表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真実  作者: きよみ
2/11

葵の恋

「私、葵君の事が好き。」

 幼稚園児の時に、ある女の子にそういわれたことを葵は今でも忘れない。そう声をかけてもらえた事への優越感でその幼少期から変な自信が生まれてしまったのかもしれない。しかし、当然のごとく、当時はそのその好きって言葉の意味、思いはよくわからなかった。そんな葵の初めての恋は小学生の時で、隣に座った女の子。その子と手紙交換した事はいい思い出。葵は小学生の時から盛んな男の子で、女の子によくちょっかいをかけていては先生に怒られていた。そんな葵も中学生になり、中学3年の時に優子に恋をした。優子の事が好きで好きで感情を抑えきれずに告白もした。葵にとって人生で一番の大恋愛だと当時は考えていた。卒業式の前日の朝に河原でお喋りをして一緒に登校もした。メールでやり取りもした。しかし、優子との恋は実る事はなかった。優子のためならなんでもする。なんでもしたい。そう葵は思っていた。しかし、気持ちを伝えても伝えても、いい返事が返ってくる事は一度も無かった。葵の中で、告白をすれば相手が振り向いてくれる。相手も自分の事が好きなんだと、どこか年少期の時から根拠のない自信があり、そして恋を履き違えていた。相手の事を好きになること。それこそが恋で、いわゆる自分の欲を満たすため、自分の心の抱擁のために恋があるのだと葵は感じていた。だから相手の気持ちや心境などを考えずになんども告白をしようと考える。そして失敗を繰り返す。

 そして葵は、中学を卒業後、地方の高校へ通う事になった。通学は片道1時間の電車通学。葵は中学からスポーツ万能で、高校でもスポーツをと考え、空手を始めた。高校三年間は空手に打ち込んだ。学校生活は部活動で埋まり、私生活で友達と遊んだりすることもほとんどなかった。もちろん彼女も引退するまではできなかった。高校3年の7月、最後の試合に負け高校の部活動を引退。そして引退後に真友里と出会う。スタイルが良くて、おてんばな女の子で、葵は真友里に恋をした。一緒に登下校やダブルデート、服を買いに行ったり、高校生活最後の期を楽しんでいた。しかし、真友里はそうではなかった。真友里は葵の容姿や背格好の外見だけを見て自分の思い描いていた印象だけで葵と付き合っていた。そして真友里の理想像と葵はかけ離れていたのかもしれない。付き合って1か月で別れた。葵は振られた。葵はひどく落ち込みそして思った。恋ってなに?好きってなに?結局、恋っていうのは、どれも独りよがりなもの?自分が好きで、相手の気持ちは考えずに自分の一方通行が恋で、そしてすぐ終わってしまうものなのか?そんなちっぽけなものが恋なのかと、深く考えていた。葵は恋というものがよくわからなくなっていた。人を一方的に好きになることだけが恋だと考え、恋をされる喜びと恋に対しての明確な答えがよくわからないまま、高校を卒業し、月日は流れて大学4年の就職活動を迎え、恵実と出会った。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