2 ちょうどいい服を買いに
あらすじ
「手伝ってほしいことって何なの?」
「よくぞ聞いてくれましたっ!あたしの目的は、この世界をモンスターも人間も仲良くできる、そんなセカイにすることなの!」
「モンスターも人間も仲良く?そんなことってあるの?」
あなたは聞く。
「あるに決まってるわ!現にあたしたち、何の問題もなく話せてるじゃない!」
やはりどや顔でカーリタスは言う。
神様はここに来るとき、できるだけ他の人に気づかれないようにと言っていた。ということはやはりこの世界においてもモンスターは人類と敵対関係にあるのだろうか。
「カーリタスちゃん、それは全員に言えることじゃないし、すっごく難しいと思うよ…」
「大丈夫!なんたって異世界からの人が来たんですもの。きっと順調に行くわ!」
プーカは心配そうな顔でカーリタスを見る。あなたまで心配になってきたが、彼女を手伝うことが唯一の帰れる手段だと知っていたあなたはあえて何も言わなかった。
「おっけー、じゃあその壮大な計画は何から始める?」
「わあ、手伝ってくれるの?ありがとー!」
カーリタスの声のトーンは嬉しそうなものになり、あなたに勢いよくだきつく。
「そうそう、まずは冒険者ギルドで冒険者証を取ってきてくれない?魔界にいたころ色々調べたけど、とてつもなく便利なものらしいの。」
「冒険者?ってことはモンスターも倒すんじゃない?」
「いや、わたしたちはモンスターを倒さない依頼をやるわ。たとえば薬草取りとかありそうじゃない?」
「その手があったか」
「でさでさ、あの村に冒険者ギルドはあるの?」
プーカは少し考えてから言う。
「あるよ、ちょっと小さいけど。」
「あるの?じゃあすぐ行きましょ!」
「待って、わたしとミライくんだけで行く。カーリタスちゃんが出てきたらみんなビックリするよ。それに、顔を隠せる帽子や服を買わないと。」
「ちぇー」
カーリタスは口をとがらせながらも、おとなしく水晶の中に戻っていった。
「というわけで行ってくるね」
「行ってらっしゃーい!きをつけてねー!」
数十分歩いた後、あなたはかやぶき屋根の多い村に到着する。一部レンガ造りのものもあったり、かかしがいるにもかかわらず荒らされている畑があったり、服売りがいたりした。
あなたはプーカと一緒に服を買うことにした。ひげをはやした(うさんくさそうな)中年の男性がじゅうたんを敷いてレアそうなものを並べていた。
「らっしゃいらっしゃい!おや、珍しい服を着てるお客さんだね!」
「この世界で一般的な服を4つ、それとフード付きのマントを1つください。」
「はいよ、じゃあ銀貨5枚ね!」
あなたはどういうわけか何円程度か理解できた。どれもだいたい一つ1000円くらいだろう。プーカはその商人に銀貨を5枚手渡した。
「もしよろしければ身を守れる籠手なんかもございますが、いかがなさいましょう?」
「おいくらですか?」
「両手で銀貨3枚だよ!」
「うーん、じゃあ2セットください」
「はいよ、じゃあ6枚!」
プーカは6枚銀貨を渡し、ちょうどあなたとカーリタスの腕にぴったりの籠手を受け取った。
「じゃあ、行きましょうか」
「ちょっと待ってください、今なら貴重な布を8割まけて金貨6枚で譲りますよ~」
「けっこうです」
プーカはすぐさま断り、あなたを(少し)引っ張って洞窟に戻っていった。(おそらく金貨1枚は6万円であるであろうことをあなたは理解した。)
「ただいまー」
水晶の中にいるままカーリタスが手を振る。
「おっかえりー!大丈夫だった?」
「うん、無事。そっちは?」
「見張りが来たけど全然気にしてなかったみたい。ちょっと寝てるふりしたらすぐ去ってったわ!」
「よかったー。とりあえず服買ってきたし、腕を通してみてくれない?」
「おっけー!」
カーリタスは手渡された服とフード付きマントに腕を通す。…少しぶかぶかだったようだ。いわゆるローブのように見える。
「これサイズあってなくない??ま、着られるからいいけど。どう?角とかちゃんと隠せてる?」
「違和感ないよ、普通の冒険者に見える。これなら村に出ても問題なさそうじゃない?」
プーカは答え、質素なリュックの中にカーリタスがたたんだドレスを入れる。
「あっまじで?じゃあ今度こそ村に行けるわね!早速行きましょ!」
とたんに足音が聞こえてきた。
「やべっ二人とも隠れて!」
カーリタスは急いで着替えなおし、水晶の中に戻る。あなたとプーカは岩かげに隠れた。
しばらくすると、足音のもとが姿を現した。
次回予告
[つぎにおこることメモ] 勇者、狩人、帝国の人々、怪物兵士、村の見張り、その他いろんな人たちがカーリタスを狙いに来る。
[つぎにおこることメモ_詳細] 怪物兵士か村の見張りが洞窟にやってくる。
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