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エピローグ
昔々、神様はたった一人で世界を見守っていました。
しかし、世界はたった一人で見守るには広すぎたのです。
そこで、神様は一〇四の存在を生み出しました。
その存在はかつて、この世界を生きていました。
しかし、その記憶は世界を平等に見守るには妨げになるだろうと神様は考え、名前と共に記憶を奪い、隠したのです。
彼らを二つで一つとし、一つの名前を与えることで、彼らの存在を縛りました。
そして、神様は五十二組となった彼らに様々な枷を嵌め、自分の切り札として世界中にばらまきました。
彼らは神様の切り札 (trump)、神様のための徒歩旅行者 (tramp)、『トランプ』として世界を歩き回って見守るようになったのです。
これは、一つのトランプの片割れが、自分の名前と記憶を求めた物語。
最期にファテという名のトランプは何を思ったのか、それは彼らにしか知り得ない。
神様にすら、知る術はありません。
けれども、一つ欠けてしまったトランプを、何事も無かったように補い、神様は今日も変わらず、世界を見守るのです。