう。俺事、織原集はミュアとフライン。犬耳と猫耳の少女と別れた後、王城へと向かっていた。そして、門の前まで来たところで何故かはしらないが拘束されてしまい今はどうやら王様の前につき出されているようだ


『ほう、貴殿が一般人に暴行を行った野蛮人か。王城へと向かって来ていた様だが自首でもしにきたか?』

くそ、この髭親父なにをふざけた事を抜かしてやがる

『おい!髭親父。てめえ、俺が何故暴力を振るったか知ってるか?』

『しらん!そもそも暴力を振るったのは貴殿が一方的だったそうじゃないか。』

『あれはフラインに石を投げたくそ豚野郎を粛清しただけだ』

俺がそう反抗すると後ろから思いっきり頭を押さえつけられた

『うお』

『貴様、王に向かって口の聞き方がなっていないぞ』

声だけ聞くと女のようだが何だよこの力、動かねえ

『てめえこそ初対面の男に何してんだよ』

『初対面の前に貴様は犯罪者だ、遠慮など無用だろう』

なるほど、確かに一理ある。しかし、それは俺が犯罪者ならの話だ。

『やめい。セイン・ロードレッド』

『ハッ、出過ぎた真似を』

そう言うと女は俺の頭から手を離した

全く人の頭を押さえつけるなんてどんな糞ゴリラ女だ

そう思いつつ俺は勢いよく後ろを振り替える

『え?』

そこに居たのは金髪をポニーテールで結んだブロンド美女が俺を睨んでいた。

何だこいつ可愛い。

腕細っ!俺これに押さえつけられたのかよ。

『何だ?』

『い、いや、別に』

ヤバイヤバイヤバイヤバイ

可愛い可愛い可愛い惚れそう

『オホン』

糞この髭親父。

『貴殿は今回の行いについて悔い改める積もりはあるか?』

恐らく悔い改めると言うだけで助かるだろう

しかし王様のその問いに俺は一言だけ吐き捨てるように叫んだ

『獣人ってだけで下に判断するくそ髭のために悔い改める事なんかあるわけねえだろ!ばああああか』

俺はあっかんべーをしてやった!もちろん、勝てないからせめてもの抵抗だが

『貴様。おい!そこの無礼な小僧を地下牢に入れておけ』

はあ、転移初日に地下牢とか笑えねええええええ


『大人しくしてろよ』

門番の男はそう言うと地下牢から姿を消していった

『だああああ、糞。何だよあの髭親父』

獣人族ってだけで下に見られて石まで投げられた

あんな少女に石だぞ?

あり得ねえ。

この王国の人間は全員腐ってる。

『にしても、出れねえかな。ミュアとフライン大丈夫かな』

そう思いつつ俺は静かに目を閉じた

『おい』

ん、声が聞こえる

『おい、起きろ』

『ん、ファー~、誰だ』

その声の正体はどうやら昨日俺を押さえつけたセインという女のようだ

『貴様、よくも囚われの身でぐっすりと眠れるな』

『しょーがないだろ!捕まっちまったもんは』

『貴様名前は?』

『織原集だ』

『どこの街出だ?』

『地球の日本だ』

『ふざけずに答えろ。そんな国はしらん』

『おいおい、カケルくんと同じ国だぞ?』

『なに?貴様カケル様と同じ故郷だと言うのか?』

『何だよ知ってるのか?』

『当たり前だ!勇者カケル様一度だけお目にかかったが素晴らしいお方だった』

『なるほどねえ』

俺は不機嫌そうにふんと鼻をならした

『なぜ貴様が不機嫌になる?』

『別に~。なあ、お前カケルくんの事好きなのか?』

『は?バカを言うな。尊敬はしているが一度見ただけの相手に好意を持つほど私は愚かではない』

『そうですかい』

『何故そのような質問をする』

『なんとなくだな』

本当に興味本意だからな

別にこいつがカケルくんに好意がないとしって安心したわけでは無いからな?

