真 10 修行一日(八十年と少し)目
あいも変わらず不定期で細々と。8000PV超えたことに気付いてぬか喜びしています。
時間が遠い。ひたすら輪廻の輪を廻る錯覚に陥る。不快感はあまり無い。そしてどんどん早くなっていって、体が熱くなって、言い知れぬ不安に胸を支配されて、憤りを感じて。長い長い時間の中で、次第に精神と肉体が一つになって行く錯覚を覚える。
そんな中でも切実にただ一つのことが頭を支配する。
「これ、いつまで続くんだよ……」
そう、俺、東野 真は今二時間魔循環の真っ只中であったなんて、ライトノベルの主人公みたいなセリフを言ってみたり。この世界には二億年の歴史があり、地球上で実現されたものや、未だ実現されてない技術など沢山あるようだ。そのおかげか、大抵のものはイアさんの家の中にあった。ということで、勿論時計も存在しておりそれを目の前に置いて魔循環をスタートしたのだが、結果として開始一分で心が折れそうになった。
~簡単な計算の話なので、飛ばしても結構です~
まず、この世界の一年は三百六十五日なんて甘いものではなかった。閏年の概念があり、多少の誤差は有るが十六個の月があり、一月の平均が二十五日の約四百日だったのだ。つまり二時間を四千日にしているという事。……なんかこれだけでまるまる一年数が増えた気がする……。一日が三十時間だから、十五×四千でしめて六万倍の時間を体験することになる。賢明な人はもうおわかりだと思うが、一分とは六十秒だ。それを六万倍したら、三百六十万になる。ここで一時間が三千六百秒だということも補足しておこう。三百六十万を三千六百で割ると千時間になる。……あれっ? この世界標準の三十時間で割っても三十三日と十時間になるよな。(ちなみに真はこんなややこしいことをしていますが、四千を百二十で割れば簡単に出てきます)
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……俺が心折れそうになったことを笑う者はいないだろう。更にそれにも増して恐ろしいのが、
「集中しなさい!」
誰であろう、イアさんだ。ちょっとでも集中を切らすと死なない程度の痛みが飛んでくる。あれだ。座禅の時坊さんが持っているあの木の棒で肩を殴ってくる。ちなみにその後治癒魔法みたいな物をかけるので、アフターケアも万全だ。
イアさんのスパルタのおかげで、二十分程経ったら完全に並列思考ができていた。なんか想像してた能力と明らかに違うやつ手に入れてしまったのだが……。
それにしてもこの感覚は面白いな。中の何かもドンドン早く回していけるし。
俺は調子に乗って魔循環の速度を際限なく速くして行った。次第に時間が早く過ぎていく。後で考えると、これは集中して何かをすると時間が早く過ぎていくってやつなんだろう。前はあんなに待ち遠しかった一秒がどんどん過ぎていく。
そして、瞬間、急に体内の力が歪に歪んで、
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「……まさか初めてで魔力暴走を起こすなんて想像しなかったわ」
少しイアさんに説教された。話によると、俺は体内の魔力を自力で制御できる限界を超えて循環させていたらしい。そして臨界点を超え、爆発。イアさんが魔力を相殺してくれたからいいものの、しなければ俺は疎かこの銀河ごと消滅の危機にあったそうだ。まあそれでもイアさんの魔力総量の一欠片も十分に制御できていないらしい。(今の俺は界渡りと器合わせのお陰で魔力総量だけでいえばイアさんと同量だ)本気を出したらイアさんはこの宇宙ぐらい木っ端微塵にできそうだ。本当にこの人一体何人なんだ、こんなわけわかめなインフレキャラがあと六人いるなんて……この世界には某龍球のスーパー野菜人みたいな人がうじゃうじゃいるんじゃないか……。
ちなみにイアさんは魔力を常に臨界状態に持っていくことで魔法や魔術の威力を上げているそうだ。要は常時暴走を制御しているってことか。この方法はイアちゃんピッチピチの十歳の時にマスターしたらしい。まさに末恐ろしい子だったってわけか……。
魔循環をしていた時間はかなり長かったはずだが、体感としては臨界状態のせいもあって想像していたよりはマシだった。
そしてこの後も地獄の修行は続いた。
まず常時身体を壊して瞬時に超回復する魔法(材料は炭素とかを少し揃えたらあとは自分の体でいいらしい。余計なところに筋肉が付かない様に配慮されているイアさんのこだわりの逸品)をかけられ、その状態で完全記憶と理解に無理を言わせて勉強もした。……しかも五時間も。(引き伸ばしているので三十年になっています)二億年の叡智が詰まった内容だったし教え方上手かったので面白かったが、かけられてる魔法で相殺された。二日やれば慣れるとか言われたけど……文字通り死ぬ気で殺れば。
その後は武術をやった。勿論魔法はかけたまま。それでも界渡りよりは楽だと自分に言い聞かせて頑張った。
……武術の指導も頭がおかしかったよ。五時間(俺の身体のスペックの限界まで引き伸ばして四十年になりました)延々と色んな武器の扱いについて学んだ。それにしても何だよ、最後の方にやった時を短い間だが遡れる相手との戦い方って。勝負が始まったらすぐに全方位に警戒をして迎撃って感じだったけどな……。
