毒入り食事、これってまたピンチ?
萎びた俺が居る部屋は、大学の研究室っぽいところ。
もちろん、大学に縁のない俺に研究室が分かる訳ないけど。雰囲気です!
大きなテーブルを挟んで、あちら側は大勢さん、こちらはネガティブ一匹。不利だ!
「まずは、自己紹介からしよう。
私はここの責任者でレイスと言います。
お名前は?
出身はどちらでしょう?異邦人であるのは理解していますが。」
大勢さんの中から少し老けた真面目そうな人が進み出て話しかけてくる。
ちょっぴり、優しい感じが嬉しい。
「は、初めまして。俺、、、僕はな、中村 圭と言います。」
噛んだ〜。
初めてのクラスの自己紹介よりダメだ。
いざってとき、必ず力が出ないタイプだな。
そこで、更に場の空気を読まない俺の腹が大きな音で鳴る。
な、なんでー。
「申し訳ない。そう言えば丸一日何もお出ししてないですね。お食事をお持ちしなさい。」
緊張感より、お腹が空いて嬉しさの方が多い。
それからすぐにテーブルに食事が並べられた。
「さあ、召し上がってください。お話はその後で伺います。」
見た事もない食材だらけ。
ショッキングピンクや青など食べられるのー?と疑問持つようなものものだけど、匂いは最高!
「いただきます。」
手を大皿の魚っぽいものに伸ばすとやつがきた!
【ピーン!お知らせです。
少量ですが毒入りです。
毒は、ヤナキ魚のヒレから抽出。体の自由が奪われます。
ただし、圭には効きません。】
なんと、毒ですかぁ。
コッソリ命貰いますか?ってやつですか?
もう、涙目になってもいいよね。
【ピーン!お知らせです。
命の危機なし。
解毒剤を右端から三番目の人が持っています。
これはたぶんテストです】
はぁ〜?テスト?
パッと、その人の方を見た。
えっ?分かりやすく動揺してる。
。。。。
「ははは。やっぱりこの位の毒では貴方は騙されませんか。ましてや、毒を入れた人間まで分かる。
やっぱり、異世界人ですね。
この国は、昔異世界人に大変酷い目にあってから異世界人嫌いが酷いのです。
改めてお詫びします。貴方の能力は確認されました。確かに、偶然、王太子殿下をお助けした訳ではない。
この国の人間として、お礼申し上げます。」
おー、なんと。
レイスさんは、殺る気だったな。
目がお礼言ってないから!
流石に分かるよ。
しかし、毒盛るとか、結構激しいテストだよね。
マジ、嫌われてます!
あーあ。
ピンチ長ーいーー。もう、厳しい!
それに腹の虫が叫んでますー。
毒のない食事くれー。