『そうか、それより聞きたいことがある』

『何だよ』

『昨夜の件だが』

うわ、あの髭親父の事思い出させるなよ腹立たしい

『俺は絶対謝らねえからな』

『そうではない!獣人族を下に見てるという件だ』

『ああ、それか。それがどうした?弁明でもしにきたか?』

『違う!』

それだけハッキリ断言するのもどうかと思うが

『じゃあなんだ?』

『貴様はこの王国の現状をどう見る?』

なんだそんなことか。それなら

『糞だな』

『そうか。』

何だこの女。王国バカにしたら切られるかなとか思ってたのに

『私もあまり良くは思って居なくてな』

『へえ~、あんたが?』

意外だな。

王国にこんなやつもいるのか

『ああ、獣人族と言うだけで下に見てるというのも否定はできない。それがこの王国の現状だからな』

『なるほどね~』

『ふーん』

まあ、捕らわれてるのも事実だし今は何も出来ない。か

駄女神めここから出すとか出来ねえのかよ

『すまないが、名前をもう一度聞いてもいいか?』

『織原集だ』

『オリハラか。私はセイン。セイン・ロードレッドだ。』

『そおか、』

目の前にたつ金色の髪をした少女はただただ凛としていた。

『それより犯罪者の所にこんなに滞在してていいのかよ』

『貴様、ゲフンゲフン、お、オリハラは何故あの男を殴ってしまったのだ?』

それは王国としてではなくただ一個人の女の子の率直な疑問。そう感じた

『別に、深い意味はないが』

ここでミュアとフラインの名前を出すことはやめておく

『嘘だな。昨夜オリハラが叫んだフラインという名のものは獣人なのだろ?』

『ああ』

『それなら確かにオリハラは悪いことをした。暴力は勿論悪事に入ってします。例えどのような善であれ。ただ私は全てオリハラが悪いとは思わない。王国、そしてその男このこの2方にも非はある』

