自己紹介
高校の入学式では、特に「手を繋ぐ」ことをしなかったので、本当に助かった。
俺の通う学校は変わったことに、入学式を、終えた後にクラスを確認するシステムらしく、俺のクラスは1ー2だった。
担任の話を聞いた後にどうやら自己紹介を、するらしい。
全員初めて聞く名前だし、初めて見た。
そりゃそうだ。そのために、ここに来たと言っても過言ではない。
無難に、よくある感じの挨拶を、済ませた俺は、新たな生活の第一歩を、踏み出そうとか、少し恥ずかしいようなことを、考えていた。
その時だった。
ガラガラッとドアが開いたのである。
「すいませーーん。入学式だけで、終わりだとおもっていましたぁー。」
喋っている言葉の間に、ハァハァと、息が荒いな。走ったんだろう。
女子だった。しかもとびきり美人の。
「自己紹介を、お願いしようかなぁ」
担任の先生も、驚いたようだった。
だがさすがである。ここで自己紹介させるらしい。
「ハイ。私は、なるみ。 太田なるみ、と言います。」
いい名前だなぁと思った直後だった。
その発言は言葉の意味そのまま時が止まった気がした。
「私は、三神浩二さんの恋人です!」
ーーん?