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二十五話 道具屋のおっさん、格好良くなる。


「エレネ、今からフィールド行くぞ」


「……えっ……」


 もちろん朝だからこそ行くんだ。夜はモンスターが強くなりすぎるし、いくらゾンビアタックしても無駄だからな。


「……置いてくぞ?」


 歩きながら振り返ると、呆然と突っ立っていたエレネがはっとした顔になって追いかけてきた。


「ど、どうしたんですか、モルネトさん。そんなに急いじゃって……」


「ん? 何かおかしいか?」


「え、だって、まだちゅーが……」


「エレネ……今はそれどころじゃないだろ」


「……あ、えっと、はい……」


 エレネ、きょとんとしてる。俺の変わりように驚いたか。でもあんなのを見てしまえばな……。


 ハーフエルフ、それに勇者パーティー……特に魔術師アルタスの衝撃的に高いレベルをこの目で見て、俺は一刻も早く自分のレベルを上げたくなったんだ。なんせあいつら全員四桁だからな。11レベルじゃ勝てるはずもない……。


「なんだか今日のモルネトさん、格好良いです……」


「……おいおい、今頃気付いたか」


「ふふっ。だって、今まではただの変態畜生おじさんだったじゃないですか……」


「……何か言ったか?」


「あ、い、いえっ……」


「大丈夫だ。今はそんなことでは怒らない……」


「……あ、あのっ」


「ん?」


「……その、私、モルネトさんのただの変態なところとか、暴力的なところとかも好きですよ……」


 ……こいつ、やっぱりやべーやつだな。


「……エレネ、男ってのはな、みんな子供みたいなもんだがいつか大人になって戦わなきゃいけないときがくるんだ。それが今ってわけさ……」


「……うぅ。やっぱり格好いいです……!」


「濡れたか?」


「……す、少し。でも、その台詞がなければもっとよかったです……」


「あはは……」


「さっ、行きましょう……」


 エレネが俺と腕を組んできた。まぁ、たまにはこういうのもいいだろう(キリッ。




 ※※※




 ……弱い。雪が疎らに残るフィールドのモンスターたちは、とにかく弱かった……。迅雷剣じゃオーバーキルだ。


 エレネにステータスカードで俺を見てもらったんだが、経験値は2%から6%までしか上がってないとのこと。つまり俺が12レベルになるにはあと94%の経験値が必要なわけだ。約1時間もブルースライムはもちろん、蝶型モンスターのグラスダンサーやバッタ型モンスターのグリーンホッパーをそれぞれ五十匹くらい倒したというのに……。弱いし経験値は低いしでモチベーションが上がらない。


 しかもこいつら、出現数がやたらと少ないんだ。大量にいれば少しは違う結果になったんだろうけどな。夜になるとやつらは豹変してノンアクティブからアクティブになる上、桁違いに強さも数も上がるわけだから実に極端な話だ……。


「エレネ、フィールドのモンスターはどこもこんなもんなのか?」


「んー……王都付近なら多少は強いのもいますよ。あそこはダンジョンもありますし」


「そうか……」


 そこに行ってもいいが遠いしなあ。王都グロムヘルは昔一度だけ母に連れられて行ったことがあるくらいで、確か馬車でも半日以上かかるはずだ。朝出発して夕方に着くくらいだからな。


「とにかくエレネ、ここで狩りをするのはもう止めよう。いくら時間が無限にあるとはいっても精神的にきついしな」


「は、はい。そうですね……」


 どこで狩りするかな……って、エレネが急に服を脱ぎ始めた。


「お、おいエレネ、いきなりどうした?」


「……そ、その……モルネトさんの精神の安らぎのためです……」


「……エレネ、それはお前がスケベなだけだろ?」


「……は、はい……私、ドスケベだから脱ぎたいんです……」


「……」


 うわ、結局全部脱ぎやがった。兎耳の帽子だけつけてる状態だ。人が通るかもしれないってのに見せつけやがって、やれやれ……ん? エレネの裸の向こうに山が見えた。そうだ。その手があった……。


「エレネ、その気持ちは買うが今は服を着れ。山に行くぞ」


「ええっ? 伝説の剣が眠るあの山ですか?」


「ああ。あの山だよ」


「でも、あそこはスノードラゴンが……」


「麓なら多分大丈夫。仮に出現して食い殺されても無限のカードがあるしな」


「そ、そうですねっ」


 エレネも納得してくれた。スノードラゴンは別格として、あそこなら手応えのあるモンスターも出てくるはずだ。

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