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行き着く先は生か死か  作者: yudarium
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第11話

 ふたりはぎこちなさが残ってるけど、仲良くなれそうだな、これからは。玲奈とは結構長い付き合いだと思ってたけどあんなにはっきり言われたのは殆ど無かったなぁ。


「あれれ? お二方は劇的な関係改善があったみたいですね?」

「「お蔭様で!」」

「じゃあ、今度こそ遊ぼう!」


 突然金髪の髪が満場一致で似合っていないと言いそうなチャラ男×2がやって来た。


「いや、女の子達は僕たちと遊ぼうか? こんなガキと軟弱そうな男とじゃなくて」

「「いえ、けっこうです」」

「いやいや、本当は行きたいんでしょ?」


 そう言ってシュネ達の肩に触ろうとするチャラ男二人の肩を(海パンを)押さえた。


「はぁ? なんだおめぇら?」

「そんな見せ掛けの筋肉で何軟弱だなんて言ってるのかな?」

「人の年齢を外見で判断してんじゃねぇぞ?」

『スパアッーン』


 シュネが全力で打ったビーチボールが有り得ない音を出しながらチャラ男にぶつかった。


「す」

「すが何だって?」


 シュネさんが冷笑を浮かべながら声を低くして尋ねた。恐ぇと思ってチャラ男を見ると案の定固まっていた。


「「本当に申し訳ありませんでしたっ!」」


 そう言って全力謝罪をして走り去っていく彼らは少し可哀相に見えたのであった。


「直奈くん、私は恐くないよね?」

「う、うん。そうだね……」


 玲奈と進也が苦笑いしながらこっちを見ていた。


「し、仕切り直してまずはバレーから!」




《昼》





 えー、お昼の時間帯になりました。バレーボールなのですが、結論から言わせてもらうとシュネと玲奈の希望により、男子対女子となりました。しかし、我々男子は全く歯が立たず、圧倒的敗北をいたしました。ま、私は身長のハンディーもありますし? 仕方が無いんです!


「でもまさか、シュネさんと玲奈のバレーを見た観客の声で急遽バレーの大会が始まるなんてねー」


 ついついコメントが棒になってしまった進也選手。


「いやー、我々も奮闘したのですがねー」


 私のコメントも棒となっております。というか、市民プールで何かの大会って良かったのか? 全員一致したから良いのか。


「直奈く~ん! 優勝景品の売店割引券使って昼ご飯食べよ~!」

「そうだね!」

「玲奈は小学校からバレーやってるの知ってるけど、シュネはバレーやってたの?」

「まぁ、一応ね!」


 一応の領域にはとどまっていなかったが一応ということにしておこう。玲奈よりも洗練された動きだった。




《夕方》




「どうだった今日は? シュネ」

「すっ~ごく楽しかった!」

「それは何よりだよ!」

「後、心の靄が晴れた気がしてさ」

「僕も! 何も心配しなくてもいいのかもしれないって」


 あれ、なんか急に視界がぼやけてきた。いや、霞んできたのか? ふらふらもする。


「これ……らはがあった……相談……ね!」


 シュネの声がする。でもなんて言ってるんだ? 

 意識が飛んでいく感じがする。


「直奈くん!」


 最後に僕が感じたのは、両肩の衝撃だった。


「う、うーん」


 ここは何処だろう。最後に覚えているのは、何だっけ? 全然覚え出せない。でも、多分市民プールにいた気がする。

 でも、今少しぼやけた視界に映るのは、白。この純白はあまり良い予感がしない。体の横には点滴? このチューブは何処に繋がって……


「直奈くん、久し振りだね」

「この声は白石先生ですか?」

「そう! いや~、まさかまた倒れるなんてね。予想はしてたけど!」


 にっこり笑いながらそう言ってくる先生は少し悪そうにも見えました!


「またって、直奈くん何回も倒れたことが?」

「そうなんだよ、彼は正直なところ普通に生きるよりも負荷がかかってるだよ」

「えっ、そんなに壮絶なんですか……?」

「シュネもいるの?」


 今の状態だと視界が頼りにならない為、音で状況把握するしかないのだ。


「うん、大丈夫じゃないよね。今まで全然気が付けなくてごめんね」

「いや、シュネに格好いいとこだけ見て欲しくて我慢してたんだ。だから大丈夫!」

「でも、これからは我慢しないでね。直奈くん、今回は不味いかもしれないよ。外見が2歳程遡ってる」

「えっ、本当ですか?」

「うん、本当だよ」


 今までは一日過ごす度に一日遡っていた。それが、今回は2年。今は6歳って事なのか!


「もしかして、僕の外見って……」

「6歳だね」


 ここに来て初めていっきに年齢が遡ってしまった。これが何度も続けば僕の生きられる時間は急激に減っていく。


「取り敢えず、様子も見ないとだから今日は入院って事で」

「はい……」


 先生が個室から出ようとすると誰かがもの凄い勢いで入ってきた。


「直奈!」

「母さん」

「父さんは今ヨーロッパいるから来られないから、私だけで我慢して。ん、あれ? あれれ?」

「どうもいつも直奈くんにお世話になっているシュネ・ワトソンです」

「あらあら、話は聞いていました。あなたが直奈の初彼女さんですね」

「はい」

「顔の傷は触れない方が良いのかしら? それにしても、随分と綺麗だこと!」

「ありがとうございます」

「シュネちゃんとは長く話したいから、私帰るね」

「え、あっ、どうぞ」

「じゃあ、シュネちゃん行きましょ!」

「えっ、はい! 直奈くんまたね!」


 あれ? 母さんって何のために今日来たんだ? 僕の事を心配してきたのではないのか? シュネと消えて行っちゃった。

 まいいか。そういう人だし。最悪だと思って固まっていた表情も自然とやわらいでいる。これが狙いだったりは、しないか。

いつも読んでいただきありがとうございます!

この小説に何度も来ていただいている人もいてとても嬉しいです( ´∀`)

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