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読み切り小説

魔王(童貞)ですが、様式美として勇者(かわいい)に「我の物になれ」と言ったら「わかった」と言われました……どうしたら良いですか?


_(┐「ε:)_

勢いで書いてしまった、ほんのりエロ風味SS。


読者様の暇つぶしにでも成れれば幸いです。

今後、連載にするかは未定です。

 常に雷が降り注ぐ魔境の奥地、強大な力を持つ魔王ゼノグラディスの居城、魔王城の中心にある広々とした謁見の間で2人は向き合っていた。

 魔王ゼノグラディスと勇者ティナリア。


 漆黒の髪と膨大な魔力を秘めた紫の瞳、魔王の証である2本の山羊の様な角を持つ男、ゼノグラディス。


 小柄な体に、聖なる力を宿した翠の瞳、僅かにエルフの血を引く故の少し尖った耳が覗くのは腰まで伸ばした色素の薄い髪。

 感情を伺わせないその相貌は儚げで、触れれば崩れてしまいそうな美少女、ティナリア。


 2人は雷鳴の伴奏の下、対峙していた、


「くっくっく、よくぞ此処までたどり着いた、褒めてやろう。勇者ティナリアよ!」

「………………魔王ゼノグラディス」

「どうした?恐ろしくて言葉も出んか?

 まぁ良い。此処まで辿り着いた褒美だ。

 貴様に選択肢をくれてやろう」

「…………選択肢?」

「ああ、この我の物になれ!

 そうすればこの世界の半分を貴様にくれてやろう」

「わかった」

「ふん、それが貴様の答えか。

 やはり我らは戦うしか………………え?」

「貴方の物になる」

「………………マジ?」





 魔王城の会議室。

 そこでゼノグラディスは腹心であり、この魔王国で宰相を務める竜人族の青年、レキウスの説教を身を小さくしながら聞いていた。


「それで、どうなさるおつもりですか!」

「………………どうしよう」

「そもそも、どうして『我の物になれ』なんて言ったんですか⁉︎」

「だって、だって、様式美って言うかさぁ。

 有るじゃん、そう言うの。

 我が『我の物になれ』って言ったら、勇者が『断る!』って言って『じゃあ戦うしかない!』ってなるのがお約束ってヤツじゃん!」

「では魔王様はこの展開は予想されていなかった、と?」

「当たり前じゃん!だれが勇者が人間を裏切るなんて予想できるって言うんだよ!」

「はぁ、兎に角!魔王様が言い出した事なんですから、魔王様はキチンと責任を持って最後まで勇者の面倒を見て下さいよ!」

「うぅ、わ、分かった」




 今後の相談と言う名のレキウスの説教が終わり、ゼノグラディスは私室へと戻って来た。


 マントを脱いで適当に机の上に放ると、ゼノグラディスはベッドに腰掛けた。


「はぁ〜、今後、勇者ティナリアをどうすれば良いんだ?」


 トントン

 ノックの音がゼノグラディスの私室の中に響いた。


(メイドが気を利かせて茶でも持って来たか?)

「開いている。入れ」


 しかし、入って来たのはゼノグラディスの予想を裏切る人物だった。


「ゼノグラディス」

「な、ゆ、勇者ティナリア!な、何故我の居場所が分かった⁉︎」

「通りすがりの魔物に聞いたら教えてくれた」

「ぐっ!我居城のセキュリティーはどうなっているのだ⁉︎」


 ティナリアはいつも通り、何処か眠たげな瞳でゼノグラディスの私室に足を踏み入れる。


「な、何をしに来たのだ、お前には自室を与えただろう…………はっ!まさか、我を暗殺する為に仲間になった振りを⁉︎」

「?」

「…………違うっぽいな」

「ん」


 ティナリアはコクリと小さく頷くと魔王の直ぐ隣に腰を下ろした。


「な!な、な、何故、わ、我の隣に座る⁉︎」

「ん?」


 ティナリアはゼノグラディスの反応に不思議そうな顔をしながら羽織っていたカーディガンを脱いで横に置いた。


「なななな何ををを?」


 困惑するゼノグラディスにティナリアは更に身を寄せ、肩と肩が触れる程の接近なゼノグラディスの体が固まる。


(なな何なのだ⁉︎何が起こっているのだ⁉︎勇者ティナリアは何を考えて……あ、良い匂いがする……我の油断を誘うつもりなのか⁉︎

 女の子の体って柔らか……いや、何を考えているのだ我は!警戒を……まつ毛長……違う、警戒……い、息遣いがぁぁあ!!!)

「ん」


 ティナリアはゆっくりとゼノグラディスの腕を取ると両手で抱き締める様に抱え込んだ。


(お、お、おおおおぱおぱおぱ、柔ら、おぱ、あたあたあたあたって!あたって!

 痛い!心臓が痛い!ヤバイ!何これ⁉︎呪いが何かなのか⁉︎

 お、おっぱい……少し小振りだが凄く柔らかぁぁあ)

「な、な、ゆ、勇者て、ティナリア⁉︎」

「なに?」

「い、いや、な、な、何って、なに?」

「?」


 ティナリアは不思議そうに小首を傾げる


(あ、かわいい。って違う!なんだ⁉︎何なのだ⁉︎この状況は⁉︎)


 ゼノグラディスが混乱していると、ようやくティナリアはゼノグラディスの腕を解放した。


(…………あ、ちょっと残念……いや⁉︎何を考えているのだ我は⁉︎)


