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黄昏ランチタイム

作者: 水天宮七白

出産を終えた翌日の話。

私は入院しているお母さん達と一緒に夕食を食べた。

子供を産むと早食いになる、

などと談笑しながら先輩お母さん達といろんな話で盛り上がった。

私以外のお母さん達は3人目のお子さんを出産され、

退院と同時に3人の育児に追われるのだという。

初産の私は初めての夜を母子で迎えるにあたり、大変貴重な話題ばかりだった。

赤ちゃんの寝顔を横目に、夜間はトイレへ行くにも一苦労。

夜中に娘が泣いてしまって、他の部屋の子まで起こさないか心配だった。


退院前日の昼食。

赤ちゃんを看護師さんに預けて少し遅めに食堂へ向かうと、

他のお母さん達はほとんど食べ終わっていた。

私は食堂にポツンと1人。

明日からは自宅での育児が始まる。

ゆっくり昼食を食べることはしばらく無いかもしれない。

今まであった自由がほとんど無くなる。

そう考えながら食事を進めると、友人達の笑顔が頭に浮かんだ。

心臓を圧迫する程の不安に苛まれ、涙が頬を流れ落ちる。

ふと、もう会うことも無いかもしれない友人のことを思い出した。

最後に一言、ありがとうと伝える事ももう無いのだと思うと、

涙が止まらなくなった。


一通り涙が出尽くしたのか、落ち着きを取り戻し、タオルで涙を拭う。

不思議と覚悟が決まった気がした。

私ならできる。

お母さんになると決めたのだ。

遠くにいる友人にもいつか…

きっといつか家族を連れて会いに行ける日が来るかもしれないのだから。

家族で旅行を楽しめるその日まで。

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