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七年後──風のように
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カイ・セリオスは、17歳になっていた。
村を失った彼とエリシアは、山を越えた辺境の集落で慎ましく暮らしている。昼は農夫、時に冒険者として簡単な依頼をこなし、日銭を稼ぐ日々。
「……あー、腰が死ぬ……」
その日も木こり仕事を終え、疲れきった体を引きずって戻ってくると、小屋の前でエリシアが微笑んで迎えてくれた。
「おかえり、カイ。晩ごはんできてるよ」
「まじか……天使か?」
「違う。女神よ」
エリシアの冗談に苦笑しながら、二人で素朴な夕食を囲む。だが、平穏は長く続かない。
翌日、森の奥でカイは奇妙なものを見つける。──黒く乾いた羽根。それは、禍々しい気配を放っていた。
「……悪魔の、羽?」
売れば金になるかもしれない。そう思って拾った羽根だったが、エリシアはそれを見た瞬間、表情を曇らせた。
「カイ、それ……捨てて」
「え?」
「それは、悪魔の“部位”よ。関わったら、ただじゃ済まない……」
過去の悪夢が、二人の胸によみがえる。だがその夜、さらなる悪夢が始まった。
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