真 15 始まりはいつも難易度ルナティック
ブクマ55件、ありがとうございます!ちょっと欲が出て評価とか感想も欲しくなってしまいます……増長は禁物ですね。よろしければ下の評価ボタンをクリック!とだけ言っておきます。
それはさておき、遂に真改めトラシアの冒険が始まります!ちょっと名前に慣れにくいかもしれませんが、慣れるまでトラシアと呼ぶのには我慢してください。
なお、サブタイトルの「真」はかわりません。
暖かい光が解き放たれ、目の前には一面の青空が広がっていた。相も変わらず太陽は明々と全てを照らしている。
……あれ?何かおかしくないか?平衡感覚が狂ったわけでもないし、上も見ていないのに、青空しか見えないって……どういう事だ?イアさんは街に転移させるとか言っていたはずだけど……どう見てもここが街とは思えない。
あたりを見回す途中、下を見ると……地面が無く、一面の白い物体があった。
それはまるで、白い海の様で美し……って白い海?地面が無い??
……雲海?
ってことは……空中ってこと?
……。
「い、イアさああぁぁぁぁん!!」
何処が街だよ!!
――俺はあの人はやっぱり脳筋が抜け切ってないと思いながら、空の中を延々と加速していくのだった。賢そうに見えて、がさつって質悪すぎだろ……
◇ ◆ ◇
「くそっ!この魔法も使えないか……」
能力の制限はもうかかっているらしく、魔力の絶対量が極めて少ないせいで学んだり、自分で作ったりした大半の魔法が使えない。特に、空間系統、時系統の魔法はほぼ全滅で、空間なんか《理解》で調べたら一センチも体を動かすことが出来ないみたいだ。転移系での回避は不可能だろう。
身体能力も前は空を走ったり出来る某龍球の様なレベルだったのだが、今や普通の高校生並みになっている様だ。(幼女なのでそれでも異常なのだが)
どうやら俺の人生は、思ったより難易度が高いらしい。イアさんは俺に恨みでもあるんじゃないのか……。
「風!風を利用して……いや、駄目だ」
ゲームや漫画では定番の設定になっていた為か、真っ先に思い当たった属性である「風」だが、幼女の体は軽いとはいえ、当然生半可な風では浮くのは不可能だし、風なので当たらない面のロスが大きい。何しろ考察した結果魔力の量が今や常人の数十分の一になっていたのだ。真……元いトラシアがこの一ヶ月で最大限に効率化した魔力操作を、更に暴走させた状態でやっと人並に扱えるようになるレベルである。
今の状況、例えるならば初期装備で魔王を倒しに行くほどには無謀だ。多くの者はトラシアと同じ立ち位置に立たされても何も出来ずに終わるだろう。
しかし、トラシアは、思考加速、並列思考、そして理解を使って何とか生きる方法を見つけ出す。
「そうだ!最初からこうすればよかったんだ!頭の中で組み立てて……」
現在使える魔法の内、最もロスが少なく、効率的、合理的かつ安全に着地できる属性は……「静」であった。
「静」は、熱や物の力の大きさを司る属性である「止」の上位互換だ。名の通り、力を弱めたり、分子の振動レベルから熱を冷ますことも出来る。通常なら適性を得るために長い年月がかかるこの属性だが、トラシアは難なく……という程ではないが、体感時間にして百年以上経ったところでいつの間にか得ていた。「止」よりも効率が数十倍良く、ロスは更に上位の属性である「振」程ではないが、かなり少なくなっている。
そして、この属性。最大の長所は広範囲にかかってしまう風とは違い、動いているある一つの物体だけ等、対象を一つに指定して付与することが出来る、という事だ。
注意が必要なのは、同じ速度で動き続けている物体は、何処からも力を加えられていないので、俺自身に「静」を付与しても綺麗に等速直線運動をしながら落下、地面と激烈なキスをして赤い花を咲かせるだけだ。よってこの場合少々ややこしくなるが、「俺の体にかかっている重力による加速の力」を抑えるのが適切だろう。
ただ、タイミングだけは注意が必要だ。少しでも遅すぎたら冥土行きだし、早すぎたら無重力の中でふらふらして最後には魔力切れでこれまた地面とのキスだ。しかも、成功したとしても残る魔力はかなりギリギリだ。失敗はできまい。
雲を突き抜け、俺は風を切り裂きながら落ちていく。すると、青々と草が生い茂った地面が迫ってくる。ここで少し周囲を見回してみると、街のような物も朧気ではあるが見える。ここで空中に投げ出されたことが役立つとは……地面は幸い平野の様だ。海なら流石に死ぬことになったぞ。幸運に感謝だ。
《理解》で最適なタイミングを探り、そこに合わせて減速の準備をする。三……二……一……今だ!!
自由落下から外れ、急速に空気との摩擦で減速していく。簡単に言うと、自転車のペダルを漕いでない時の減速具合に似ている。
そしてとろとろとした速度になり……俺は地面と僅かに隙間を開けて静止する。そして魔法を解除して……
「とうっ!っと」
――傍から見れば、幼女がジャンプしたりして遊んでいる微笑ましい光景だが、その過程を聞くと皆一様に目を点にするだろう。
されども、トラシアはこうして無事に地を踏むことが出来たのであった。
◇ ◆ ◇
「さてと……これからどうしようか」
正直魔力の限界も近いし、トラシアとしては早く眠ってしまいたいところである。
「まあとりあえずは森の反対側に街が見えたし、そっちに向かってのんびり歩いてみるか」
そう考えトラシアはゆっくりと平野の広がる中を歩き始めた。疲れは全く感じないので、走ってもいいのだが、今の魔力欠乏状態でそれをやるのは些かきついことだったのだ。インフルエンザの時に外出するぐらいの苦痛は伴う。……トラシアにとってその程度の苦痛は最早歯痒い程度にしか感じられなくなっているのだが。
しかし……そんなトラシアを嘲笑うかのように、運命は牙を剥く。
「グゴォォッッッ!!!!」
突然聞こえたのは、地を割るような凄まじい遠吠え。
トラシアは遠吠えの聞こえた方を見ると、大きくため息をつくことになった。
「恐鳥……かよ」
そう……トラシアにとって第二の試練は……
魔物だった。
そして、それはトラシアに躊躇なく襲いかかる。
次回も「真」です。そういえばツイッター始めました。
更新情報等を載せていこうと思っています。
活動報告にリンクがありますので、まだろくにツイートしてませんが宜しくお願いします。
それと、私は学生なのですが、現在成績が少々やばいことになっています。何とか頑張りますが、この小説の更新頻度は前よりも落ちると思います。
恐鳥についてはググレカス先生に聞いてみよう!恐竜みたいな体格の鳥だよ!
体格と比例しない身体能力の矛盾については後ほど説明します。




