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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

女尊男卑☆おしゃれなJKだらけの相撲大会

作者: ヒロモト


2メートル200キロの裸に回しの男と、まるで日本人形の様な小柄な和服女子高生が土俵上で向かい合っている。


「メーンイベント!『全戦全勝対決』!はっけよいってカンジで!」


男。『武王』が横綱『なでしこ』の和服の帯を取りに行った。


『実況は私!放送部のミカリンでーす!おやや!武王!帯を……とれなーい!横綱の強烈な張り手ー!』


まるで音速の鉄球玉の様な強力な張り手だった。

武王は一瞬意識を失った。


(……格が違う)


これまで戦ってきたどのJKよりも強い。


(……これが『新人類』の頂点)


新人類。令和中期に世は『男の十倍の筋力を持つ女』である『新人類』で溢れた。

新人類は見た目はか弱い女だが、『腕力』でこれまでの男性社会をぶち壊した。

女尊男卑の元号『爆女(ばくじょ)』になってもう何十年か……全てのスポーツの頂点が女になり、相撲が国営エンターテイメントになって久しい。

武王は令和最後の年に生まれた角界最後の『男』の力士だった。


「……あわれ」


なでしこがそうつぶやくのが聴こえた。

確かにあわれだなと武王はほくそ笑む。

30にもなろう十両最下位の大男が連日JK達にボロボロにされ。今日もまた『最強の新人類』である横綱なでしこにボコボコにされている。

何本骨が折れたかなど数えていない。

心が折れなければ戦える。


「おっさん!私に勝ったんだから負けるなし!」


大関『パリピ山』の激が飛ぶ。パリピ山は見た目はギャルJKだが相撲を愛しているのを武王は知っている。

なでしこに負け、袖で泣いているのを見たこともある。

角界で唯一の武王の友人だ。

昨日の場所では長すぎるウィッグを踏んで転ばせてしまったのを武王はすまないと思っていた。


「んぐおおおおお!」


『おーっと!横綱が美脚をおっさんの脚にひっかけたぁ!』


まるで象の鼻が絡みついたかの様な絶望感。

引っ張られたからこかされると思い、すぐに足を引いたが、膝に激痛が走った。


(……膝を持っていかれた)


『カチャン』と言うティーカップを皿に置いた様な音がした。

武王の膝が壊れた音だ。


(……先輩。貴乃花先輩。稀勢の里先輩)


武王が心から尊敬する平成の『日本人男横綱』の事を考え、痛みに耐えた。


(先輩達ならこんな時も諦めない!)


「みじめみじめみじめ!」


耐える武王に苛ついたのかとうとうなでしこは『ディノ・クライシス』を使った。

ただの突進である。

だが、ただの突進があまりに強い。

『あんなのは恐竜に襲われるのと同じよ』とJK力士達が口々に言うのでその名が付いた。

武王は腹に衝撃が走ると同時に、足の裏の皮が破れて血が出ても構わず全力で踏ん張り、根性で土俵際で耐えた。


『マジでー!ディノクライシスを初めてたえたのはか弱い男だー!まさかまさかの『大相撲』になったぞー!』


「……あなた本当に男の人?」


ブ、オ、ウ!ブ、オ、ウ!ブ、オ、ウ!


観客からの大.武王コールが武王に最後の力を与えた。

大関パリピ山も泣きながら腕を上下に振りながらコールしてくれている。


「横綱ぁ!」


「嫌っ!」


武王はその太い太い腕でなでしこをお姫様抱っこの形で持ち上げ腹の上に乗せた。


「金星……ごっちゃんです!」


「キャアア!」


『土俵に叩きつけられる恐怖』でなでしこは生まれて初めて女性らしい悲鳴を上げた。

産声以上に大きな声を出したのはこれが最初で最後だろうと後に語っている。


「……あれ?」


武王は優しくゆっくりとなでしこを土俵の外に背中から置いた。


「……王子様?」


しばしの静寂の後。会場が歓声で『爆発』した。

そこにいる人間全員が血だらけの大男を称えた。

あまりの神々しさに手を合わせて祈っている者もいる。

ピンク色でラメ付きのデコ座布団が土俵に何枚も投げ込まれる。


『人類最強の横綱を破ったのわぁぁ!武王だあぁぁ!男が女に勝った!これって何十年ぶりぃ!?やべぇぇ!優勝おめでとー!ぶおおおお!』


『横綱』コール。

これはなでしこにではなく武王に向けられた物だと誰もが分かった。


「……」


どれだけ称えられても武王は力士らしく真顔で整然としていた。

四方に礼をして土俵を降りた。

花道で手のひらを自分に向けている者がいた。


「……おめでとう。おっさん」


武王は今日ぐらいはいいかと笑顔を見せ、パリピ山とハイタッチをした。




爆女○○年春場所。


千秋楽優勝決定戦。


なでしこ●×○武王


優勝……武王(30)(初)(ニ所ノ関部屋)









大相撲図鑑。


武王(本名。武田豊)は爆女○○年まで活躍した力士。

最高段位は東前頭十七番目。

爆女○○年春場所で横綱なでしこを倒して初優勝。

翌年『穏暮元年』。怪我を理由に引退。

現在はパスタ店『パスタ王』のオーナー兼シェフ。


配偶者あり……高野花(現.横綱パリピ山)








『ひがぁーしぃなーでしこ〜。にしーぃ。パリピ山ぁ』


『さぁ穏暮○年。春場所もいよいよ千秋楽。優勝決定戦。21才同い年。ベテラン横綱同士の戦いとなりました。元横綱……失礼。元十両武王を巡る因縁のある二人。どんな相撲を見せてくれるのでしょうか?』



「いい加減。私の王子様と別れてくれないかしら?」


「お前こそダーリンを諦めろっての!」


『見合って見合って!はっけよーい……』


独特の『国技』の空気感に会場が緊張に包まれる。




『のこったぁ!』










パリピ山?×?なでしこ


優勝……○○












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