真 6 弟子入り
累計60ptに達しました。これからも精進していきます。
今回は短めです。それと、6000PVは見間違いでした。ホッとしました。
…思っていた以上に重い話だった。それこそ、俺が女もとい幼女になってしまったことなんか大した問題でもない位に霞むぐらい。まあ、それとこれとは別だけどね。
少し考えると、俺はおもむろにイアさんをじっと見た。長い黒髪は丁寧に手入れが行き届いているようで、見ただけでもサラサラだとわかる。本人の顔は、和風美人とかいうのか、クール系とかいうのか。とにかく美人なことに変わりはない。服は、明らかに寝るのを邪魔されたとか、家の時間を邪魔されたという感じの、日本で似てるものを挙げれば浴衣とかのようなシンプルな恰好だが、恰好が恰好であれば妖艶な気配さえ出してしまいそうだ。
…この人が話の通り長い時を生きてそれに伴う地獄を経験してきたとはとても思えない。しかし、今はこの人以外にこの世界で頼れる人もいないわけだし…何しろ最後はこの人を殺さなければならないと考えると、この提案にも抵抗を感じる。少し念押しもかねて質問してみよう。
「本当にどんな自然環境でも死ねなかったりするんですか?」
「目につくものは大体試したけど、無理だったわ。一人ぐらい7人の中で例外があっても不思議じゃないとは思ったけど、全員肉体を極限まで鍛えていたから…だから考えたのよ。私たち7人が弟子をとって師匠になって、弟子を私達よりも強くすればいいと!」
一応理屈的にはあっているが、腑に落ちないな。大体、
「話を聞いていたら、少なくとも1億数千万年は生きている気がするんですけど、そんな人たちのことを俺は越せるんですか?」
「その点は心配しないで。何せ私達にはいなかった強さの『経験者』がいるのだから。その気になれば、数万…とはいかないかもしれないけど、数千分の一位には効率化できると思うわ。」
それはすごいな。数千分の一か。この世界で生き抜く強さとかは案外早くに身に付きそうだ。もしかしたら、イアさんたちを殺すのに数万年かかるかもしれないけど、長いものに巻かれる選択肢でこれ以上のものは恐らくないと断言できる。
こうなるときになるのが、制限とかだ。殺せなかったり、道半ばで死んでしまったら、魂をもらうとか…いや、流石にそれはないと信じたいが、それでもここは慎重に質問をして確認していこう。
「ペナルティーとか、制限とかはありますか?」
「とくにはないわ。行動の決定権も、大事なもの以外はあなたに委ねるわ。」
かなり自由だ。それに、自由意志も持てるという。ここまで来たら、疑問はほぼない。何か心の奥に引っかかるような違和感がある気がするが……こんなところでフラグを立てても仕方がないだろう。
…うん、迷ってもしょうがない!
「弟子入りしてよろしいでしょうか?」
「もちろん!」
こうして、俺とイアさんの師弟関係は始まりを告げた。
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…今思えば、当時は少しこの世界のことを甘い目で見ていたのかもしれない。
押しつぶされるような現実、消えてしまいたくなるような喪失感。
大事な人を殺すこと、失うこと。
…俺はこの時点で既に………
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