『へえ、信じるのか?』

『無論だ。オリハラは優しい目をしている。それに一般人をいきなり殴るような男には見えない』

『そおか、ありがとな』

俺は素直に気持ちを伝えた

『案ずるな。』


それから、セインは毎日夜になると牢屋の前に来ていた

俺の世界の話を目を輝かせながら聞いていた。

セインは王国騎士団の団長らしい。

立場とかあるのに大丈夫なのだろうか


『オリハラ』

また夜中になると足音と共にセインが近寄ってくる

『どうした?』

俺は眠たさ半分嬉しさ半分と言った形で振り向いた

『貴様の釈放を進言しようと思う』

は?なにを言っているんだ

『まてまてまて、確かに嬉しいが、セインにも騎士団としての立場とか』

『いや、騎士団だからこそ、オリハラをそろそろ釈放しようと思って』

『やめとけよ』

『いや、私はする。ここ最近毎晩話してみてわかった。オリハラはひねくれてはいるが根はいい奴だ』

『だからって』

『私はやる!やって見せる!今日はその報告に来ただけだ。待っていてくれ』

『お、おい』

セインが地下牢から姿を消す。おいおい大丈夫かよ

騎士団長が犯罪者を肩もちするなんて

『不味いな』

俺はただ一言そうとだけ呟いた



『何故ですか!』 

セインは王室にて大声をあげていた

『ならん。あのような口の聞き方すらなっとらん小僧を釈放など、また、一般人に暴行を行ったらどうするつもりだ』

王は彼を釈放することに厳しく反対していた

『ですがそれには理由が』

『獣人を助けて暴行。それが理由になるはずがないだろう』

『くっ』

やっぱりこの王国は腐ってる。そう思いつつ握る拳をソッと隠した

『ふむ、なぜ騎士団長であるセイン・ロードレッドが彼の釈放を求める』

『私は深夜に彼と言葉を交わしていました。彼は獣人だからといって差別するわけでもなくしっかりと考えを持っています。』

そう。彼、オリハラ・シュウは決して悪人ではない。そう確信していた

『ふむ。なら、セイン・ロードレッド貴殿が北方の洞窟に巣食う龍。アームドラゴニアを討伐してこい。』

『何故私が?』

『彼を釈放したいのであろう?アームドラゴニアを討伐することが出きれば充分な実績になる。私もそれほどの実績を叩き出した者の発言を無下には出来んよ』

王はフウと溜め息を吐きつつそう告げた

『わかりました。アームドラゴニアを討伐すれば本当に彼を釈放して頂けるのですね?』

『もちろん。二言はない。』

『ありがとうございます。直ちに向かわせて頂きます。』

『うむ』


セインが退出した後の王室

『アームドラゴニアを討伐した暁には彼女の進言を通すのですか?』

大臣である男は王に質問をした

『な訳が無かろう。彼女がもし仮に討伐したとしても、暗殺できるよう王国警備隊向かわせておく』

王は不適に微笑んだ

『…』

その傍らにフードを被った一人の女が静かにその場を黙視していた


地下牢


おかしいぞ。おかしすぎる。あの発言から丸二日。

ほぼ毎日の用に訪ねていたセイン・ロードレッドは

地下牢に姿を全く見せなくなっていた

『おい!誰かいないのかよ』

俺の言葉を裏切るように辺りはシンと静まり返っていた

『くそ、どうなって』

そう言いかけたところで、地下牢に響く足音にシュウは気付いた

『誰だ』

すると徐々に地下牢の入り口の方からフードを深く被った一人の人間が近寄ってくる

『おい!お前は誰だ?』

俺がそう問い掛けるとその人間は口を開いた

『さあ、お答えしかねますね』

どうやら声だけを聞くと女性のようだった

『なら、一つ聞かせてくれ。セイン・ロードレッドについてなんだが』

『ああ、やはり彼女の事でしたか』

女は確信めいたようにそう呟いた

『なにか知っているのか?』

『ええ、彼女は王の命令によって北方の洞窟に向かいましたよ』

『北方の洞窟?なんだそれ。というか何でそんな所に』

洞窟ってだけで物騒だし嫌な予感はしていた。

『アームドラゴニアの討伐です』

『アームドラゴニア?』

おれは聞き慣れない言葉に疑問で返した

『北方の洞窟に住み着いているドラゴンです。』

ドラゴン?やっぱりファンタジーだな

『なんでいきなりそんな事』

『貴方を釈放する代わりに手柄を立てろと王が』

何だと?俺は理解が出来なかった

『何でそんなこと』

『それは彼女に直接聞くのがよろしいかと』

こいつ、俺が出れないのに何言ってやがる

『なあ、セイン・ロードレッドって強いのか?』

『ええ。彼女はここの騎士団長ですから』

『なら、アームドラゴニアってのに勝てるのか?』

『いつも通りなら問題ない。しかし彼女はどのみち殺される』

こいつ、この期に及んでまた意味のわからないことを

『どういう事だ?』

『王の決断に反抗した時点で彼女の立ち位置はない。』

なるほど。そういうことか

犯罪者の肩を持つ騎士団長など消してしまえってか?

