68話 芳香の契約
芳香と雄彦2人を連れて再び直人は異世界にやってきた。前回来た時と同じようにまずは芳香も自分のステータスを確認してもらう。
名前 楠木芳香
性別 女
年齢 15歳
種族 人間族
職業 学生
レベル 1
体力 210/210
魔力 462/462
称号 冒険初心者
魔法 水魔法 1
光魔法 2
雷魔法 1
空間魔法 3
生活魔法 3
スキル 物理耐性 1
魔法耐性 3
体術スキル 1
加護 なし
どうやら芳香は魔法のほうが得意そうだ。雄彦とくらべて、という程度だが。
「ふぅ~ん…これが私のステータスか~」
「たけより魔法が多いし魔力あるから魔法のほうが伸びそうだね。」
「つまり私はばかじゃなかったってことね。」
この芳香の言葉に雄彦が反応をした。
「ちょっとまて。それじゃあまるで俺がばかってことに聞こえるんだが…」
「そんなこと言ってないわよ?」
2人はお互いのスマホを見せ合いながら大騒ぎである。放置して置くといつまでも騒いでいそうなので、直人が止めに入る。
「なあそんなことよりも…」
「……初心者、ネネから、逃げてた?」
「え?」
「ここで、あったが、100年目。ネネを、ダンジョンに、連れて行く、です!」
冒険者ギルドで騒いでいたこともあってちょうどやってきたネネに見つかった。
「お、ネネ久しぶり?ちょっと家に帰ってただけだよ~」
「家…里帰り?」
「まあそんなところ。」
「じゃあ、しかたなし…でも、ダンジョンは、別。」
どうしてもダンジョンは行きたいらしくネネはこちらをじっと見ている。もちろん直人はダンジョンに行くのは問題ないのだが、芳香も一緒にいるので行きたいかどうかの確認が必要である。
「ん~そうだな…芳香、雄彦っ」
「「ん?」」
「こっちのネネって言うんだけど、がダンジョン行きたいって言うんだが一緒に今から行ってもいいか?」
「俺はいいぜーというかその小さい子大丈夫なのか?」
「ばっかネネは僕より強いんだよ…っ」
「うぇ…マジで?」
2人はネネを見ている。まあ見た目と同じく小さい子に違いはないのだから心配になってもおかしくはない。だが、この世界では年齢は関係なく強いものは強い。
「ねえ直人そもそもダンジョンってなんなの?」
そうか芳香はゲームとかあまり詳しくないからその辺の説明もしないとわからないのか。
「あのたけが最近僕の家でやってるゲームみたいな感じだよ。」
「ん~…ああーあの化物とかがいる洞窟とかそんなやつ?」
「そうそれ。それを倒すプレイヤーになるって感じかな。」
やっぱ女の子に化物と戦えとか厳しいかな…ゲームですら戦ったことがないのに実戦だもんな。
「うーん…直人と雄彦はダンジョンにいくんだよね?」
「僕はどっちでもいいんだけど、たけとネネが行きたがってるからね。」
「そうね、どんな感じか私も一度は見ておこうかしら…」
そういうと芳香はネネに手を差し出し「よろしくね?」と声をかけた。それにたいしてネネは恐る恐る握り返したものの顔が強張っている。
「…初心者、この2人、どこの人…」
なんだ、ただ言葉がわからなくて困っていただけだったみたいだよ…
「へぇ…この海が割れるところがダンジョンの入り口なのね。」
「ここのはこの中になるね。」
「ここのはって…他にもあるんだ。」
海が割れるのを見ながら芳香が話しかけてくる。最初この世界に来たときにすでに見ていたのでそれほど驚いていないようだ。4人でダンジョンに入ると、1度来て少しだけわかる雄彦は「少しうろついてくるっ」と1人で走り出した。
「ねえ、ちょとあれいいの??」
「あー…まあ大丈夫じゃないかな?ほとんどスライムだし。」
「これがゲームとかでよく聞くスライムなのね~」
芳香は足元で歩いているスライムを両手で抱え上げた。その感触を確認しながら撫でるようにスライムに手をすべらせている。
「ちょっとかわいいわね。…ん?え、なに??」
「どうした?」
「なんか、この子が契約したいって言ってるみたいなんだけど、契約ってなに?」
「契約…僕がしってるは召喚魔法で呼ぶ魔物の契約くらいだけど…」
でもそれはたしかもとから召喚獣になるための魔物との契約だった…はず?でももしかしたらそうじゃないのかもしれないのか…?
「召喚魔法…私持ってないけど契約できるかしら?」
「僕も最初ないまま契約した…あっじゃあ出来るんじゃないかな。」
「このこかわいいし私契約するわ…どうすればいいの?」
確か召喚獣の契約は魔力を込めながら性別、性格、サイズ、属性を決めていくんだたよな…
「えーと魔力を込めながら召喚獣に触れて色々設定するんだけど…」
「私設定なんていらないわっこの子はこのままのほうがいいじゃない。…あっ」
「どうした?」
「そういえば魔力ってどうやって使うのかな…なんか契約できちゃったんだけど。」
「…は?」
芳香が抱えているスライムを鑑定してみると『芳香のスライム』と出ていた。