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風を喰らう者  作者: 770
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ギルドの扉、そして《彼女》は現れる

(^^)/

森の奥で遭遇した“それ”は、明らかに異常だった。

粘液でできた不定形の体。竜のように長くうねる尾と、角のような突起。

だが、全身がスライムのようにぬらついており、見たこともない奇怪な生物だった。


カイ「くそっ……なんなんだあの化け物!」


リーディ「スライム? ……じゃないよな、あれ!? ドラゴンの形してたってば!」


エリシア「ひとまず逃げましょう! 今の私たちじゃ勝てない!」


三人は命からがら逃走し、ボロボロの姿で数日後、ようやく大都市《ベル=ゼスタ》へとたどり着いた。


 



 


都市の門をくぐった瞬間、衛兵が眉をひそめて近づいてくる。


衛兵「おい、そこの三人。……ずいぶんとひどい有様だが、魔物にでも?」


カイ「ああ……いや、なんだかわからねぇ。スライムみたいな……けど、ドラゴンの形してた」


衛兵「……は? そんな魔物、聞いたことがねえがな」


衛兵は訝しげに見送ると、それ以上は詮索してこなかった。

三人は真っ先にギルドへと向かう。


 


◆ギルド本部・ベル=ゼスタ支部


古びた石造りの建物。だが中は活気に満ちていた。

受付の女性に声をかけ、事情を話すと、二階の会議室へと通される。


ギルド職員「なるほど、魔界へ向かうために、魔導士を仲間に……ですか」


カイ「そうだ。戦力は俺と、剣も魔法も多少できるエリシア。それと、サバイバルに強い獣人のリーディ」


リーディ「どうも~!」


ギルド職員「……えっと、目的が“魔界への突入”と“悪魔の部位集め”?」


カイ「……ああ」


ギルド職員「…………」


しばらく沈黙の後、職員は机を叩き、立ち上がった。


ギルド職員「ご協力いただける方を募ってみます。……ただし、保証はできません」


その日の夜、ギルドの掲示板に、彼らの依頼が張り出された。

“熟練の魔導士を求む。危険な旅。報酬交渉可能”――

だが翌朝。


 


ギルド職員「……すみません、誰も名乗り出ませんでした」


エリシア「そりゃそうよ……魔界に行くなんて、正気の沙汰じゃないもの」


リーディ「うぅ~ん、やっぱり魔導士って怖がりなんだなあ~」


カイ「……そうか」


言葉少なに、三人はその日、宿屋へ戻った。

部屋に入った瞬間、沈黙が満ちる。


カイ「魔界だなんて無謀すぎる、って……やっぱり思われたんだな」


エリシア「あなたは、間違ってないわ」


カイ「でも俺は……全部、終わらせるって決めた。逃げるつもりはない」


リーディ「じゃあ、まだ旅は終わってないんだね!」


ふっと微笑んだその時だった。

コン、コンと宿のドアをノックする音が響く。


カイ「誰だ?」


慎重にドアを開けると、そこに立っていたのは――


???「……ふぅん。あんたたちが、魔界に行きたいっていう変わり者?」


紫がかった黒髪。片脚を機械のような義足に変えた、ローブ姿の少女。

その顔には確信と嘲笑が浮かんでいた。


???「あたしの名前は【DC】。」


カイ「……なんで、ここが?」


DC「ギルドの掲示見たわ。あれ、あたしへの挑戦状か何かかと思ったのよ」


その口元には、不敵な笑み。


DC「面白そうじゃない。あんたたちの“無謀”、乗ってあげようか?」





(^^)/

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