木枯らしパラパラ葉が当たる
『なろラジ7』参加作品
お題「木枯らし」
木枯らしは意地悪だ。
冷たい強風は私の頬と鼻を赤く染めて、ただでさえ向きたくない前を向きにくくする。
仕事でうまくいかないことがあった。
木枯らしは弄ぶように髪をがしゃりと掴み取っては放り投げる。メデューサもビックリのうねり髪。見た私が道端で固まった。
◇
「きゃー!」
「キャイキャイ!」
子どもが木の下で遊んでいた。木枯らしが吹き飛ばす葉っぱに大喜びな様子だ。
「良いなぁ子どもは無邪気で」
──ぴゅおお!
街路樹の葉っぱが勢いよく落ちてくる。肩や頭、腕などに、畳み掛けるようにパラパラ落ちてくる。
真顔で一言、
「秘技、葉っぱカッター……」
と、くだらないことを呟いたら、後ろに居た小学生と目が合った。気まずい。
「ちがうよ、ウィンドカッター! だよ」
訂正された。
なるほど、今どきは横文字のほうがオシャレらしい。
(いや、そんな話だった?)
ま。いっか。
私はコンビニに寄ってコーヒーを買った。屋内で外の様子を見る。木枯らしが遠くの街路樹の葉を引きちぎって撒き散らし遊んでいた。
ウンザリしたような掃除係のおじさん。ご苦労さまだ。あ、散歩中の犬の顔面にビニール袋が……。
「ふふ」
何だか、おかしかった。笑えた。外で居る時は絶望しか感じなかった風景。
(木枯らしでさえ、捉え方で景色になるんだね)
そんなことを思い、コーヒーを飲み干す。木枯らしが止むまで待とうと思ったけれど、何だか私も『景色に混ざって』みたくなった。
──ひゅおお!
木枯らしは「待ってました!」と言うように、私の髪をこねくり回して顔面に風をぶつけてきた。
望むところだ。家に着くまで、存分に遊んでやる。
帰ったら温かい風呂に入って寝よう。
……それなりに悩みがあった気がする。でも、どうだっていい。木枯らしが吹き飛ばしてくれたから。
たまには木枯らしも良いね。たまには、ね。
おしまい
超短編。とても難しかったです。
最後まで読んでくれてありがとうございます!




