私の部屋から見える景色
台風が過ぎ去った夜。
雲の無い空。
そんな右手に月と星が数個、見える。
それはスポットライトの様に御近所の屋根を照らす。
誰も立たない、立てないステージ。
見るところが変われば恐らく照らす場所も変わるだろう。
私も視点を早く変えられる様になりたい。
昔、祖父に星が見えない。でも反対側の窓からは見える理由を訪ねた事があった。
月の光が強すぎるからだよ。北の空から全ての光を遮って見ればもっと多くの星が見えるよ。
そう、教わった。
その日僕は小熊座を見つけた。
この窓から見える風景には沢山の思い出がある。
友人達と駆け回った道、小学生の頃通った書道教室、たくさん捕まえたコオロギや、スズムシの鳴らす音。
よく転んだな、良く怒られたな、良く笑ったな。
あの頃の様に戻れるように、また、頑張ろう。
この窓から見える風景を見て、そう、思った。