惚れ薬とあがり症
客
「すみません、魔女さんいますか」
魔女
「居ますよ。今日は何かお困りですか」
客
「えっと、その……ほ、惚れ薬が欲しいんです」
魔女
「惚れ薬ですね。それはご自分用ですか? それとも他害目的ですか?」
客
「えとえと、す、好きな人がいて。どうしても、僕のことも見て欲しくて」
魔女
「それは良いですね。では特定のお相手ということで、効力はどうしましょう」
客
「えっと……」
魔女
「こちらのお茶は一緒にいる間に好感を持ちやすくなる程度のものです。そして、シロップ薬は容量次第で相手をとてものめり込ませることが出来るものです。毒にもなり得ます」
客
「じゃあお茶にしようかな……僕緊張しいで、いつも全然話せないんだ。でもこれがあればきっと上手くいくよね」
魔女
「んー、そうですね。ではお相手の方のお好きなお茶とか分かりますか? 難しければ好まれる食べ物や、匂いなどなんでも良いのですか」
客
「えっと、よくケーキが好きで食べてるって言ってたかも。チーズケーキが好きだと言ってたかな」
魔女
「ふんふん、それならアッサムで作りましょう。次の弓張り月は、5日後ですね。では次の木曜日以降取りに来てください」
客
「あ、ありがとうございます! あの代金はおいくらですか」
魔女
「茶葉と人魚の涙、技術料諸々合わせて1500シルバーになります」
客
「あっ、たか……いえ、彼女のためなら、この程度の出費なんの。よろしくお願いします」
魔女
「あの、完成までお時間を頂戴しますので、代わりにこちらの匂い袋を差し上げます。緊張したら少し匂いをかいでみてください。そうそう。商品は受け取り前でしたらキャンセルも、できますからね」
客
「はっ、はいっありがとうございます。ではよろしくお願いします」
魔女
「はぁい、お待ちしてます。……彼に本当に必要なのは惚れ薬なんかじゃないんじゃないかなぁ」
惚れ薬:お茶
主な材料:人魚の涙1滴、好みの茶葉。
環境:弓張月の夜
作り方
容器に水(自然水が好ましい)を張り人魚の涙を垂らす。そこに茶葉をさらし、3日かけて乾燥させる。
応用
カモミールやラベンダーなどを合わせるとリラックス効果も合わさり、効力が増す。
紅蜂の女王蜂の毒を混ぜることで誘引効果を付けることも可能。
使い方
なるべく2人の空間で使うのが好ましい。
同じポット(または急須)で淹れたお茶を一緒に飲む
効果
好感を持ちやすい、何となく相手といて心地よい気がしてくる。