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8ギルド

「んー!労働のあとのトマトジュース最高っ!!」

処刑所内のベンチに座り、仕事終わり着替えおわった晴花は至福の一杯を味わっている


スッと晴花が使用したのとは別の処刑部屋が開き、血にまみれたシッサスが出てくる。

「人間の首を跳ねたあとの言葉じゃないね。ジュースのチョイスもいかれてる…」


「シッサス、この後連れてってほしいところがあるんだけど…」

シャワー室に向かうシッサスに私は手を合わせお願いをする。

「どこ?」

「何か、仕事の書類の中にステータスとスキルデータも提出しろってのがあって…。」

…書類が無くてもマルバにそなえて、早急に自分の使える魔法を知っとかなければならないのだが。

「ああ、ギルドか、いいよ。」




冒険者で賑わう街のギルド。

私達が入っていくとざわめきこそおこったけれど、王妃様自ら死の術者達は国の秩序を守る宝であると声を上げてくれ、広めるようにしてくれていることから、前のように露骨に邪険にしてくる輩は減った。


まあ、それでも今日も数人、意気がった感じのグループが遠巻きにガンをとばしてきてたので、王妃様のイメージを守るためにも喧嘩にならないように、愛想よくピースサインでニコッとしてたみら、何故か腰を抜かして青い顔で出ていってしまった。



「能力を調べるんだな。じゃあ、ここに手を置きな」

ぶっきらぼうなギルドのおじさんが示した七色の光を放つ石に私がそっと手を置くと、

ステータスとスキルが空中に浮かび上がった。


「へー、晴花ステータスそんなにわるくないじゃないか。もっと知恵が低いかと思ったよ。」

横で腕組みをしたシッサスが真顔で静かに失礼な事を言ってくる。


「うるさいなー。……んーーー魔法のスキル1つしかない…死の武具の召喚……あんまり役にたたなそうだなぁ……。シッサスもやってみて」


「別にいいけど…」

シッサスが手を置きステータスが表示されると

執行人のステータスが気になるのか横目で覗いていたらしいギルド内の客がざわっと驚きの声をあげるほどの魔力の数値に、攻撃に長けた強いスキルが複数あった。


「兄ちゃん流石、よく国境越えの討伐隊に選抜されるだけあんな。」

「いえ…ありがとうございます」

ギルドのおじさんが何やらシッサスを誉めている。

日々荒くれ冒険者を日々相手にしてるからか、デンと構えて大物感がすごい。普通に扱ってくれるのがとても嬉しい。




帰り道、2人で食材を買い込み、シッサスが重いものを持ってくれたので、晴花はパンの袋を抱えながら歩く。いい香りのふかふかなパンは明日の朝食用。食べるのが楽しみ。

「シッサス、さっきギルドのおじさんが言ってた討伐隊ってなに?」


「ああ、例えばもう死刑が妥当と明らかにわかってる犯人がどこかに籠城している。向こうも自分は捕まれば殺されると腹をくくってる。その場合兵士が行って、捨て身でかかってくる犯人を無傷で捕らえるのが何らかの理由で難しいと思われる場合に刑のもと人を殺めることを許されてる僕らが直接いってその場で…ってこと。」


「つ…繋がれてない犯人と直に戦うの!?」

そんな仕事も来ることがあるのか…。


「だから死の魔術師が他より強いとされていても、その中でも特に戦えると判断された者しか選ばれない。回復や補助魔法を使える人が同行してくれもするしその都度安全対策はとられてるけどね。………まあ、もし討伐案件がきても、晴花は攻撃、防御スキルがなかったし選ばれないから大丈夫だよ。」

…なるほど。その為のステータス書類提出なのか。


「私が行かなくてすんでも、シッサスが危ないとこに行くのは心配だしやだな…。

………おまけに留守番で1人の間にまたアイツが私を殺しに来たら…。あーー私スキルもろくになかったしどうしようーーー」

「は!!?殺し…!?誰に…?」


「…シッサスにはまだ言ってなかったけどさ…」

私は先日マルバ襲撃の顛末をシッサスに話す。シッサスの機嫌がしばらく悪めだったのもあり何と無く言い出せないままだったのだ。



「あの娘がこの世界の天界の管理者ねぇ…」

「そう。閻魔は元の世界の天界の管理者。時々様子見にくるの。牢にも忠告にきただけなのにさ。

……あー…閻魔のあの牢の監守服姿……あれは最高にカッコよかったな…。」

…私は余計な事を思い出し、思わず口走る。

しまった…と思ったけれどもうおそい。



「じゃあきっと晴花がピンチになればその素敵な閻魔が颯爽と助けにきてくれるさ」

シッサス吐き捨てるように言い、嫌みっぽく笑う。


うう…ようやく機嫌直ってきたとこだったのに。最近のシッサスは結構よくへそを曲げる。


「私は閻魔より、シッサスを頼りにしてるよ?」

「……どうだか。」

「本当だよー」

「シッサスー…」

……返事がない



「…お願い…守って」

私はシッサスの袖を小さく掴み、少し目を潤ませ俯きかげんに言う


すると、

シッサスは、一つ深いため息をつき


「……ほら、わかったから…。帰るよ。」

私の手を取る。


流石お人好しシッサス!チョロいな!!…と思った時…フッと視界が暗くなる


…咄嗟に何が起こったのか解らなかったが…次の瞬間、脳が理解して、顔が熱く赤くなる。

シッサスにキスされたのだ。

「…えっ…な…なん…」

「守る代わり、今後閻魔と2人にならない事。」

混乱する私にシッサスが命令してくる。


突然の事に言いたいことは山ほどあるのに、パニックすぎて口はパクパクと空回りして何も言い返せない。


…抱える手に力の入ったふかふかパンはいつの間にかペタンコになっていた。


読んでくれてありがとうございます。(^○^)


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