七星さんとジャンケン
「黒崎くん、私はパーを出す」
「くっ…まさかそうくるとは」
七星さんを信用するなら俺はチョキを出すべきだ。そうしたら勝てる。
し、しかし!本当に七星さんがパーを出すのか!?
出会ったばかりだった時の俺のパソコンを勝手に使ってオタ芸してた人だぞ!?
そこらの女子とは図太さが違う!
何やっても勝とうという意思が恐ろしいほど感じられる。
「くぅろぉさぁきくーん♡
どうしたん?チョキをだしなよっ!」
や、やばい!天使と呼ばれる可愛らしい七星さんの顔がっ!顔が悪魔に見える…
誰だよ七星さんを天使って呼んだやつ!(定期)
「あっ、黒崎くん。私が本当にパーを出すか疑ってる?」
「そりゃそうだよ」
「しょうがないわね」
七星さんは人差し指を立てる。
「私はルビィちゃんに誓ってジャンケンでチョキをだすわ」
!!!!ルビィちゃん……だと?
あの七星さんの神と言っては過言では無いルビィちゃんに誓うのか!?
勝ったぞ!この勝負!七星さんはルビィちゃんに対して嘘をつかない!
「心の準備が出来たよ。七星さん。」
「おっしゃ。望むところね」
「「最初はぐぅー!ジャンケン…ポン!」」
俺が出したのはチョキ。
七星さんが出したのは
グー
「よっしゃぁぁ!私の勝ち!アイアムウインナー!」
ウインナーじゃない。ウィナーだろ。
てか、そもそも
「はっはぁぁぁぁ!?ルビィちゃんに誓ってたんじゃないのかよ!」
「馬鹿なの?ルビィちゃんは寛大なの。私が嘘をついたくらいで私の命を奪うほどヤバいやつではないわ。あっ、私心は奪ったけどね?」
「やかましいわ」
「というか、私は黒崎くんとダンスを踊るのが最優先だし。2人で体育祭楽しみたいんだから。ルビィちゃんに嘘をつくなんて容易いことよ」
俺はどうやらちょろいらしい。
七星さんの『2人で』という言葉で七星さんとダンスしようと思えてしまったのだから。