笑わせるな本当に

『なあ、俺をここから出せたりするか?』

『可能。でも、ただでは不可能』

こんなときにまで交渉を持ってきやがるか

『条件は?』

『今は言わない。ただ貴方は乗るか乗らないか、その2択』

『乗った』

俺がそう言うと彼女は呪文?のような物を唱え始めた

すると見事に鍵が開いた

さすがファンタジー

『ふう、サンキューな』

『私がするのはここまで。条件は何れ話す。この地図の場所が北方の洞窟』

坦々と話すその女に向かって俺は一言サンキューとだけ言いその場を走り去る


王国が彼の脱走に気づくのはそれから二時間後の事だった


そのころ北方の洞窟


『ハアハア』

騎士団長セイン・ロードレッドは目の前の敵に焦りを覚え始めていた

『固い』

刃が通らなくなってきたのだ

『グルルルルル』

『くそ、』

アームドラゴニアの体力を着々と削っていたはずだが

目の前のアームドラゴニアはまだピンピンしていた

『不味い』

そう呟いたすぐ後、セインの右腕にアームドラゴニアの吐いた炎が直撃した

『ぐ、ぐああああ』

北方の洞窟に断末魔が響いた

『剣が、持てない』

それは騎士団長として圧倒的な強さを誇っていたセインにとって初めての詰みだった。

普段なら負けるはずもない。

しかしここに来る途中に野党に幾度となく奇襲を掛けられてきた。

そのため、セインの体力は

限界に近かった

『グルルルルル』

アームドラゴニアの姿が目前に迫る。

セインはここまでか。

と腹をくくった。

『ガアアアアア』

アームドラゴニアが口を開いた。

決心して目を閉じたが攻撃はいつまでも来ない

恐る恐る目を開くと

『大丈夫か!』

いるはずのない少年の姿があった。


少し前


『ここか。北方の洞窟』 

そこは、先が見えないほど暗い。ここに来る途中に幾度となく血痕と魔獣の亡骸を見てきた。恐らくはセインだろう

『うわ、』

恐る恐る中に入るとあちらこちらに魔物の亡骸が転がっていた。

『奥か』

そう思い俺は洞窟の奥へと足早に向かった

しばらく進んでも魔物が襲ってくる気配はない。

セインが一掃したんだろう

しかし、不味くないか?

この量の魔物を倒して尚アームドラゴニアって化け物を倒せるのか?

