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REVIVAL  作者: 三角の月
序章 超能力保護区
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街には妹に起こされる男がいる

「お兄いぃぃぃちゃぁぁぁぁんんんん、あっさだよおおぉぉぉぉ!!」


 絢爛豪華にドアが開かれる。ドア枠の向こうに立っているのは、長い黒髪を頭の上で結わえた女の子。そして、六畳の部屋の中の窓の下のベッドでだらしない格好で寝ている男は、その兄と言うわけだ。


「んあ?後五分……」

「おっきないとぉぉぉぉぉ!!!!ドロップキックだぁぁぁぁ!!」


「ちょっと待て、それっ……ゴハッ!!」


 妹の脅迫に体を起こそうとした俺に妹は、ドア枠から姿を消し、ベットから2メートルの高さからのドロップキックを叩き込んだ。ちなみに、高さ2メートルからの位置エネルギーは、妹の体重を40キログラムと仮定すると、2(m)×9.8(a)×40(kg)=784(j)より、784ジュールある。質量を携帯電話の重さ200グラムに変換すると、784(j)=400(m)×9.8(a)×0.2(kg)となる。したがって、妹が俺に叩き込んだ打撃は、携帯電話を400メートル頭上から落としたときと同じエネルギーをもっていたことになる。10メートル頭上から携帯電話を頭に落とすと、頭蓋骨は陥没する。その40倍ものエネルギーが俺の体に叩き込まれたのだ。


「う、う、う、うぅぅぅぅぅ」

「だっいじょうぶ?」


 痛いは痛いが、内臓は破裂していないようだ。激痛とまでも行かない。物体が物体にぶつかったとき、それぞれ物体のエネルギーの相殺が起こる。その相殺されたエネルギーの分が、力や圧力へと変換されるのだが、その場合、力や圧力に影響を与えるのはエネルギーだけではない。それぞれの弾性力や強度、空気圧、摩擦力、磁力などさまざまな要素がある。俺の体はそこらへんの運が良かったようだ。別に太っていると言う意味ではない。


「お前なぁ……、内臓が破裂したらどうしてくれる!」

「大丈夫でしょ。破裂しても」

「大丈夫なもんか。俺の力は、無敵の力じゃない」


「はぁい、はい。いいからご飯だよ」


 俺の主張を軽く流して、妹はドア枠から姿を消した。きっと下に行ったのだろう。能力は多用しないようにいつも言っているが、馬の耳に念仏というやつか。


 梅雨も明けようかという夏休み初日、元気いっぱい生活習慣ばっちりの妹に起こされた俺こと、猪苗代いなわしろ和哉かずやの朝は始まった。

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