第3話
「少し長くなるかもしれませんが良いですか?」
「はい、大丈夫です」
「では、始めますね」
この美少女が急に初めて会った人に告白しちゃう理由。どんな理由なんだろう。全然想像が出来ない。
「先ずは私の出生から。私は母だけが日本人で他がイギリス人の家系に生まれました。母が子どもを授かりにくい躰だったみたいで、初めての子どもに凄く喜んでいたそうです。特に祖父が喜んでいたみたいで、小さい頃からパーティーに出させられていました。その頃はまだ苦ではなかったのですが、徐々にあまり人と話すのが苦手になりパーティーでも自分の家族の所にいることが多くなりました。」
茶髪も、蒼の眼も元からか。いや、そんな話じゃないだろ。真面目に聞きなさい僕よ。
「私の家系は他との繋がりが多い事こともあって、無理矢理出されていたんです。それが原因でこの前まで閉じ籠もり気味だったんです。そこにこの怪我があって、事故だったんです。その後、周りの同年代の人から少しずつ苛めにあってました」
やっぱり苛めに遭ってたんだ。目立つ傷、これで苛めに遭っている人が何人いるんだろう。
「そんな時に母の父親が倒れて、私達一家でこっちに引っ越して来たんです。」
「そんな事があったんですか、よく知らない僕が言うのもあれですけど、大変だったんですね」
「はい、それで肝心の告白の話なんですけど、あなたは私の傷を見ても可愛いと言ってくれました。それに、優しそうな雰囲気だったので!」
「え? 言いにくいんですけど、出生の話があんまり関係無かった気がするんですけど」
無いよね? 結局傷が原因だったし。
「ごめんなさい! でも、返事もらえますか?」
「そうですよね」
どうしたら良いんだろう。勿論僕に断る理由なんてない。でも、お互いに全然、何も知らない。なら
「僕たちまだお互いに何も知らないですよね?」
「はい! でも、私は優しい方であれば」
「僕が良くないんです。なので、これから夏休み入るので、一緒に遊んでその後にしては駄目ですか?」
「う~ん、分かりました! 急ぐ必要も無いですし、是非お願いします!」
この後、僕たちは連絡先を交換して少し話してから別れた。
4日後、僕たちは夏休みに入ったのだった。
今日は土曜日。シュネと出掛ける日だ。因みに彼女の名前は別れた後に連絡を取り知った。ここで驚いたのが、彼女は僕の年齢と外見に差がある事を受け容れてくれたのだ。これによって、僕も彼女に惹かれ始めている。
今は8:50。集合の10分前。今日はあんまり遅くならないで終わろうと思っている。焦る必要は無いし、彼女はデートに行けると喜んでいたから。
「直奈くん、おはよう!」
今まで気付いていなかったが、驚くべき事がある。彼女は日本語が流暢なのだ。訳を聞くと、こっちに来てまた苛めに遭うのが恐かったからだそうだ。凄く切ない理由だよ。僕といる間は、そんな思いさせちゃ駄目だよね!
「おはよう、シュネ!」
「今日は一日お願いしますね!」
「任せといて!」
今回は事前に彼女にどういう所に行きたいか尋ねた。その結果、この町に来て間もない為、どういう町か分からないようなので、僕のよく行く所に連れて行こうという事になったのだ。
「じゃあ、先ずは僕が結構行っている図書館に行くね! あ、行ったことあるよね、シュネも」
僕たちが出会ったのは図書館だった。これは一カ所目から選択をやらかしましたね。
「わ、私、あの日初めてあそこに行ったの。それに結局直奈くんと話して帰っちゃったからよく分からない。だから大丈夫だよ!」
「そうなんだね、じゃあ図書館へ!」
駅から電車で図書館に最寄り駅まで向かった。その間も彼女に窓に映った建物や風景の説明をしていた。日本に来るのは3回目で、大きくなってから来るのは初めてだから興味津々で聞いてくれた。目がキラキラしていたから僕も嬉しくなった。
図書館にやって来た。やって来た。やって来ました。よく考えてみると人生初なのです。女子と二人きりで学校以外で行動するの。これはデートと言っても良いのかな。そう考えると緊張してきたよ……
「直奈くん! それでは私にどういう場所なのか教えて下さい!」
「うん! えっとね、イギリスにも図書館ってあったのかな?」
「ありましたね。殆ど行ったことは無かったんですが」
「じゃあ、使い方とかも説明するね!」
小学生位に見える男の子から図書館の使い方を教わっている高校生位の女子。端から見たらこれって凄い光景なんじゃないだろうか。自分だったらつい笑いそうだな。
「先ずは、貸出カードっていうのを作るんだ。作ってみようか」
「カードでしたら、こちらに必要な情報をお書き下さい」
「シュネは日本語で文字書ける?」
「大丈夫です!」
「それでは、こちらが貸出カードになります。1度につき本を10冊まで借りることが出来ます。貸出期間は15日です。そして、カードの有効期限は3年になります。他にご不明な点はありますか?」
「大丈夫です、ありがとうございます」
僕たちは取り敢えず荷物を置いた。今回も彼女が僕が今まで使っていた席に、僕はその隣に。彼女は申し訳なさそうにしていたが、納得してもらった。
「シュネはどんな本が読みたい?」
「日本人作家の小説です! こっちに来てからずっと読んでみたかったんです! さっき私、図書館には殆ど行かなかったって言ったんですけど、読書は好きなんです!」
「じゃあ、僕のオススメの作家の本を見に行こう」
そうして、彼女は僕オススメの本を自分の席で読み始めた。
あんまり考えないようにしていたけど、やっぱりシュネは可愛いなぁ。読書して集中してるのも可愛い。
「私の顔に何か付いてますか? ずっと見てますけど」
またやらかしたな。この子の魅力はずこい。まだ実際会っている時間はあんまり長くないのに、こういう失敗は多い気がする。ここは正直に言っても良いかな。
「集中してるシュネも可愛いくてね」
「そ、そんな、なら付き合って下さい!」
頬を紅く染め、照れている。彼女はそれを隠すかのように強引に持っていた。
シュネよ、免疫がなさ過ぎやしないか?
「心配になってきちゃうよ」
「だ、そんな事ないです! 直奈くんだけですよ!」
「ありがとう! 嬉しいよ」
そんなに真剣で力強い視線で見られたら、また何か口から零れちゃうよ。
それに、周りの視線が痛い。特にたまに話す仲の人達からのが。いつもそんな視線しないよね? そう言えば、この人達ってあれなんだよね。うん、あれだ。
「悲しい人達なんだよね」
「それを言わないで……」
少しの静寂の後に誰かがぽつり呟いた。僕はまだ付き合っていないけど、優越感が凄い。つい頑張れとか言っちゃう程に。
ん? 読書に集中していたシュネが何時の間にかこっちを見ている。
「どうし」
「これ、面白い!」
ああ、そっちね。つい、この流れ的になんかあるのかなって思ったよ。
「ねぇ直奈くん。これから他にも回る所ってあるよね?」
「うん、あるよ?」
「じゃあ、これ借りて次の場所に行こう!」
「重いだろうから僕も持つよ」
「ありがとう!」
そうして本を借りた僕たちは次の場所へ向かうのだった。
「他に行くところかぁ、あんまり無いんたよな」
「なら、2人で町を歩きませんか?」
「じゃあ、商店街に行ってみよう!」
こういう所で話すのは苦手です…
これからは書かれていない事もあったりなかったりするかもです…
この後も2人のデートは続きます!