5 ランチタイム
悪役令嬢や聖女が登場してくる話が大好きで、読んでいるうちに楽しくなって、自分でも書いてみたくなり挑戦しています。
1作目は異世界令嬢ものでしたが、2作目はSFものです。
でも、内容は舞台が変わっただけのような……感じかも?!
読んでいただけたらうれしいです。
どうぞよろしくお願いします。
警備局から礼と2人でバイクに乗って出る。
礼がタブレットを開き何やら操作し、母船のヴェスとも連絡を取っている。
「大丈夫そうね。音声やカメラの乗っ取りや新しいものが取り付けられた形跡はなし。配達用タブレットも異常なし。
ただ、質の良くない発信装置がバイク下に取り付けられてるそうよ。30分に1度、位置情報が発信されてるそう。これは無視していいから、このまま仕事に戻って!」
「人使いが荒い……。もう、昼なんだけど。まあ、この時間なら夜までには終わるかな」
「研究所でランチを食べられる場所があるわよ」
礼が配送ルートの組み直しを手早くしてくれる。
「最初に研究所へ届けて、昼食と休憩を取りなさい」
「へーい! れ……じゃない、主任はどこで降りる?」
「じゃあ、そこのカフェの前で!
そうそう、あなたが助けたお嬢様から夕食の招待が来ているわよ。後で、詳しいことを送るから!」
◇ ◇ ◇
最初に向かった大学に隣接している研究所の情報ライブラリーに依頼されていた本とデジタルチップ(中身は資料、動画データなど)を届け、政府により荷物を検査されたことを伝えて中身に異常がないか確認してもらう。特に異常はなく、後で何か不具合があったら、本社に連絡してもらえることになった。
「大変な目に合ったわね」と対応してくれた女性司書が同情してくれた。
「はい……、話が通じないとはこういうことか!と思いました」
アキラは口をとがらせてわざと怒っている顔をして見せた。
「あらあら、じゃあ、お詫びにランチおごっちゃおうかな!」
「えっ、うれしい!」
アキラが両手をグーにしてあごの下に当てるような仕草で返事する。
司書が、くっと目を閉じて噛みしめるように言う。
「……ちょっとアキラくん、かわいすぎるんだけど!」
司書と一緒にカフェテリアに向かう。
「わー、広々としていてきれいな所ですね!」
アキラは吹き抜けのガラスの天井を見上げながら言う。
「好き嫌いはない? 私と同じものでいいかな?」
「はい、好き嫌いはありません! おねーさんのおススメでお願いします!」
司書が歩き出しながら、またくっと目を閉じ「まじ良い子や!」とつぶやいているのに全く気が付かず、アキラはウキウキとあちこちを見回している。
司書のおねーさんのおかげで無事にランチ(しかもタダ)を済ませ、お礼を言って別れる。
「いやー、いい人だったな。しかし、オレのこと14歳くらいに思ってたって……。さすがに14じゃあバイク乗れないだろ?!」
年齢を聞かれたので17歳と答えたら、びっくりしていた司書の顔を思い出してクスリと笑う。
紅茶のボトルを買って、外へ出ると広い庭園になっていてあちこちにベンチが点在している。
建物のそばのベンチを選び、腰を下ろしてボトルを開けようとした時、声をかけられた。
「……君、もしかしてセレスシャル系人かい?」
読んで下さりありがとうございます。
次も頑張ります!