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跳弾

 こちらに視線を向けて硬直している、車両内の数名の乗客。いつものことだった。黙殺して現場を離脱しようとして……



「動くな!」



 車両の最後尾で大柄な男が立ち上がった。


 その右手には、銀色の鉄塊。私服警官……にしては、構え方がなっていない。腕が震えて、照準も定まっていなかった。


 素人ではなさそうだが、訓練を受けた様子もない。


 誰だ、こいつは。



 扉が開いてから既に十九秒が経過。


 僕に銃口を向ける理由は不明だったが、いまプラットホームに飛び出せば格好の的になるだろう。


 つまり、対処を誤れば、死ぬ。


 この狭い空間での跳弾はリスクだったが、僕が取るべき行動はただ一つ。



 排除する。



 大柄な男にGlockの銃口を向けざま牽制のトリガーを引いて、すぐ脇の座席の陰に飛び込んだ。


 反撃を受けて動揺したのか、相手は闇雲に引き金を引いている。その間隙を縫って、応戦。前方の席から、大きな悲鳴が上がる。僕の銃弾が相手の胸板を打ち抜いた。


 座席の陰から覗き見ると、通路に横たわる男の身体が見えた。


 二十七秒が経過。時間がない。


 反撃の意志が失われているのを確認して近寄り、胸に二発、額に一発。



 車両内の乗客がプラットホームに飛び出して行った。


 倒れた男の後方の席でただ一人、女児に覆い被さってすすり泣いている女性が見えたが、僕も現場を離脱。



 予定の経路を辿って地上に出た。


 人の流れに身を委ねても、背中を伝う嫌な汗がいつまでも止まらない。

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