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それは目覚める
面人形は笑い、弾け、その褐色の鉄拳を振り下ろしながら阿修羅は、黒夜瞳どころかもう二人も巻き込まんばかりだ。俺は不意なことにどうする術もなく、振り向いた状態で鉄拳を見上げていた。稗畑先輩は硬化した携帯電話を投げ捨て、胸元の赤いリボンをつかんで高速跳躍を図るも、阿修羅の鉄拳の方が早い。
終わった。今度こそ終わった。人肉が飛び散り、骨格が表面に浮き出て、辺り一帯が血なまぐさくなることが容易に想像できる。
阿修羅の鉄拳が止まった。それどころか、拳の先からまるで土のようになっていっていた。
は?
予想外の状況に思いがけず間の抜けた声が出てしまった。
俺の目に映っていたのは土化していく阿修羅の腕と、白いワンピースを着て子供のような細い腕で阿修羅の鉄拳を受け止める黒夜瞳だった。黒夜瞳は阿修羅をつまらなそうに見上げてさえいる。
そして阿修羅の体は木端微塵に吹き飛んだ。吹き飛んだ破片はすぐに砂のように原型を崩壊させていく。残った阿修羅の下半身も大量の砂を発生させて崩壊した。
黒夜瞳は砂の雨の中振り向いて俺のもとに歩み寄る。
「ほう、お前のような出来損ないの為にまたこの世に戻って来られようとは、我も安くなったのう」




