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たとえばこんな異世界ライフ  作者: れのひと
第7章 現実世界
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64話 異世界へ行こう1

 結論から言ってしまうと『転移』を使用して雄彦を異世界へ連れて行くとこは出来なかった。

 

 昼食後スマホの充電が終わったころ即試してみたのだが異世界へ飛ぶことが出来たのは直人1人だった。それだけでも十分すごいことだったのだが、異世界にいけることを喜んでいた雄彦は納得が出来なかった。直人のスマホの画面を見ると一気に電池を消耗し残り10%以下となっている。魔力のないこの世界で魔法を使うにはどうやら今のところこのスマホの電池を利用するしかなさそうだ。


「あー…なんていうの…もどかしい?」

「何が。」

「あれだよ。そのスマホ異世界でなんかしただろう?そのために異世界へ行きたい、でも行けない…でも行かないと出来ない…なっもどかしい…」

「ああ、うん…」


 少しややこしい。


「僕はいけるみたいだからどうせなら連れて行って上げたいけど…」


 おもむろに『ディメンションウォール』からペットボトルの飲み物を取りだしながら直人はつぶやいた。すると、その腕を掴むものがいた。その中からだ。


「…ん?」


 直人の腕にしがみつくように中から出てきたのはうさ野郎だった。腕にしがみついているうさ野郎をまじまじと見つめた雄彦は不思議そうに首を傾げた。


「何…これ?」

「うさ野郎。」

「名前聞いてるんじゃねぇーよ。」


 じゃあ何聞いてるんだと直人は首を傾げる。うさ野郎が名前だとわかるあたりが流石幼馴染と言うところだ。


「この生き物?が何なのか聞いてる。」

「ああ、向こうで手に入れた召喚獣だよ。」

「御主人…っここはいったいどこですか~!」


 半分泣き叫ぶようにうさ野郎が叫びだした。


「怖いんですよっ中でいくつも扉が叩かれてガタガタするけど開かないんですっ」

「扉って…アストレアやネネと繋がってるヤツか?」

「そうです~」


 ふむ…こっちにいると扉から先に入れないってことなのかな?


 1人そんなことを考えながら首を傾げていると、


「なあ直人…お前その生き物と会話してるのか?」


と雄彦が聞いてきた。さっきから直人はうさ野郎と会話しているのだが、もしかすると雄彦にはうさ野郎の言葉が聞こえていないのかもしれない。


「え?そうだけど…」

「う~ん…鳴き声にしか聞こえんのだが。…でどうかしたのか?」

「ああうん。この部屋他の人と扉隔てて繋げてるんだけど、どうやらそこから先に入れないらしくて扉がガタガタうるさいってうさ野郎が。」

「え…つまりその扉の向こうはすでに異世界ってことか!」


 目を輝かせ雄彦は直人に詰め寄ってきた。どうやらこの中に入りたそうだ。


「…入ってみたいの?」

「当たり前だろう?」

「じゃあ充電終わるの待ってね…魔力が足りなくて扉小さいのしか今開かないみたいだから。」


 今目の前に開いている扉はうさ野郎がぎりぎりくぐれるくらいのサイズだった。さすがに人間は通れそうもない。


「ゲームでもやって待ってるぜ!」

「いやいいけど…少しは勉強したほうがいいと思うよ?」


 直人の言葉は雄彦には聞こえなかったようだ。すでにゲームに集中している。まあ遊びたくてきているのだから仕方がない。ため息をつきつつ直人は読書をすることにした。読みかけで放置になっていたものがあったのだ。


 しばらく小説を読んでいると流石に同じ姿勢なのが疲れてきて、伸びをするために立ち上がる。外はまだ明るいが時間を確認するとすでに夕方といっていいくらいの時間になっていた。時間の確認のついでにスマホの充電も見たらすでに充電は満タンになっていた。


「たけ。充電おわったよー」

「んあ…ああ半分寝てたわ…」


 どうやらゲームしながらうとうとしていたようで、雄彦はゲームを切ると大きなアクビをした。顔を2度ほど叩くと、


「よっし…直人よろしくっ」


と『ディメンションウォール』の中へと早く入らせろと催促してくる。


「じゃあ開けるよ~」


 直人が『ディメンションウォール』と唱えると人が通れるくらいの扉が目の前に現れた。扉を開け直人が雄彦に入るように勧める。恐る恐る…だけど興味が勝っているのかさっさと雄彦は中へ入っていった。その後に直人もすぐにつづく。


「うおおおおぉぉ~広っっていうか白っ」


 中に入って雄彦の最初の感想がこれだった。たしか直人も同じような感想だったきがするなーと遠い目をした。


「なんか変な生き物がいる!」

「全部召喚獣だよ。契約しか出来てないから召喚は出来ないんだけどね。」

「なんだそれっ意味不明だわ…」


 あきれた顔をしつつも興味はまわりにいっていて雄彦は色々見て周っている。まあそれほど物はないのですぐに見終わってしまったのだが…


「で…これが扉か。」

「うん。それはアストレアの扉だね。」

「アストレア…女か。」

「うん。一応王女様だね。」

「なにそれ…やっぱ勇者様(笑)だから?」

「……もうそれは言わないで。」


 流石の直人も勇者として召喚された挙句勇者にもなりきれず、それどころか勇者が必要なくなる事態に自分でしてしまったことはどういったもんなのかと困惑してしまう。争いが起きなかったのはいいことだが微妙に納得が出来ないのだ。


 ガタガタガタッ…ドンドンドン!


『ちょっともぉーなんであかないのよ~』


 扉が少し揺れ、その向こうから少し遠いが声が聞こえてきた。



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