表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
風を喰らう者  作者: 770
9/56

黒衣の来訪者

(^^)/

カイ「誰だ?」


宿屋の扉が勢いよく開き、三人は身構える。


DC「DC。あたしのコードネーム。本名は教えない。……スライムドラゴンと戦ったのって、君たちでしょ?」


DC「あれ、あたしの試作品なのよ」


3人「えぇ……」


リーディ「試作品!?」


DCはふふんと鼻を鳴らした。


DC「情報探知魔法を街中にばら撒いてたら、面白い戦闘データが引っかかったの。追跡したら、君たちだったってわけ」


エリシア「情報探知って、あれ……」


DC「盗聴? まぁ、言い方次第かな?」


悪びれる様子もないDC。

カイが目を細める。


カイ「それで……俺たちに何の用だ」


DC「興味があるの。“悪魔の部位”。ねえ、それって本物なんでしょ?」


カイ「……ああ」


DCの目が爛々と光る。


DC「やっぱり! 本物だと、こんなに波長が違うんだね」


DC「私はね、闇魔法の研究がしたいの。でも人間界じゃ限界がある。だから──」


DC「魔界に行く。同行させてもらう」


リーディ「勝手に決めるな!」


リーディ「なんであの子、あんなに偉そうなの!? ていうか、何者!?」


DC「聞こえているぞ、子犬」


リーディ「子犬じゃないよ! 狼だよ!」


宿屋の空気はすっかり混沌。

そんな中、DCがコトリと封筒をテーブルに置いた。


DC「はい、次の依頼。受けておいた」


リーディ「勝手に!? 内容は……」


エリシアが手に取って中を確認する。


エリシア「E級クエスト、“墓地の様子を調査”。簡単そうね……」


DC「うんうん。簡単簡単、ふっつうの依頼よ~」


DCはなぜか笑いをこらえている。


そして次の日、郊外の古墓地へと向かう四人。


……1時間後。

カイ「ぜぇっ、はぁっ……なんだよこれぇ!!」


エリシア「完全に、アンデッドの巣じゃない……!」


墓地の中には、腐乱したアンデッドの群れ。しかも硬い、強い、数が多い。


カイ「おいDC! これはE級じゃないぞ!!」


DC「気づいた? まぁ……B級だけど、いい練習になったでしょ?」


カイ「てめぇぇぇ!!」


DC「だって、力を試すって言ってたじゃない? さ、もう一息!」


DCはほぼ戦っていない。

戦場の隅で魔法式の観察や、戦闘記録の筆記に没頭していた。


そして──


エリシア「クリア、かな……」


全身ボロボロになりながらも、なんとか討伐を終えた三人。


カイ「あとは報告だけか……」


宿へ戻る帰り道。


──ガサガサッ!


リーディ「スライムドラゴンだぁぁぁ!!」


見覚えのある、紫に濁ったスライム状の竜型。

森から飛び出してくると、こちらに突っ込んできた。


カイ「ちょっと、また出たのかよ!!」


DCが一歩前に出る。


DC「……ああもう、私はもうここには戻らないし。片づけるか」


そして、詠唱もなく指を鳴らす。


DC「《ファル=イルゼ=エル》」


雷と炎が同時に空気を裂く。

スライムドラゴンは悲鳴すら上げず、その場で燃え尽きた。


エリシア「え……?」


リーディ「あっさり……?」


カイ・エリシア・リーディは目を丸くする。


DCは髪を払いながら背を向けた。


DC「さ、行くわよ。帰って報告しないと」


リーディ「DCには……逆らわないでおこう……」


数日後、ギルドカウンターにて

受付嬢「クエスト完了報告ね。えーと、代表者名は……あら?」


受付嬢が、DCの書類を見て笑顔で言う。


受付嬢「ヒマワリ・ダークチャームさんですね!討伐ありがとうございます!」


DC「言うなあああああああ!!」


DCが顔を真っ赤にして封筒を奪う。


DC「だからDCって言ってるでしょ!? その名前は禁止!」


受付嬢「え~、かわいいのに」


DC「死ぬほど嫌なの! 二度と言うな! ぜったい!」


カイたちは顔を見合わせ、そして思った。


──この旅、ますますカオスになる予感しかしない。


(^^)/

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