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小人のペンデュラム

 小人

「魔女サマ!  お買い物きたヨ!」

 

 魔女

「はい、こんにちは。小人族の小さなお友達。何が欲しいの?」

 

 小人

「ボク、そろそろ南の国へ旅立つんだぁ。でもボク迷子にならないか心配で。ねぇ、魔女サマ。そういう道具はある?」


 魔女

「あるよ。色々あるけれど……キミは、首から下げれるやつが良さそうだね」


 小人

「ウン。ぼくいっつも手に持ってるの無くしちゃうんだァ……なんでだろう。あ、蜂さん! まってぇ」


 魔女

「……なんでだろうね。お財布置いてっちゃったよ。もぅ。所有物の位置に反応する機能もつけようね……。おいで、揺蕩う木霊達。汝に姿を与えよう、ハチドリ、彼の者を連れ戻しておくれ」


 小人

「ワーッ! あっ、帰ってきたぁ。 ボクったらごめんねっ。あ、魔女サマ見てみて。綺麗なお花見つけたんだ。これあげるね!」


 魔女

「んぅっ……かわい。ありがとうね。君のお守り、ペンデュラムにしようと思うんだ。尋ね石とも呼ばれていてね。行きたい所を石に伝えると応えてくれるよ。こういうの」


 小人

「ほえー。スゴいね。もしもしっ、石さんこんにちは」

 

 魔女

「石にも性格があって、キミとの相性があるから。石から選ぼう。生まれた月はわかる?」

 

 小人

「ボク、スミレの月だよ」

 

 魔女

「菫の月なら……ダイアモンド、タンザナイト、フローライトとかがいいかな。挨拶してごらん」

 

 小人

「ウン! こんにちは!  みんな綺麗だね。初めましてのギューっ……キミもぎゅーっ! ……わ、お返事あったよ。スゴいね」


 魔女

「もう、わかったの? すごいな……じゃぁそのフローライトで作ろうね」


 小人

「ウン!  よろしくね、ふろーらいと君。えへ。ぎゅぅ」


 魔女

「あと、落し物しないように。ちょっとワケありな子だから普段は使わないんだけど。クマのちいちゃんに手伝って貰おうと思ってて。この子」


 小人

「わ、わ、なんか変わったぬいぐるみさんだね。こんにちは、魔女サマのことがだいすき……なの、かな?? 魔女サマ、この子ケガしてるよ。チョットこわいな……」


 魔女

「んー。その、腕が取れかかってたり、この綿が飛び出たりしてるのは本人のこだわりみたいだから。怖がらないであげて」


 小人

「そっかァ。オシャレなんだねぇ。ごめんね、変だなんて言ってぇ」


 魔女

「えっと、それでね。絶対持ち主の所に帰る力があるの。この子から力を借りて君の持ち物が君の所に帰るようにお守り作ろうと思って。ちっちゃなクマさん」


 小人

「ちっちゃなクマさんが助けてくれるの?  わ、嬉しいな。ありがとう、ちぃチャン!  よろしくねの、ぎゅーーっ」


 魔女

「……怖いもの知らずだなぁ。良かったね、ちぃちゃん」


 小人

「あっ魔女サマ、お代、お代。宝石じゃなくて人間のお金で払うよ」


 魔女

「あぁ、それならえっと。570シルバーになります」


 小人

「えーと、570シルバーだから。これと、これ! はい、お願いします」


 魔女

「はい、頂戴しました。2週間あれば作り終わるよ。旅支度で忙しいだろうし、送ろうか? 」


 小人

「んーん。魔女サマにも「行ってきます」しに行きたいから、取りに来るよ!  じゃあ、またねぇ」

ちぃちゃん。

いくら捨てても帰ってくる、燃やしても燃え残る。大変根性のあるクマのぬいぐるみ。執着と呪詛にまみれたぬいぐるみ。

魔女が引き取り供養中。



菫の月は4月。

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