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召喚されたはいいが失ったものが大きすぎるんだが。  作者: 平平平平
それぞれの召喚された場所で
9/29

真 5 懇願の理由

PVの総数をふと見たら、6000以上あったりしてビビりました。タイトル通りになるのは中盤からだと思いますのであしからず。

ブクマ20件ありがとうございます。

サブタイトル変更

 出された条件に対し、混乱、疑問、驚愕などいろいろな感情が心の中で渦巻きながらも、俺は顔を引きつらせて目を少しそらしながら、なんとか笑顔を作って答えた。


「えっと冗談ですよ…ね…」


 最後の方にふと見たイアさんの眼光が冗談ではないことを雄弁に物語っていて、言葉をすぼめてしまった。


「勿論冗談をサラサラいう気はないわ。何しろこれは今の私のたった一つの願いだもの。まあ、少し言葉が足りなかったわね。私の願いは私と、その友人6人と戦って・・・その結果私たちを殺すことよ。」


 たった一つの願い??自分と友人を殺すことがたった一つの願いだと??考えれば考えるほど訳わかめになってくる。


「期限とかは設けないわよ。それにあなたにもメリットがあるわ。」


 いや、そういうことじゃなくて…


「そもそもなんでそんなことを願っているんですか?」


「それはね…」




「人生詰んだからよ」





           ◇ ◇ ◇




「…昔、私には6人の冒険者仲間…とは言っても魔法馬鹿の私を筆頭に剣馬鹿とか、鍛冶馬鹿とか、重力魔法だっけ…まあいいや。そんな魔法を使う馬鹿とか…ほかにもいるけど、とにかくそんな馬鹿達がいたの。


 その7人ははっきり言うとバトルジャンキーだったのよ。今は一部の馬鹿以外そんなこと言ってられなくなったけど。


 そんな7人だから共闘し、時には仲間同士で戦いあい、強くなった。その結果魔王を倒すことができちゃったの。


…今思えば魔王にも同情するわ。うん、あれは弱い者いじめだったかも…。開幕で私が「重」と「時」、それに「理」を利用して核爆発並みの爆発のエネルギーを保存しながら限界まで重力の力で圧縮して、「変」の力で一方向に指向性を持たせたそれを、十発ぐらい・・・・・「動」で超加速して打たれたんだもの。まあ、流石魔王と言えるだけあってそれにも耐えたけど、城は跡形も無く消滅したの。そこを剣馬鹿を筆頭とした奴らが滅多打ちにするもんだから、断末魔の一つ上げることも許されずに逝っちゃったわ。」


 …やべーよ。イアさんやべーよ。気になることは色々ある。だけど、多分この話まだまだ続くのに、この時点で強者・・のはずの魔王を、たとえ仲間がいるとしても弱い者いじめ・・・・・・しちゃってるっていう…それに五属性をふんだんに利用した魔法って…何となく察してたけど、この人明らかに異常の域にいる…。


「そんなことで魔王を倒すことができちゃった私達は、英雄として祖国で表彰を受けることになった。


 だけど、7人の中にそんな称号とか、名誉とかに興味があるものはいなくて、唯々〝強くなりたい〟それだけを目標に7人は時には大地を半壊させながらも修行したり、大陸の地形を変えながらも戦いあうことによってさらに強くなり、いつしか『七戦神』とか『七大魔王』とか呼ばれるようになったわ。」


 とうとう自分が魔王になっちゃったよ!!この人!!軽く言ってるけど戦いに巻き込まれたら絶対死ぬじゃん…というかこの人たち脳みそが戦うためにしか使われてないんじゃ…


「ちなみにその途中で自分を『馬毛』とかだっけ?兎に角そんな名を名乗る人に出会って、少し修行に付き合ってあげたり色々したら、『超』っていう属性を利用して全員不老不死に変えてくれたの。勿論不老不死と無敵はイコールではないから、精神的に死んだり、体を丸ごと消滅させたりしたら死んじゃうような感じだったけどね。


 後は、保護なしで・・・・・界渡りを数えきれないほどやったりしたかなあ。懐かしいわ~。」


 あ、遂に生死を超越した。それにあのトラウマの界渡りを修行内容に組み込んじゃってるじゃん…でも馬毛かあ。強そうではないけどどんな人なんだろう。


「そんな生活をしてたある日のこと。遂にあいつが接触してきたの…。」


 それはなんとなくわかる。と、いうかそれ以外あり得ないと思う。そいつは…


「神…ですか?」


「その通り。更に付け足せば、あなたに加護を付けた奴と同じ神よ。


 神は私たち7人の前に姿を現しこう言った。


『君たちはちょっと暴れすぎだ。僕の力で同族殺しを防止しておこう。まず君たち7人の間での殺し合い、そして戦いの禁止。更に同族の人間を殺すことも禁止。まあ、後者についてはせめてもの情けとして正当防衛なら良しとしよう。』


 こういって去っていったわ。それからというもの、7人同士で戦うことができなくなって、強さの基準が曖昧になっていった。それでも私たちは強さを追い求め続けた。




 2000万年だっけな。それくらい経って、ようやく脳筋だけではだめだと思った…というより流石に戦いに飽きたのか、皆でおしゃべりしてた時、ふと7人の内の一人がこう言ったの。


『なあ。俺ら7人より強い人間なんてこの世に多分いないじゃん。それにさあ、俺ら戦いともなると、本気になるから手加減とかできないじゃん。更に言うと、前に2514代目の魔王とその軍隊全員・・・・・・・・・に袋叩きにしてもらったけどさあ、俺らそんなこともあろうことかと体の再生を瞬間的に無意識で行うようにしてたから全く・・痛くもかゆくもなかったわけよ。更に更に言うと、俺ら体、人間を辞めてるじゃん。そのせいか、恒星に突っ込んで中心部でずーっといても無傷だったわけ。その道中で宇宙でも生きることができることも分かったし…こんな体な上俺ら不死身にしてもらったじゃん。


 何か…今まで〝強くなりたい〟この一心でやってきたけど、俺らどんなことがあっても死なないんじゃね?俺らの何千回と界渡りしてきた精神を折れる人だって考えつかないし。


 さらに、臭いセリフだとは思うけど、人生のスタートが〝赤ちゃんとして生まれること〟とすると、人生のゴールはどんな形であれ、〝死ぬこと〟だと思うわけよ。そう考えると、死ねない俺らって人生が終わりのない拷問のようなものじゃん。


 何が言いたいかというとさあ。


…………俺らって人生詰んだんじゃね?』


 当時はまだ・・2000万年しか経っていなかった。だからか、楽観的に見る人の方が多かった。


…その二倍の年数経った。皆気づき始めた。


…さらにその四倍以上の年数がたった今。やっと自分の置かれてる状況を理解できるようになったのよ。


 私たちは、終わりのない無間地獄の中にいるってことをね。」


 


 


 


 



 

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