そこで俺は自分を助けた先ほどの女の発言をついて思い出していた

『いつも通りなら。か、そういうことか』

確かに万全の状態でならアームドラゴニアにすら容易に勝てるのだろう。

しかし、この魔物の量。

さすがの騎士団長でも。。

『不味いな』

そう呟いて、俺は先程より足早に奥へと進んだ


『音?』

しばらく進むと音が聞こえる。よくわからないが何かが焦げたにおいも

『この奥か』

最悪の事態が想像できてしまう。

『まだ死ぬなよ』

大丈夫。あいつならまだ生きていてくれている筈だ。

それに、アームドラゴニアと戦う用に武器屋のじいさんから一番高い剣を売ってもらった。この剣なら

俺はこの剣を勇者の剣と呼ぼう

そう考えてると目の前には今にもセインを食わんとする巨大なドラゴンがいた

アイツがアームドラゴニアか

させるか。

行くぞ。勇者の剣

俺は駆け出してアームドラゴニアの首を切り落とす勢いで切りかかった


『な、何故お前はここに』

セインは訳がわからないと言った表情で呟いた

しかし、シュウもシュウで

その声が届かないほど絶望していた

『お、俺の勇者の剣があああ。一撃でええええ。粉砕したあああああ』

シュウが振るった剣はアームドラゴニアに当たるや否やバラバラに砕け散った

『そ、そんなことより』

『そんなこととはなんだ!純金貸四枚で買った伝説の剣なのにいいいいい』

『お、おい!』

セインの強めの口調で俺はようやく正気を取り戻した

『まあ、いいか。それよりセイン大丈夫か?』

『わ、私は大丈夫って、ち、近い近い』

シュウの顔はセインの間近魔で迫っていた

『あ、悪い』

思わず顔を背けるとセインはべ、別にと顔を真っ赤にしていた

『そ、それより、何でこんなところに』

『あ、そうだ。テイ』

そう言って俺はセインの頭にチョップをした

『いたっ、何をする』

『お前こそ何してんだよ!』

いつもと違う気迫にセインは少し圧倒された

『こ、これはオリハラを助けるために』

『そんなことするな!』

俺は怒鳴った

『確かに俺のために動いてくれたのは死ぬほど嬉しいよ。でも、それでお前が死んだら俺は、死ぬほど悲しくなる。後追いしちまうかもしれないくらいに』

『で、でも』

『頼むから俺のために命を賭けないでくれ。』

『す、すまない』

セインは少し戸惑いつつも謝罪をした

『あ、別に怒ってるとかじゃなくて、俺のためにお前が痛い思いをするのは嫌なんだ』

『ドクン』

セインは自分の鼓動が早くなるのを感じた

『な、何だこれは。』

シュウにも聞こえないような声でボソッとそう呟いた

『よし、ならお前も無事のようだし。逃げよう』

『えっ?ま、待て。アイツを倒せばお前の釈放も正式にだな、』

『違う。お前はこいつを倒しても帰りに殺される手筈になってるみたいだ』

『そ、そんな』

ただ、少し考え込んだあと、セインは口を開いた

『まあ、当然と言えば当然か。王への反逆に当たるからな』

『とにかくお前は帰ったら凄い謝れ。それで許して貰え』

『オリハラは?』

んなもん。決まってる

『王国を出る』

『待て。この辺りには魔獣の森しかない。死ぬぞ』

『王国にいても死ぬんだから同じような物だ』

そう。例えどれほど弁明しようと俺は確実に消される

『それに』

『グルルルルル』

『まずはここを生きて帰らないと話にならないからな』

そう言うとシュウはアームドラゴニアに目を向けた

『ば、ばかもの。お前が勝てるような相手では』

しかし、シュウはアームドラゴニアに一歩ずつ近づいていく。

『グルルルルル』

『やめろおおおお』

しかし、アームドラゴニアは動こうとはしない

『あ、あれ?』

肝心のシュウもポカンとしている

『グルルル、ガウ』

アームドラゴニアはシュウの顔を一舐めした

『うお、な、何だ、味見か?味見なんだな?それなら一思いに』

『ガウ』

次にアームドラゴニアはシュウよりも、低く頭を下に下げた

『な、何を。は、まさか下からか?下からジワジワ苦しめるタイプか?くそ、立ち悪いな。頭から行けよ』

シュウがぐちぐち言っている中口を開いたのはセインだった。

『ち、違う。こ、これは服従の姿勢だ。』

『服従の姿勢?』

『アームドラゴニアがオリハラを主と認めたということだ』

『へ?な、何で俺?』

『知らん!そもそもアームドラゴニアを服従させるなど、聞いたことがない。どういう事だ』

『あ、俺が知りてえよ』

何がどうなってやがる?