 体が離れて、僅かに余裕を取り戻したゼノグラディスだが、その余裕は一瞬で打ち砕かれる事になる。

 ティナリアが着ていた薄水色のワンピースのボタンを上からはずし始めたのだ。


「ちょ⁉︎な、何をやっている!」

「え?服を脱ぐ」

「何故そうなる!」

「でも脱がないと出来ない」

「何が⁉︎」


 ティナリアは再び不思議そうに小首を傾げて言う。


「セッ⚪︎ス」

「ぶふぉう!!!」


 予想外の発言にゼノグラディスは吹き出してしまった。


「なななななにを言っているのだ⁉︎お前は!」

「ん?夫婦なら子作りするのは当然」

「ふ、夫婦?」

「ん、ゼノグラディス、我の物になれって言った。プロポーズ」

「プッ⁉︎」


 魔王ゼノグラディスは独身、彼女いない歴=年齢であり、当然女性経験など無い。

 童貞ながら自身の発言を省みてみると、確かに愛の告白と取れなくはないかな〜?っと少し思わなくも無い気がする。


「い、いやそのアレは言葉のアヤって言うか……」


 ゼノグラディスが誤解を解こうとすると、ティナリアがその眠たげな翠の瞳に悲しみを浮かべる。


「………………もしかして……私の勘違い?」

「あ、え、い、いや……」

「………………ごめん、私、早とちりで……」


 ティナリアの瞳から涙が零れ落ちる。


「ち、違う!か、勘違いなどでは無くて……その……わ、我は……」

(我はどうすれば良いのだ⁉︎お前の勘違いだと伝えて良いのか⁉︎

 だ、だがそんな事を言えばティナリアを傷付けてしまうのではないか⁉︎)

「我は……」

(ど、どうしよう⁉︎

 べ、別にティナリアの事を特段嫌っている訳ではないし……。

 か、かわいいし……例え魔族であってもか弱い者には手を出さない所とか尊敬しているし……)


 言葉が出てこないゼノグラディスにティナリアは不安そうな顔を向ける。


「わ、我は……………お、お前の事を好いている!あの言葉はプロポーズで相違ない!」

「……嬉しい」


 何とか絞り出したゼノグラディスの言葉に、ティナリアは今までの感情が読みづらかった表情が嘘の様な笑顔を浮かべた。


「ごはっ!」

(かわいいぃぃい!!!)


 ゼノグラディスに会心の一撃。


「はぁ、はぁ、はぁ。か、かつて、こんなにも消耗した事があっただろうか?」


 ティナリアの笑顔でゼノグラディスが衝撃を受けている隙に、ティナリアの手はワンピースのボタンを全てはずしてしまっていた。

 辛うじて服を支えていた肩紐が華奢な肩をスルリと滑り落ち、ティナリアの生まれたままの姿が露になる。

 下着は着けていなかった。


「なぁぁあ!!!」

「ん?」


 ゼノグラディスは慌てて自分の上着を脱ぐとティナリアに被せた。

 ブカブカの上着は小柄なティナリアが着るとまるでワンピースの様になる。


「な、何をするんだ!」

(み、み、見てしまったぁ!!!ぴ、ピンク……い、いかん!は、鼻血が……。

 はっ⁉︎と言うか、今の格好もなんだかこう、グッと来る物が…………)

「何って……ナニを……」

「ま、まてまて!!」

「ん?……あ、ゼノグラディスが脱がせたかった?」

「え?」


 ティナリアは少し頬を染め、モジモジと恥ずかしそうに声量を落して囁く。


「少し恥ずかしいけど……うん、良いよ。私、初めてだから……優しくしてね」

「ぶふぅ!」


 限界だった。

 ゼノグラディスの鼻の粘膜はよく頑張ったと言わざるを得ない。

 流石魔王である。

 しかし、吹き出した鼻血も直ぐに止まったが、心臓は痛い程の鼓動を刻んでいる。


「大丈夫?」

「だ、大丈夫だ」

(今のは不味かった!聖剣の一撃に匹敵する破壊力だ!世の夫婦とは、皆こんな試練を乗り越えて来たと言うのか⁉︎)

「じゃあ続きを……」

「待て!えっと……そう!今日は止めておこう!ティナリアも此処まで旅をして来て疲れているだろう!

 我はティナリアに無理をして欲しくはない!

 それに我もティナリアはまだ出逢ったばかりだ!そう言う事はもっと落ち着いて、お互いの事を良く知ってからにしよう!な!」

「………………わかった」


 ティナリアは少し考えてから頷いた。

 ベッドから立ち上がったティナリアは、疲れ切っているゼノグラディスの正面に立つと、その翠の瞳をゼノグラディスの紫の瞳に真っ直ぐに向ける。


「私の事、大切にしてくれて嬉しい」

「あ、ああ」

(な、なんとか乗り切った!少し残念な気もするが、あのままでは心臓が持たない。

 て言うか、ティナリアの瞳、綺麗……)


 ゼノグラディスが安堵すると共にティナリアの瞳に見惚れていると、その美しい翠の瞳はゆっくりと近づいて、ゼノグラディスが石化魔法を掛けられた様に反応出来ずにいる内に、眠たげな瞼が瞳を隠したと思った瞬間、ゼノグラディスの唇を暖かく柔らかな感触が襲った。


「おやすみ、ゼノグラディス」


 状況に追い付けず、ゼノグラディスの脳が処理落ちをしている間にティナリアは自室へと戻って行った。

 その去り際の微笑みと唇に残る感触がゼノグラディスの脳裏にリフレインされ、ようやく彼が思考力を取り戻したのは、既に空が白み始めた頃。


「…………………………女の子って柔らかい」


 思考力は取り戻したが、動き始めるにはまだしばらく時間が掛かりそうだった。

評価、感想など頂けると今後の励みになります。


╰(*´︶`*)╯♡ 魔王と勇者に幸あれ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] こうして、世界は平和になりました。ちゃんちゃん だと、嬉しい。
[一言] 連載すっぺやこれ
[一言] すごく面白かったです!
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