唯一の救いは食事だ。美味い。とにかく美味い。しかも昔日本人でも召喚とかされたのか、醤油とか味噌とかマヨネーズまである。
――その後こんな物がどうしてあるのかイアさんに聞いたら、普通にとある時代の文明で作られてたらしいよ。確かに日本とか中国より余程歴史がある訳だし、その程度作られてても不思議では無いよね。マヨネーズなんか異世界転生ではよく主人公が作って周りが大騒ぎして内政チート、なんてパターンが多いけど、意外と作るのは簡単だからなあ。それこそ史実であったソースを作った誰かさんの話の様にたまたま偶然出来てもおかしくはないだろう――
なんか不思議だな……。今の日本より文明が進んでいる異世界か。どうやら内政チートはできそうにもないようだ。する気も無いけどね。
そんな感じで異世界修行一日目は終わった。最後にイアさんに、
「今のあなたはその才能を真に開花してないわね。多分界渡りをしたら開花するんでしょうけど……。その時は覚悟しておいてね? 自分の全てと向き合わなければいけないし、何も知ってる自分だけが自分自身の全てでは無いからね?」
と言われた。確かに自分も知らない自分なんてものもよく聞くし、実は少し楽しみでさえある。自分のことを一番知っているのはなにも自分自身である訳では無いしな。
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寝室の窓を見た。某社の林檎のように欠けた部分がある月を見る。意識して理解していなかったからわからなかったが、この欠けた部分は月で決戦をしていた勇者が魔王を道連れに放った魔法の跡らしい。空気とか気圧の問題は大体魔法と勇者クオリティでなんとかなるとか……この世界の基準がわからなくなってきた。授業で学んだ歴史によると、この星星外生命体の侵略にあったこともあるんだぜ?幸いその時の文明が地球より数十世紀進んでるような超文明だったから迎え撃って全部撃破できたらしいけどさ。そんな文明が何故滅んだかというと、なんか魔法やら何やらが暴走して荒廃してしまったそうだ。でもそれも今は昔。一億千万年程前のことだ。今の文明レベルは地球でいうと中世位らしいが。まあイアさんだけなら魔法で全部どうとでもなるし、死ぬことはないから文明の産物なんか少ししか使ってないらしいが。
まあなんとでもなるさと無理に気を引き締めて、その日は眠りについた。ムラムラ?生理現象?ナニソレオイシイノー(棒)……こんな体なんだから出来るわけないだろ……。俺はロリコンじゃないんだああぁぁぁぁ!ただ少し性欲が強くてストライクゾーンが広いだけなんだああぁぁぁぁ……(涙)
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思い出せ……全てを。
思い出せ……自分の全ての過ち、心の深淵を。
全てはお前次第。知っているか?お前は俺自身であり、俺はお前でもあるんだ。なにもお前だけが全てじゃないんだ……。
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二日目終了時の主人公のステータス
【NAME 無し(東野 真) 3(16)歳(推定) 女 聖人(適正) 精神生命体
適正属性 毒 水 氷 火 風 土 電 闇 聖 無 増 止 反 空間 時
HP 1566769/1566769 ERROR
MP 理解不能 ERROR
ATK 15732 ERROR
DEF 26088 ERROR
MATK 470391 ERROR
MDEF 37024 ERROR
能力及び技能
《完全記憶》《思考加速》《肉体変化》《不死》《不撓不屈》《ポーカーフェイス》《整理》《理解》《武術全般》《歴史把握》《魔力暴走》《数式把握》
祝福及び加護
《気まぐれな神の加護》《転移者》《界渡り》《傍観者》
状態
《言語理解》
注意
HPの欄が測定不能に近づいています。測定不能まであと三桁】
【ERROR
急激に測定値が増加したりすると、素質値の誤差が極めて大きくなってしまいます。そのため、測定値が急激に増加した場合このような表示になる場合があります。】
おまけ(大したことはない)
素質値について
素質値とはその人間が一生を訓練に費やした場合このくらいの強さになる、という強さの指針である。基本寿命を五十年、訓練期間を四十年とするのでかなり大雑把であり、あまり意味はなかったりする。
真の容姿
本人は自分のことをかわいいとか思っていなかったりするが、ただでさえ周囲から男女問わず告白されるようなかわいい容姿をさらにかわいくした感じ。本人が思っている数万倍はかわいい。金髪碧眼美幼女と考えていただければ。
ステータスの調整はかなり難しそうですね。
活動報告に大したことではないのですが少し注意が書いてあります。ちらっと見て鼻で笑ってください。
なんてったって第一案ではマコトはリーマンで今頃ダンジョンにいたはずだったのですから。
もしかしたら本編から分離してイアさんと六人の物語やるかもしれないです




