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風を喰らう者  作者: 770
7/56

森を知る者

(^^)/

「エリシア、今夜は何を食う?」


「……期待しないで」


「おう、任せろっ!」


満月に照らされた森の奥。

カイたちは大都市ベル=ゼスタへと向かう山道を歩んでいた。地図上では一本道だが、実際には獣道に近く、野営が必要な旅だった。


「もう歩き疲れたよ……ねぇ、休もう?」


エリシアがため息をつくと、リーディがにんまり笑って言った。


「じゃあ、オレがサバイバルってやつ見せてあげるね!」


ぴょんっと飛び跳ねたリーディは、森の中へと駆け込んでいく。


「お、おい! どこ行くんだアイツ!」



――30分後。


「ふっふっふ! 見よ、この完璧な仮眠所っ!」


リーディはどや顔で、土魔法で作った半ドーム状の寝床を指差した。枝と葉で覆われ、内側はふかふかの苔。風よけにもなり、保温性も高い。


「……すごいじゃない」


エリシアが素直に感心すると、リーディは尻尾を得意げに振った。


「しかも! はい、これ!」


差し出されたのは、赤紫の木の実と、大きめのキノコ。すでに毒味済みらしく、リーディは実をひとつ口に放り込んで言う。


「うまいよこれ。ちょっとすっぱいけど」


「……おまえ、見かけによらず役に立つな」


カイも一口食べてみて、思わず唸った。


「うん。悪くない」


「むふふ、もっと褒めていいよ~?」


その夜、三人はリーディのサバイバル術に助けられながら、静かに焚き火を囲んだ。


炎が揺れる中、ふとカイがつぶやく。


「……俺たち、どうなるんだろうな」


「魔界へ行くってことだけでも、正気じゃない選択よ」


エリシアの言葉に、カイは羽根を持つ背中に目をやる。


「だけど、この力がある限り、追われ続ける。なら――全部集めて、全部終わらせる」


「オレは面白そうだからついてくよ! 魔界とか、なんかワクワクするし!」


リーディが無邪気に笑う。それを見て、カイもエリシアも小さく笑い返した。


……だが、平穏は長くは続かない。


森の奥で、何かが“ずるり”と音を立てた。


「……今の、何の音?」


エリシアが眉をひそめた瞬間だった。


草をかき分けて現れたのは――

スライム状の、ドロドロとした竜のようなシルエット。


目はなく、代わりに粘液の表面に無数の気泡が浮かんでいる。体の中心には、紅く脈打つ“核”があった。


「な、なんだよアイツ!?」


「まさか……魔物!?」


リーディが怯えた声を上げ、カイは咄嗟に武器を構える。


「来るぞ!」


咆哮のような音が響き、スライムドラゴンが一行へと襲いかかってきた――!

(^^)/

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