表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/20

妖精のドレス

妖精

「エメラルドの魔女、仕事の時間よ」


魔女

「今日はもう店終いだよ。青の君」


妖精

「……ちょっと寝坊しちゃったのよ。ワタシ貴女の素敵なお得意様なんでしょ、ちょっと優遇なさいよ」


魔女

「ふふ。いいよ。ドレスの新調かな。そろそろ百合の月だもんね」


妖精

「そう!そーなのよ!百合はブルーフェアリーの象徴(しょうちょう)、1番大きな夜会があるの。魔女、ワタシにみんなが驚くドレスを作りなさい!」


魔女

「妖精達の流行りは朝露(あさつゆ)のドレスじゃなかった? 私花を弄るのは得意だけど、あぁいうのはあまり得意じゃないよ」


妖精

「あら、ニンゲンの癖に耳がいいのね。でも、流行りということはみんな朝露(あさつゆ)のドレスを着るのよ。ワタシは同じはイヤなの、特別なのがいいわ! あと花のドレスはワタシのこだわりなの」


魔女

「そうは言っても、花のドレスってわりとありきたりなんじゃ……」


妖精

「そこを何とかしなさいな! エメラルドの魔女の名が(すた)るわよ。そうねぇ。例えば、パーティの最高潮で花開く月下美人のドレスとか素敵じゃない?」


魔女

「開いた花を保存することならできるけど、生きたまま使うなら無理があるよ……。作れないとは言わないけど、沢山魔法を縫い込まないといけないから、一年は欲しいなぁ」


妖精

「えっ、うそ! 作れるのね! じゃあ来年はそれを依頼するわ」


魔女

「あ。……ウソウソ!やっぱりできないかなぁ!ちょーっと厳しいものがあるよ!」


妖精

「アンタ……童話に名高いブルーフェアリーの前で良くもまぁ……。友達だろうと、嘘つきの鼻は伸ばすわよ」


魔女

「あはは……降参。嘘ついて悪かったよ。でも本当に大変なんだってぇ」


妖精

「ワタシいつも代金以上の希少素材を渡してると思うけど。いいのかしら、断っても。貴女、ユニコーンの角やら、薔薇水晶やら、虹の蝶やらの魔術素材……あぁ、どれも妖精の森にあるわね……? それを欲しがってなかった? 私の鱗粉も必要なのよね?」


魔女

「くっ……わかったよ。やるよぉ。でも、初めての試みだし、本業もあるし。長めに見積もって再来年にしよ」


妖精

「仕方ないわね。いいわよ、で、今年はどうするのよ」


魔女

「みんなが驚く花のドレスでしょう? そんなのあるかぁ?」


妖精

「被るのは絶対嫌よ! あっ。ねぇ魔女、開いた花は保存できるって言ってなかった?」


魔女

「うん? できるよ。ほら、キミに作ったドレスが萎れたことないでしょ? 妖精の仕立屋さんと違って、私はそういう魔法でも使わなきゃ作れないから……。? どうしたの、黙って」


妖精

「……す、捨てちゃったわ。その、知らなくて……ごめんなさい」


魔女

「えぇぇぇぇ!? あっ、いやっ、私も説明してなかった気がする。花のドレスは1日2日で枯れ萎むものだもんね」


妖精

「や、やけにお家に帰っても綺麗なままだとは思っていたのよ! でもそんな、考えないわよ! 花が萎れないなんて、可笑しいじゃない! できるとして、普通花にそんな事しないわよ」


魔女

「だって私魔女だもん! 魔法縫い付けるくらいするよ! 趣味で作ってたのを、たまたま君が気に入ってくれただけで、妖精の服の作り方なんか知らないもん! あ……やっぱり冒涜的だったかな!? ダメだった!? 怒られる??」


妖精

「……ワタシは大地のエレメントとは縁遠いから平気よ、気にしないわ。でも緑の妖精達は嫌な顔するでしょうから、あまり窓辺に飾るのは勧めないわ。それと、知らなかったとはいえ、今まで捨ててしまって悪かったわね」


魔女

「こちらこそ、教えてくれてありがとう。気をつけるよ。えっと、花を保存できることに何か気になったのかな」


妖精

「そう、えっと、夜に咲かない花があるのは知ってる?」


魔女

「あー、たんぽぽとか?」


妖精

「そう! だからワタシ、夏だしアサガオがいいわ。夜も花開いたままのアサガオのドレスなんて、誰も着たことないわよ! 驚くに決まってる! 空色のアサガオが良いわ。サファイアで飾ったらきっと素敵ね」


魔女

「アサガオかぁ、庭にあるけどまだ蕾だからな。間に合うかな」


妖精

「あら、ひと月もあるのよ。できるでしょ?」


魔女

「できないと言えない口が惜しい……! 承りました!」


妖精

「ふふふ。楽しみにしているわよ」

魔女流、花のドレス

道具:魔法刺繍針0.3mm

魔法刺繍用糸……銀雲蜘蛛の銀糸

コットンニードル(花弁用)


保護魔法を刺繍して補強した花に施してから縫い合わせる。


ドール用に作っていたものを気に入られてしまう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