アームドラゴニア。この目の前のドラゴンですが俺に服従?わかんねえ。

『なあ、セイン。これに答えるにはどうしたら?』

『あ、ああ。頭に手をやって真名を決めてやるんだ』

『真名?こいつの呼び方って事か?』

『そうだ』

『んーーー、アームドラゴニアだからアーチャン?』

『グルルルルル』

『イヤのようだ』

な、何故だ

俺が考えに考え抜いて決めたアーチャンという名を嫌がった?そんな、バカな

『な、ならゴニゴニ』

『グルルルルル』

『オリハラ』

やめろ!そんな哀れんだ目で俺を見つめるな。

『ドラ吉』

『ガウ』

『うー、気に入ったようだが、オリハラはネーミングセンスが』

うるせえよ。うるせえよ。

『と、とにかく!こいつの名前はドラ吉だあああ』

そう言って俺はアームドラゴニア改めドラ吉の頭の上に手を置いた

『これでいいのか?』

するとアームドラゴニア改めドラ吉のからだから光が輝き始めた

『うお、なんだこれ』

『クオオオ』

『主従契約が完了した服従者は服従の印が表れる』

セインの言うようにドラ吉の額に紋章が浮かび上がる

『うわ!ほんとだ』

『クオオオ』シュン

『お、おい!ドラ吉消えたぞ?』

目の前でドラ吉が消えたのだ

『ああ。それも契約によるものだ。オリハラが召喚したいと思えばいつでも召喚可能だ』

『なるほどな』

試しにやってみるか

いくぞ

『来い!ドラ吉』

『グルルルルル』

すげえ、本当に出た

『戻すときはどうするんだ?』

『ど、ドラ吉の額に手を当てて脳内でもう大丈夫だと思わせる意識を送るんだ』

『なるほど』

シュン

うわ、本当に消えた

『にしても俺が主従契約か』

異世界感出てきたあああ

『とりあえずセイン。お前とはここでお別れだな。色々と助かった』

『あ、ああ。オリハラはこれからどうするんだ?』

俺は今の気持ちを素直に答えた

『せっかくこんな世界に来たんだから色々と見て回ろうと思ってるよ』

『こんな世界に来た?』

詳しくは説明しない方がいいか。

『こっちの話だ。それじゃあまたな』

『うん。』

セインは去っていくオリハラシュウという男の背中をジッと見詰めていた


『はぁ~、惜しいことをしたなあ』 

どうせ旅をするならセイン見たいな綺麗な女の子と一緒にたびをしたい。

あ~、楽しかっただろうなあ

そうこう考えていると目の前にゴブリンが表れる

『うお、ゴブリンだ』

しかし、そこで気がついた

おれの伝説の剣は

ドラ吉のせいで粉々だ

『やっべ』

『ギイイイイ』

ゴブリンが飛び掛かってくる

『うお』

思わず目を閉じた

しかし、ゴブリンの攻撃はいつまでも来ない

『なんだ』

恐る恐る目を開くとそこには

『大丈夫か?オリハラ』

ゴブリンを両断したセインの姿があった

『セイン?』

『あ、ああ。』

『お前なんでこんなところに』

『べ、別に王国に戻ろうが私の立ち位置はもうない。私がこうなったのは半分はオリハラのせいだ』

『俺のせいかよ』

『だ、だから』

『ん?』

セインは耳まで真っ赤にして呟いた 

『責任をとり私もオリハラの冒険に連れていってくれ!』

『は!?』

『だ、だめかな?』

うん。可愛い

上目使いとか初めてされた

なによりすごく嬉しい

『いいのか?騎士団長の役職は』

『私を殺す画策をしている時点で新たに騎士団長候補は出ている。』

『しんどい旅になると思うぞ』

『私はセイン・ロードレッドだぞ?その程度造作もない』

『そっか。なら、俺と来てくれるか?』

俺はスッとセイン・ロードレッドに手を差しのばした

『喜んで』

セインはその手を優しくとった

『さ、さしあたってはこれから幾久しく共に旅をするのだから、し、し、シュウと呼びたいのだが、いい、かな?』

あーーー、可愛い

こいつたまに女口調になる時があるんだよな。

『あ、ああ。嬉しいよセイン』

『そ、そうか!嬉しいか!嬉しいんだな?良かった』

顔を真っ赤にして喜んでいるセインはマジで可愛い

『よろしく!シュウ』

『こちらこそ、セイン』

俺はこの時のセインの笑顔を忘れることはないだろう

『見つけたぞ』

気が付くと一人の男が息を切らしながら走ってきていた

背後には他に5人いる

『セイン・ロードレッド!貴様反逆者の肩を持つのか』

『ああ。王に一言伝言を頼む。ばああか。とな』

セインはそう言うと自信の刀の柄に手をかけた

『き、きさま。我々六人とやるというのか』

『そうだ。私はシュウの味方だ』

『貴様あああ』

俺はセインの手を制止した

『なんのつもりだ!シュウ』

『ばーか、手火傷してるんだろ?』

『こ、この程度』

『いいからここは俺に任せてくれ』

そう言って俺は六人の前にたった

『貴様程度なら』

六人は口々にグチグチと言っている。

『誰が俺が相手をすると?』

『な、なに?』

『お前らの相手はこいつだ!来やがれドラ吉』

そう告げると男達の目前にアームドラゴニアが現れる

『ひ』

『な、な、な、何故、何故アームドラゴニアが』

『殺すなよ!』

『ガウ』

『セインも何か命令して見るか?』

『私の言うことを聞くのだろうか』

『大丈夫だって!』

『な、なら、殺さずとも多少の痛みは与えておいてくれ』

『ガウ』

『ほらな!』

『本当だ!』

『き、き、貴様ら、』

『あ、ドラ吉気が立っているから精々頑張れよ!』

『グルルルルルガアアアアア』

『くそおおおおお』

男の叫びは途絶え

その後は断末魔だけが響いた


『ふう、疲れた』

王国からの追っ手を撃退した後、セインとドラ吉と俺は次の目的地を探した

『なあ、セイン』

『どうした?』

『俺、獣人の里によりたいんだけど』

『獣人の里に?理由を聞いてもいいか?』

『会いたい奴がいるんだよ』

『会いたい者?』

『ミュアとフライン。ちゃんとご飯とか食えてんのかな』

『ミュアとフライン?』

あれ?口に出てたかな

『そ、それはもしかして女か?』

『ん、ああ。獣人だけど』

『むっ』

何でこいつはむくれてるんだ?

『おい、何拗ねてるんだ?』

『す、拗ねてなどいない』

『いや、でも』

『うるさい!黙れ。ほら!獣人の里だな。いくぞ』

そう言って足早に行くセインを俺は後から追いかけて行くのだった


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